協議・裁定制度と指定著作権等管理事業者

旧仲介業務法では,著作物使用料規程を定めるためには,文化庁長官の認可が必要でした。一方,著作権等管理事業法では使用料規程(著作権等管理事業者から利用の許諾を得る場合の使用料を定めたもの)を文化庁長官に届出て,原則として30日間の実施禁止期間が経過すれば実施できることとされています。
したがって,複数の管理事業者が競争関係にある場合には,使用料も適切な水準になると思われますが,市場に対し大きな影響力をもっている管理事業者が存在する場合には,その管理事業者が高額な使用料を決定することで,著作物等の円滑な利用が妨げられる事態が生じる恐れがあります。
このような事態を避け,利用者側の意向が反映された使用料規程が作成されるために設けられたのが,使用料規程に関する協議・裁定制度です。

《協議・裁定制度とは?》

  1. [1]使用料額の水準に対する影響力が大きい管理事業者について,文化庁長官が指定著作権等管理事業者として指定します。
    指定するときの要件は,著作権等管理事業法第23条第1項に定めるとおりですが,指定管理事業者には次の2つのタイプが考えられます。
    1. Aある利用区分において,全体に占める全管理事業者のシェアおよび全管理事業者に占める当該管理事業者のシェアが相当の割合である者

      全管理事業者シェア 1

    2. Bある利用区分において,全体に占める管理事業者のシェアは低いものの全管理事業者に占める当該管理事業者のシェアは相当の割合であり,かつ,その使用料規程が使用料額の基準として広く用いられており著作物等の円滑な利用を図るため特に必要がある者。

      全管理事業者シェア 2

  2. [2]指定管理事業者には,利用者代表(利用者の利益を代表すると認められる者)から使用料規程に関する協議の求めがあった場合には,応じる義務があります。
    指定管理事業者が協議に応じない場合または協議が不調に終わった場合には,利用者代表の申し立てにより文化庁長官が協議の開始又は再開を命じることとされています。
  3. [3]協議が開始または再開の命令がなされ,当事者間で協議が尽くされたにも関わらず合意に至る見込みがない場合には,いずれかの当事者の申請により文化庁長官が裁定を行うこととされています。
  4. [4]指定管理事業者は,協議が成立した場合にはその結果に基づいて,また,裁定があった場合にはその結果に基づいて,使用料規程の変更を届け出なければなりません。
ページの先頭に移動