テーマの設定について

 「現代日本文学の翻訳・普及事業(JLPP)」は,これまで2回にわたって現代の作品をできるだけ幅広く選び,現代日本文学の豊かさと多様性を示すよう努めてまいりました。海外の読者からは,これまであまり知られることのなかった現代日本文学を紹介する企画として歓迎されています。幸い,この事業は皆様のご協力とご支援のおかげで第3回を迎えますが,さらに順調に発展させていくため,今回から新機軸としてテーマ設定を導入することにいたしました。

 現代日本文学と一口に言っても,まだ20歳にもならないデビューしたての新人から80代,90代の長老作家にいたるまで様々な世代の書き手が,純文学やエンターテインメントなどいろいろなジャンルで活躍しています。現代日本文学のこの膨大な宝庫から少しずつ優れた作品を紹介していっても,とうてい網羅はできません。そこで,毎回,テーマを設定し,そのテーマを切り口としてアプローチしたほうが,海外の読者に強い印象を与えるのではないかと私たちは考えました。

 このようなテーマ設定を導入すればジャンルを自由に超えて幅広く,それぞれのテーマに相応しい作品を選びだし,日本文学の特徴を鮮やかに示すことができるでしょう。また今後,さらに新たなテーマを立てて選定を続けていけば,結局,その努力が総体として複雑で多様な現代日本文学の全体像を描き出す作業になるものと期待いたします。

 今後のテーマ設定については,文学に興味をお持ちの皆様から広くご意見をいただき,事業に反映させていきたいと考えておりますので,ぜひご提案をお寄せくださるようお願い申しあげます。

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