次代の文化を創造する新進芸術家育成事業「DOMANI・明日展」について

1. 概要

文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材育成のため、若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(旧・芸術家在外研修)」を1967年度から実施しており、すでに半世紀を経過しました。美術分野ではこれまでに1,500名に近い人材を送り出してきましたが、そうした研修の成果の発表の機会として、1997年度から「DOMANI・明日展」を開始し、2022年度まで25回にわたりアニュアル形式で開催を続けてきました。

本展が始まった当初は、会場を東京・新宿にある安田火災東郷青児美術館(現・SOMPO美術館)にお願いしておりましたが、2008年の第11回展以降は、前年に六本木に開館した国立新美術館に移り、大規模な企画展示室にふさわしい「新進作家」が集う「ショウケース」としての役割を果たしてきました。2014年度からは、「DOMANI・明日展 plus」という枠も新たに設けて、国立新美術館とは異なる比較的小規模な空間で、テーマを絞って、多世代の作家を紹介する試みもあわせて行いました(2017年度:千代田区立日比谷図書文化館、2016年度:京都芸術センター、2015年度:アーツ千代田3331ほか)。

四半世紀の歴史を重ねるなかで、出品作家の世代も交代し、また9・11やリーマンショック、東日本大震災、新型コロナ禍など国内外の社会や自然の変動とも直面してきました。この間、日本でも現代美術を扱う美術館や国際芸術祭が急増し、そこに人材を続々と輩出してきたことを誇りに思います。さらに、2020年度は春以降にコロナ禍により国内外で多数の美術展・芸術祭の中止が相次いだなか、7月にオンライン展「DOMANI・明日展 plus online 2020:〈前夜〉を生きる」を立ち上げ、2021年1月には第23回展を国立新美術館でリアル開催しました。翌年度の第24回展は5つの場所との連携で地方展開に挑み、最終回となった第25回展はDOMANI展史上最大の23,000人に近い観客に恵まれました。コロナ禍が芸術文化界に深刻な打撃をもたらしたことは間違いありませんが、その災厄を経て、作家も観客もより強い気持ちで活動を再始動していることを本展は見届けることができました。

DOMANI・明日展自体は25回の開催をもって終了しますが、あらたにその間の計25回の展覧会、そして総計288名に及んだ出品作家のアーカイブとして、展覧会サイトを改編することとしました。このサイトが、今後の日本の「明日」を担う作家たちのダイレクトリーとして機能し、さらに今後の「海外研修制度」の後続世代をいざなうツールになることを心より願っております。*

最後になりましたが、本展の催行に直接、もしくは間接的に関わってくださった作家とすべての方々に感謝の気持ちを捧げ、それぞれの今後のご活躍への熱いエールを送ります。

2023年3月 文化庁

※本展全体の記録としては『DOMANI・明日 記録集 : The Art of Tomorrow 1998–2021』およびその補遺版(2021–2023)もご参照ください。

2. 参考資料

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