平成7年度「国語に関する世論調査」の結果について

文化庁

Ⅰ.調査目的・方法等

調査目的 言葉に対する考え方や,言葉遣いでしばしば問題になる具体的な例について,また,国際化時代における日本語の在り方,ワープロ等の使用にかかわる問題について,国民の意識や実態を調査し,今後の施策の参考とする。
調査対象 全国の16歳以上の男女3,000人
調査時期 平成7年4月6日~17日
調査方法 個別面接調査
回収結果 有効回収数(率)2,212人(73.7%)

Ⅱ.調査結果の概要

1.よりよい言葉遣いのための心がけ

 「相手や場面にふさわしい敬語を使うようにする(59.8%)」,「心のこもった言葉を使うようにする(59.7%)」,「平易で分かりやすい言葉を使うようにする(54.5%)」を選んだ人が5割を超えている。

2.よりよい言葉遣いのための心がけ

 言葉についての意見7項目について,同意率・不同意率を見た。同意率(「そう思う」)が最も高いのは「新聞や放送などは,そこでの言葉遣いが子供などに与える影響を自覚することが必要だ」で,88.4%である。
 「学校における国語の教育の充実」「国が日本語の正しさや美しさの保持に努める」「国は言葉遣いの大切さについて国民の意識が高まるように努める」もそれぞれ65.6%,71.5%,67.8%と高いが,「国が言葉遣いについてゆるやかな基準を示す」については,同意率46.5%,不同意率40.2%となっている。「言葉は時代とともに変わるものであり,自然に任せた方がよい」については,不同意率が48.6%と同意率38.7%を上回る。

3.敬語の使い方

 「適切に使っていると思う(15.1%)」と「人並みに使っていると思う(52.2%)」を合わせると67.3%になり,『敬語を使えている』と考えている人は全体の3分の2を占める。「使いたいと思うが十分に使えていない(29.2%)」を合わせれば,96.5%が敬語を使うことに肯定的であると言えよう。この数字は平成4年の総理府調査における「敬語は必要だと思うか」に対する「思う」の93.7%とも照応する。

4.場面による敬語の使い分け

 非常に敬意の高い敬語から簡素なものまで様々な言い方を,「相手や場面によって使い分ける方がよいと思う」人は78.3%である。これは,多様な敬語表現を求める傾向を示すものと言えよう。

5.敬語に関する考え方

 敬語についての意見4項目について,「そう思う」か「そう思わないか」を聞いた。「そう思う」(同意率)と回答した割合の高い順に,「目上の人には敬語を使う方がよい」(91.3%),「親しい人(友人など)に敬語を使うのはよそよそしい感じがする」(73.7%),「年下の人にも場合によっては敬語を使う方がよい」(71.4%),「あまり親しくない人には敬語を使う方がよい」(62.3%)となっている。

6.二つの言い方(「やる/あげる」と「ら抜き言葉」)

 「やる」「あげる」のどちらを使うかについては,3例とも「やる」派が「あげる」派を上回る。「あげる」は,うちの子→植木→相手チームの順に多く使われている。
 この言葉遣いには地域差があり,「植木に水をやる/あげる」について見ると,東北,北陸,中部,九州で「やる」が80%以上となっている。「あげる」が多いのは,北海道25.0%,関東29.9%である。
 また,性差もある。「植木に……」について見ると,女性の20代以下では40%以上(16~19歳41.3%,20代47.3%)が「あげる」を使うとしており,「うちの子に……」では,女性の20代以下のほぼ7割が「あげる」派である。
 「ら抜き」の使用についても,「食べられる」「来られる」「考えられる」のような,本来の言い方を使うと答えた人が3例の平均で71.6%と多く,「ら抜き」を使う人の平均は22.6%である。ただし,「来られる/来れる」について,16~19歳の過半数が「来れる」を使うとしていることは,注目されるところであろう。
 語別では,「来る」「食べる」「考える」の順に「ら抜き」率が低くなり,この限りでは「ら抜き」の浸透が語幹の音節数と相関するのではないかとの説と照応する。

7.気になる言い方(敬語)

 敬語表現にかかわる11の言い方について「気になる」か「気にならない」かを聞いた。これらの例は(11)を除き規範的な立場からは誤りとされてきたものである。
 「気になる」が「気にならない」を上回ったのは,「お客様,どうぞいただいてください(62.5%)」「○○さん,おりましたら御連絡ください(56.0%)」,「先生,こちらでお待ちしてください(55.6%)」の3例であった。これらはいずれも謙譲語を尊敬表現に用いる誤用例である。
 「気にならない」と答えた人が多かったのは「どうぞおめしあがりください(85.4%)」,「足元にお気をつけてください(80.5%)」,「とんでもございません(78.7%)」の順であった。「おめしあがりください」「お帰りになられました」「おっしゃられた」などの二重敬語に抵抗を感じる人が少ないことも注目される。「とんでもございません」や「お気をつけて」といった一種の省略形も慣用が定着したものと見られよう。

8.日本国内で外国人から話しかけられた経験等

 この1~2年の間に日本国内で,外国人から話しかけられた経験の有無を聞いた。「しばしばある」「時々ある」「1~2度ある」を合わせた『経験あり』は36.9%,「まったくない」は63.1%となっている。
 また,話しかけられたことのある人に,何語で話しかけられたかを聞いたところ,最も多かったのは「主に英語(36.2%)」であるが,「主に日本語(30.0%)」と「日本語と英語が半々ぐらい(26.6%)」を合わせると56.6%になることは注目に値するであろう。

9.外国人の話す日本語

 外国人の話す日本語は,どのような日本語が望ましいと思うかを聞いた。
 「外国人だから,意思が通じさえすれば多少変な日本語でもかまわない」が58.6%,「……どんな日本語でもかまわない」24.2%となり,外国人の日本語に対する寛容さがうかがえる。

10.日本語や外国語に関する意識

 日本語や外国語に関する意見6項目について,同意率を見た。
 「日本人が日本語を正しく使えるようになるための教育を重視すべきである」の同意率は80.6%と高く,国際化時代における国語教育の重要性が認識されているものと思われる。
 日本人に日本語・外国語の能力を要求する傾向がある一方,「外国人が,日本語を話せるようになるための教育を重視すべきである」の同意率は35.5%である。日本語は外国人には難しいとの思い込みがあるためであろうか。

11.国際機関や国際会議での日本語の使用

 「日本語が国際機関や国際会議などの場で,もっと使われるように主張すべきである」という意見について同意率を見た。同意率は42.0%であるが,不同意率(30.1%)を上回る結果になっている。

12.外来語や外国語が増えること

 今以上に外国語や外来語が増えることについては,「多少は増えてもよい(44.8%)」と「いくら増えてもよい(13.1%)」を合わせた増加容認が57.9%と6割近くになっている。

13.ローマ字による姓名の書き方

 今以上に外国語や外来語が増えることについては,「多少は増えてもよい(44.8%)」と「いくら増えてもよい(13.1%)」を合わせた増加容認が57.9%と6割近くになっている。

14.ワープロやパソコンでの文書作成の感想

 ワープロやパソコンで文書を作成したことのある人(39.9%)に感想を聞いた。「視力を使うので,疲労しやすい(48.4%)」が最も多く,「文章の中で漢字を多く使うようになった(38.7%)」「漢字の書き方を忘れることが多くなった(38.5%)」が続く。文章作成の速さについては,「速く作れるようになった(22.1%)」と「時間がかかるようになった(18.3%)」のように分かれるが,これは習熟度とかかわるからであろう。

15.難しい漢字の使用

 「愕然」「破綻」など常用漢字表にない漢字を含む語を「がく然」「破たん」のように書く,いわゆる交ぜ書きの是非について聞いた。漢字で書いて振り仮名をつけるのがよいと答えた人が57.1%であり,交ぜ書き派(35.2%)を上回る結果となった。

16.ワープロでの難しい漢字の表示

 「鴎」のような簡略化された漢字が出ることはかまわないとする人が42.0%,「鴎」のような辞書と同じ字体が出る方がよいとする人が41.3%と意見が分かれた。常用漢字表にない漢字の字体をどちらか一方に決めることの困難さを表す数字と言えよう。

 この調査に関する報告書「国語に関する世論調査 平成7年4月調査」は,大蔵省印刷局より販売しています。

販売価格 1,400円(税別)
お問い合わせ先 霞が関政府刊行物サービスセンター
電話 03-3504-3885
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