平成20年度「国語に関する世論調査」の結果について

文化庁

文化庁では,国語施策の参考とするため,平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」を実施している。
平成20年度は,日本語を大切にしているか,人とのコミュニケーションについて,読書について,情報機器と言葉についてなど,国語に関する一般の人々の意識を調査するとともに,カタカナ語の認知度・理解度・使用度や慣用句等の言い方・意味について調査した。

Ⅰ.調査目的・方法等

調査目的 日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し,国語施策の立案に資する。
調査対象 全国16歳以上の男女
調査時期 平成21年3月
調査方法 個別面接調査
回収結果 調査対象総数3,480人
有効回収数(率)1,954人(56.1%)

Ⅱ.調査結果の概要

日本語を大切にしているか

日本語を大切にしているか<問1> (P.3*)
―「大切にしている」は76.7%で7年前から増加。特に若い層での増加が目立つ ―

*報告書のページを表す。

〔全体・過去の調査との比較〕
毎日使っている日本語を大切にしているかどうかを尋ねた。
「大切にしていると思う」と「余り意識したことはないが大切にしていると思う」を選んだ人を合わせた「大切にしている(計)」は76.7%,「特に大切にしてはいないと思う」と「大切にしているとは思わない」を合わせた「大切にしていない(計)」は4.6%であった。「どちらとも言えない」は18.4%,「分からない」は0.4%となっている。
過去の調査結果(平成13年度調査)と比較すると,「大切にしている(計)」は8ポイント増加している。

(数字は%)

大切にしている(計) どちらとも言えない 大切にしていない(計) 分からない
76.7【69.1】 18.4 4.6【7.6】 0.4
大切にしていると思う
38.1
余り意識したことはないが,考えてみれば大切にしていると思う
38.6
特に大切にしては
いないと思う
4.1
大切にしているとは
思わない
0.5
【33.7】 【35.4】 【22.1】 【6.8】 【0.9】 【1.2】

【】内は平成13年度調査

〔年齢別〕
年齢別に見ると,以下のとおり。
「大切にしている(計)」は,50代と60歳以上で約8割と他の年代に比べて高い。60歳以上では「大切にしていると思う」と答えた人が5割を超えている。

(数字は%)

  大切にしていると思う 余り意識したことはないが,考えてみれば大切にしていると思う 大切に
している
(計)
どちらとも言えない 特に大切にしてはいないと思う 大切にしているとは思わない 大切にしていない
(計)
分からない
16~19歳 26.4 45.8 72.2 16.7  9.7 1.4 11.1
20代 22.8 48.1 70.9 24.1  5.1 5.1
30代 23.8 47.4 71.2 21.2  7.0 0.7 7.6
40代 32.7 40.2 72.9 23.9  2.6 0.7 3.3
50代 36.0 42.9 78.9 16.3  3.9 0.6 4.4 0.3
60歳以上 51.3 29.7 80.9 15.0  3.0 0.3 3.3 0.8

〔過去の調査との比較〕
「大切にしている(計)」を年代別に,過去の調査結果(平成13年度調査)と併せてグラフ化し比較した。
16~19歳で28ポイント,20代で17ポイント,30代で10ポイントの増加が見られる。また,40代,50代でも5ポイントの増加が見られる。

グラフ

2.「美しい日本語」というものがあると思うか

「美しい日本語」というものがあると思うか,思わないか <問2>(P.9)
― 9割近くの人が「あると思う」と答えている ―

〔全体・過去の調査との比較〕
「美しい日本語」というものがあると思うか,それともそうは思わないかを尋ねた。
「あると思う」と答えた人は87.7%となっている。過去の調査結果(平成13年度調査)と比較すると,「あると思う」は3ポイント増えたが,全体の割合に大きな変化はない。

(数字は%)

あると思う ないと思う どちらとも言えない 分からない
87.7 2.5 8.6 1.2
【84.8】 【2.4】 【10.7】 【2.1】

【】内は平成13年度調査

「美しい日本語」とはどのような言葉か<問2小問> (P.12)
―「控え目で謙遜(けんそん)な言葉」が11ポイント増,「アナウンサーや俳優などの語り方」が10ポイント減 ―

〔全体・過去の調査との比較〕
問2で「あると思う」と答えた人たちに,「美しい日本語」とはどのような言葉だと考えるかを尋ねた(選択肢の中から三つまで回答)。結果は左のとおり。過去の調査結果(平成13年度調査)を併せてグラフ化し比較した。 6割を超える人が「思いやりのある言葉」を,5割近い人が「あいさつの言葉」を選択しており,上位2項目の順位は平成13年度調査の結果と同じであった。 割合が最も増加した項目は,「控え目で謙遜な言葉」で11ポイント増,また,割合が最も減少した項目は,「アナウンサーや俳優などの語り方」で10ポイント減であった。

グラフ

言葉の乱れだと思うか<問3> (P.14)
―「ら」抜き言葉の「来れる」は「言葉の変化」と考える人が9ポイント増加 ―

〔全体・過去の調査との比較〕
(1)「来ることができる」という意味で,「来られる」ではなく,「来れる」を使うこと,(2)「おっしゃる」や「言われる」という意味で,「申される」と言うこと,(3)「花に水をやる」ということを「花に水をあげる」と言うことのそれぞれについて,「言葉の乱れ」だと思うか,それとも別の見方をするかを尋ねた。
「ら」抜きの形である「来れる」については,「言葉の変化」だと考える人が最も多く,過去の調査結果(平成13年度調査)と比べても9ポイント増加している。また,「申される」「花に水をあげる」では,「そういう言い方をしても構わないと思う」と答えた人が最も多かった。どの言い方についても,「言葉の乱れ」だと考える人は少数派となっている。

(数字は%)

  「言葉の乱れ」
だと思う
そういう言い方をしても構わないと思う 乱れではなく「言葉の変化」だと思う 正しい言い方
だと思う
分からない
(1)来れる 23.7【26.6】 26.9【32.9】 41.0【32.5】 4.7【4.5】 3.7【3.6】
(2)申される 21.6【19.8】 35.7【37.8】 25.3【19.3】 11.3【16.7】 6.1【6.3】
(3)花に水をあげる 12.8【15.7】 53.3【52.2】 19.2【16.3】 12.9【14.6】 1.7【1.1】

【】内は平成13年度調査

3.人とのコミュニケーション

書き言葉と話し言葉の使い方<問4> (P.20)
―「書き言葉も話し言葉も正しく整えて使うべき」が10ポイント減少 ―


〔全体・過去の調査との比較〕
日常生活の中で,書き言葉や話し言葉の使い方はどうあるべきだと思うかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は右のとおり。過去の調査結果(平成11年度調査)を併せてグラフ化し比較した。
「相手や場面などによって違うので,一概には言えない」が33.8%と最も多く,平成11年度と比較すると5ポイント増加している。一方平成11年度調査では最も多かった「言葉は大切なものなので,書き言葉も話し言葉も正しく整えて使うべきだと思う」は10ポイント減少し33.3%となった

グラフ

言葉で表して伝えるか,察し合って心を通わせるか<問7>(P.32)
―「言葉にして伝え合う」が12ポイント減,「察し合って心を通わせる」は10ポイント増 ―


〔全体・過去の調査との比較〕
人と付き合うときに,(1)互いの考えていることをできるだけ言葉に表して伝え合うこと,(2)考えていることを全部は言わなくても,互いに察し合って心を通わせること,のどちらを重視しているかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「言葉にして伝え合う」を選んだ人が38.3%と最も多いが,平成11年度と比較すると12ポイント減少している。一方,「互いに察し合って心を通わせる」を選んだ人が10ポイント増加し,33.6%であった。

(1)互いの考えていることをできるだけ言葉に表して伝え合うこと
(2)考えていることを全部は言わなくても,互いに察し合って心を通わせること

(数字は%)

どちらかと言えば(1)の方を重視している どちらかと言えば(2)の方を重視している 相手や付き合いの種類によって異なるので,一概には言えない (1)と(2)のどちらも重視していない 分からない
38.3 33.6 26.0 0.9 1.1
【50.7】 【23.3】 【22.6】 【1.6】 【1.7】

【】内は平成11年度調査

4.読書について

1か月に何冊くらい本を読むか<問8>(P.34)
―「1,2冊」が36%。「読まない」人は46% ―

〔全体・年齢別〕
現在,雑誌や漫画を除いて,1か月に大体何冊くらい本を読んでいるかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。 「読まない」と答えた人が46.1%であった。同じ問いを立てた過去の調査結果(平成14年度調査)で,「全く読まない」と答えた人は37.6%であった。
年齢別に見ると,20代~50代で「読まない」と答えた人はそれぞれ4割程度であるが,16~19歳では4割台後半,60歳以上では5割台半ばとなっている。

(数字は%)

  読まない 1,2冊 3,4冊 5,6冊 7冊以上 分からない
全体 46.1 36.1 10.7 3.3 3.3 0.5
16~19歳 47.2 30.6 16.7 2.8 2.8
20代 38.0 38.0 13.3 5.1 5.1 0.6
30代 42.4 39.4 11.6 3.0 3.0 0.7
40代 38.9 41.8 11.4 3.9 3.9
50代 38.8 41.3 13.0 3.3 3.0 0.6
60歳以上 55.5 30.1 7.9 2.8 3.0 0.7

どのような本を読むか<問8小問1>(P.38)
― 文芸書が57%でトップ。よく読むジャンルは,男女で異なる傾向 ―

〔全体・年齢別〕
問8で「1,2冊」「3,4冊」「5,6冊」「7冊以上」と答えた人に,主にどのような本を読むかを尋ねた(選択肢の中から三つまで回答))。結果は以下のとおり。
「小説や詩などの文芸書」(56.6%),「趣味やスポーツに関する本」(41.3%)を選択した人の割合が高く,「料理など日常生活に関する本」(24.5%),「医療や健康に関する本」(23.3%)が続いている。

  • 小説や詩などの文芸書・・・・・・・・・56.6%
  • 趣味やスポーツに関する本 ・・・・・・41.3%
  • 料理など日常生活に関する本 ・・・・・24.5%
  • 医療や健康に関する本 ・・・・・・・・23.3%
  • 政治や経済に関する本 ・・・・・・・・19.7%
  • 生き方や宗教・哲学に関する本 ・・・・17.8%
  • 地理や歴史に関する本 ・・・・・・・・17.7%
  • 教育や育児に関する本 ・・・・・・・・10.1%
  • 言葉や語学に関する本 ・・・・・・・・9.3%
  • 自然科学に関する本 ・・・・・・・・・9.2%

〔性別〕
男女別に見ると,左のグラフのとおり。選択した人の割合が多い順に左から示した。
「生き方や宗教・哲学に関する本」「言語や語学に関する本」以外の選択肢では,男女で8~33ポイントの差がある。「料理など日常生活に関する本」では,女性の方が33ポイント高く,「政治や経済に関する本」では,男性の方が28ポイント高いなど,本の種類によって,男女の差が大きい。

グラフ

読書量は減っているか,増えているか<問10>(P.44)
― 65%の人が「減っている」と回答 ―


〔全体〕 調査対象者に自身の読書量が以前に比べて減っているか,増えているかを尋ねた。(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「減っている」が64.6%,「それほど変わっていない」が25.3%,一方,「増えている」と答えた人は8.6%にとどまった。

(数字は%)

減っている それほど
変わっていない
増えている 分からない
64.6 25.3 8.6 1.4

読書量が減っている理由<問10小問1>(P.47)
―「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」が5割強 ―

〔全体〕
問10で「減っている」と答えた人に,その理由を尋ねた(選択肢の中から二つまで回答)。結果は以下のとおり。
「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」(51.2%),「視力など健康上の理由」(36.7%)を選択した人の割合が高く,「テレビの方が魅力的である」(25.0%),「携帯電話やパソコン,ゲーム機などで時間が取られる」(14.8%)が続いている。

  • 仕事や勉強が忙しくて読む時間がない ・・・・・・・・・51.2%
  • 視力など健康上の理由 ・・・・・・・・・・・・・・・・36.7%
  • テレビの方が魅力的である ・・・・・・・・・・・・・・25.0%
  • 携帯電話やパソコン,ゲーム機などで時間が取られる ・・14.8%
  • 魅力的な本が減っている ・・・・・・・・・・・・・・・7.8%
  • 読書の必要性を感じない ・・・・・・・・・・・・・・・6.6%
  • 良い本の選び方が分からない ・・・・・・・・・・・・・5.5%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,右のグラフのとおり。
全体で最も多かった「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」を選んだ人の割合は,20代から40代では7割台半ばから約8割と高くなっているが,60歳以上では24.3%にとどまっている。一方,「視力など健康上の理由」は,30代までの若年層では3%にも満たないが,50代で37.7%,60歳以上では65.5%と高くなっている。また,「携帯電話やパソコン,ゲーム機などで時間が取られる」は16~19歳で38.7%と最も高く,年代が上がるとともに,少しずつ低くなり,60歳以上では5.6%となっている。

グラフ

読書量が増えている理由<問10小問2>(P.49)
― 50代以上では「時間に余裕ができた」,20代~40代では「読書の必要性を感じる」―

〔全体〕
問10で「増えている」と答えた人に,その理由を尋ねた(選択肢の中から二つまで回答)。結果は以下のとおり。
「時間に余裕ができた」(47.6%),「読書の必要性を強く感じる」(37.5%)を選択した人の割合が高く,「良い本を選ぶための情報を得やすくなった」(20.8%),「本が入手しやすくなった」(19.0%),「魅力的な本が増えている」(18.5%)が続いている。

  • 時間に余裕ができた ・・・・・・・・・・・・・・・・・47.6%
  • 読書の必要性を強く感じる ・・・・・・・・・・・・・・37.5%
  • 良い本を選ぶための情報を得やすくなった ・・・・・・・20.8%
  • 本が入手しやすくなった ・・・・・・・・・・・・・・・19.0%
  • 魅力的な本が増えている ・・・・・・・・・・・・・・・18.5%
  • テレビドラマや映画の原作本を読むことが増えた ・・・・8.3%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,左のグラフのとおり。
全体で最も多かった「時間に余裕ができた」を選んだ人の割合は,50代では66.7%,60歳以上では76.2%と高くなっているが,16~19歳から40代までは,25.0%~32.4%にとどまっている。一方,「読書の必要性を強く感じる」と答えた人の割合を見ると,20代で最も高く56.5%,30代でも5割に達しているが,16~19歳,60歳以上では1割台となっている。「良い本を選ぶための情報を得やすくなった」は,1割台後半から2割台半ばと,年代間の差が小さくなっている。

グラフ

本と漫画とでは,どちらを読むことが多いか<問12>(P.52)
―「本が多い」と答えた人は52%。一方,「漫画が多い」は16% ―

〔全体〕
本と漫画とでは,どちらを読むことが多いかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「本が漫画より多い」と「本は読むが漫画は読まない」を選択した人を合わせた「本が多い(計)」が5割を超えた。一方,「漫画が多い(計)」は16.0%であった。また,「どちらも同じくらい読んでいる」が9.0%,「どちらも読まない」が22.4%であった。

(数字は%)

本が多い(計) どちらも同じくらい読んでいる 漫画が多い(計) どちらも
読まない
その他 分からない
52.4 9.0 16.0 22.4 0.2 0.2
本は読むが漫画は読まない
20.7
本が漫画
より多い
31.7
漫画が本
よりも多い
13.4
漫画は読むが本は読まない
2.6

〔年齢別〕
「本が多い(計)」「漫画が多い(計)」「どちらも同じくらい読んでいる」「どちらも読まない」を年齢別に見ると,左のグラフのとおり。
「本が多い(計)」は40代以上の年代で5割台半ばから6割強の人が選択しており,年齢が上がるに従って,割合が高くなる傾向がある。一方,全体では16.0%であった「漫画が多い(計)」は,16~19歳では5割を超えている。この割合は,年齢が上がるに従って低くなり,60歳以上では1割を切る。「どちらも読まない」は60歳以上で34.4%となっている。

グラフ

5.情報の伝達手段と言葉

毎日の生活に必要な情報を何から得ているか<問13>(P.54)
― 上位は,テレビ(86%),新聞(77%)だが,過去の調査と比べ減少。
パソコン(インターネット)が増加 ―

〔全体〕
毎日の生活に必要な情報を何から得ているかを尋ねた(選択肢の中から三つまで選択)。結果は以下のとおり。
「テレビ」(86.0%),「新聞」(76.6%)を選択した人の割合が高い。「パソコン(インターネット)」(29.8%)が続いている。
過去の調査結果(平成13年度調査)と比較すると「テレビ」では7ポイント,「新聞」では11ポイント,「雑誌」では11ポイント,それぞれ減少している。一方,「パソコン(インターネット)」(平成13年度調査では「インターネット」)では17ポイント増加しており,また,13年度調査では選択肢になかった「携帯電話」が12.1%となっている。

  平成20年度調査 平成13年度調査

・ テレビ

86.0% 92.6%

・ 新聞

76.6% 87.1%

・ パソコン(インターネット)

29.8% 12.6%

・ 雑誌

18.7% 29.7%

・ ラジオ

16.2% 19.6%

・ ちらし・ビラ

12.9% 18.0%

・ 携帯電話

12.1% (選択肢なし)

〔年齢別・過去調査との比較〕
上位4項目について,それぞれ,年齢別に今回の調査と平成13年度調査の結果を見ると,以下のグラフのとおり。「テレビ」,「新聞」,「雑誌」の結果を平成13年度調査と比較すると,すべての年代で選択した人の割合が減少している。一方,「パソコン(インターネット)」は,すべての年代で増加した。
「テレビ」を選択した人の割合は,平成13年度にはすべての年代で9割を超えていたが,今年度調査で9割に達したのは60歳以上のみで,20代と30代では,10ポイントを超える減少が見られる。
「新聞」を選択した人の割合は,若い年齢層で低い結果となっている。平成13年度と比較すると,16~19歳では28ポイント,20代では32ポイント,30代では20ポイント,40代では16ポイント,それぞれ減少している。
「雑誌」を選択した人の割合が最も高いのは16~19歳で31.9%であるが,平成13年度と比較すると,27ポイント減少している。また,20代では28ポイント減少している。
「パソコン(インターネット)」を選択した人は,40代で32ポイント増加したのをはじめ,すべての年代で増えている。最も割合の高かったのは30代で,5割台半ばとなっている。

グラフ グラフ
グラフ グラフ

情報の伝達に使用されるもののうち,言葉に影響を与えるものは何か<問15>(P.64)
― テレビを9割の人が選択。新聞は5割台半ば ―

〔全体・過去調査との比較〕
情報の伝達に使用されるもののうち,言葉や言葉の使い方に大きな影響を与えるのは何だと思うかを尋ねた(選択肢の中から三つまで選択)。結果は以下のとおり。
「テレビ」(90.3%)を挙げた人が最も多く,「新聞」(54.6%),「パソコン(インターネット)」(23.9%)が続いている。
同じ問いを立てた過去の調査結果(平成15年度調査)と比較すると,「パソコン(インターネット)」を選択した人の割合が9ポイント増えている。

  平成20年度調査 平成15年度調査

・ テレビ

90.3% 93.7%

・ 新聞

54.6% 60.2%

・ パソコン(インターネット)

23.9% 14.7%

・ 雑誌

22.8% (選択肢なし)

・ ラジオ

21.8% 25.3%

・ 携帯電話

14.3% 14.6%

・ 本や辞典

9.4% (選択肢なし)

※ 平成15年度調査では「本や書籍類(漫画も含む)」(45.7%)という選択肢があった。

6.インターネットの言葉

メール以外に,インターネットを利用することがあるか <問16>(P.66)
― 全体では55%。20代と30代では9割前後,16~19歳では全数近くが利用している ―

〔全体・年齢別〕
パソコンや携帯電話などを通して,メール以外に,インターネットを利用することがあるかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「よく利用している」「時々利用している」「利用したことがある」をそれぞれ選択した人の割合を合わせた「利用している(計)」は55.0%であった。年齢別に見ると,16~19歳では98.6%が利用しており,20代と30代は9割前後,40代では8割強である。
一方,60歳以上では,「利用したことがない」と答えた人が8割弱となっており,年齢によって,回答が大きく違う結果となっている。

(数字は%)

  よく利用
している
時々利用
している
利用した
ことがある
利用している
(計)
利用したことがない 分からない
全体 31.4 19.3 4.2 55.0 44.8 0.3
16~19歳 70.8 25.0 2.8 98.6 1.4
20代 66.5 22.2 3.2 91.8 8.2
30代 54.3 28.8 5.3 88.4 11.6
40代 43.8 31.0 5.9 80.7 19.3
50代 26.3 21.6 6.1 54.0 45.7 0.3
60歳以上 8.5 8.6 2.6 19.7 79.7 0.5

どのようにインターネットを利用するか <問16小問1>(P.70)
―「買い物をしたり,オークションに参加したりする」がトップ ―

〔全体・年齢別〕
問16の「利用している(計)」の人たちを対象に,どのようにインターネットを利用するかを尋ねた(当てはまるものはすべて選択)。結果は以下のとおり。各項目で,選択した人の割合が最も高い年代に下線( )を付けた。
「買い物をしたり,オークションに参加したりする」(47.6%),「官公庁や企業のホームページやブログを利用する」(46.1%)を選択した人の割合が高く「一般個人のホームページやブログを利用する」(37.2%),「芸能人や文化人等のホームページやブログを利用する」(24.2%),「ホームページやブログを公開する」(19.7%)が続いている。

(数字は%)

  利用している(計) 官公庁や企業等のホームページやブログを利用する 芸能人や文化人等のホームページやブログを利用する 一般個人のホームページやブログを利用する 匿名性の高い掲示板などを利用する ホームページやブログを公開する 買い物をしたり,オークションに参加したりする SNSを利用する
全体 55.0 46.1 24.2 37.2 8.1 19.7 47.6 10.4
16~19歳 98.6 15.5 49.3 67.6 18.3 40.8 31.0 14.1
20代 91.8 32.4 31.7 49.0 12.4 24.8 46.9 20.0
30代 88.4 41.9 28.1 43.1 9.7 19.9 59.2 12.4
40代 80.7 54.3 24.3 33.6 7.3 18.6 47.8 8.1
50代 54.0 57.9 13.8 25.6 4.6 14.9 44.6 6.2
60歳以上 19.7 52.3 11.4 22.1 2.0 12.8 38.9 5.4

官公庁や企業等のホームページでの言葉の使い方の問題点 <問16小問1-1>(P.72)
― 利用者の5割強が「特に問題を感じることはない 」を選択 ―

〔全体〕
問16小問1で「官公庁や企業等のホームページやブログを利用する」を選択した人(46.1%)に,官公庁や企業が公開しているホームページやブログでの言葉の使い方について,問題を感じることがないかを尋ねた(当てはまるものはすべて選択)。結果は以下のとおり。
「特に問題を感じることはない」(51.3%)と答えた人の割合が最も高いが,一方で,「文章語で調子が堅い」(22.0%),「分かりにくい」(21.2%)などの問題点が挙げられている。

  • 特に問題を感じることはない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51.3%
  • 文章語で調子が堅い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22.0%
  • 分かりにくい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21.2%
  • 現在では余り使わないような古い言い回しが多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・7.3%
  • カタカナ語が多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.3%
  • 漢字が多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.1%

匿名性の高い電子掲示板などでの言葉の使い方の問題点 <問16小問1-2>(P.74)
― 利用者の5割台半ばが「攻撃的できつい言葉が多い」を選択 ―

〔全体〕
問16小問1で「匿名性の高い掲示板などを利用する」を選択した人(8.1%)に,インターネット上の匿名性の高い掲示版の書き込みなどでの言葉の使い方について,問題を感じることがないかを尋ねた(当てはまるものはすべて選択)。結果は以下のとおり。
「攻撃的できつい言葉が多い」(56.3%),「若者言葉や俗語,流行語などが多い」(42.5%)を選択した人の割合が高く,「誤字・脱字や文章の間違いが多い」(25.3%),「特に問題を感じることはない」(23.0%)が続いている。

  • 攻撃的できつい言葉が多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56.3%
  • 若者言葉や俗語,流行語などが多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42.5%
  • 誤字・脱字や文章の間違いが多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25.3%
  • 特に問題を感じることはない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23.0%
  • 分かりにくい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18.4%
  • 会話調でくだけている ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.9%

7.情報機器と言葉

ふだん,電子メール(携帯電話でのメールも含む)を使っているか <問17>(P.76)
― 6割を超える人が電子メールを使用。平成15年度調査から15ポイント増加 ―

〔全体・過去との比較〕
ふだん,電子メール(携帯電話でのメールも含む)を使っているかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「使っている」と答えた人が6割を超えた。同じ問いを立てた過去の調査結果(平成12年度,15年度調査)と比較すると,「使っている」を選択した人の割合は,平成15年度からは15ポイント,平成12年度からは37ポイント増加している。

(数字は%)

  使っている 使っていない 分からない
平成20年度 62.6 37.0 0.4
平成15年度 48.1 51.6 0.3
平成12年度 25.8 73.9 0.3

〔年齢別〕
今回の調査で,電子メールを「使っている」と答えた人の割合を年齢別に見ると,右のグラフのとおり。
16~19歳,20代,30代では電子メールを使用していると回答した人が9割を超えている。40代では8割台半ば,50代でも7割を超えているが,60歳以上では2割台にとどまっている。

グラフ

どんな機器を使って電子メールをやり取りするか <問17小問1>(P.79)
― 電子メール利用者の9割強は,携帯電話を使ってやり取りをしている ―

〔全体〕
問17で「使っている」を選択した人(62.6%)に,どんな機器を使って電子メールをやり取りしているかを尋ねた(当てはまるものはすべて選択)。結果は以下のとおり。
「携帯電話」と答えた人の割合が9割を超えている。

  • 携帯電話 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92.2%
  • パソコン・ワープロ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48.3%
  • その他の通信機器 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.4%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・―

電子メールでどのような表現を使うか(パソコン等/携帯電話) <問17小問2・4>(P.80,82)
― 携帯電話では,7割を超える人が「手紙よりくだけた表現」 ―

電子メールを作成するときにどのような表現を使うか,「パソコン・ワープロ」と回答した人,「携帯電話」と回答した人,それぞれに尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
パソコン・ワープロを使ってメールをやり取りすると答えた人のうち,5割を超える人が「手紙などに用いている表現と同様の表現」を選択した。一方,携帯電話を使ってメールをやり取りすると答えた人では,7割を超える人が「手紙などに用いているよりもくだけた表現」を選択している。

(数字は%)

  手紙などに用いているよりも丁寧な表現 手紙などに用いている表現と同様の表現 手紙などに用いているよりもくだけた表現 分からない
パソコン・ワープロ 13.5 50.8 34.3 1.4
携帯電話 3.9 23.0 72.3 0.9

情報機器の普及によって,言葉や言葉の使い方は影響を受けると思うか <問18>(P.84)
―「影響はある」と考える人が約8割 ―

〔全体・過去の調査との比較〕
パソコンや携帯電話などの情報機器の普及によって,言葉や言葉の使い方が影響を受けるという意見に対してどのように考えるかを尋ねた(選択肢の中から一つ回答)。結果は以下のとおり。
「影響はあると思う(計)」を選択した人が8割弱となっている。過去の調査結果(平成15年度調査)と比較すると,「大きな影響があると思う」と答えた人の割合が5ポイント増加している。一方,「余り影響はないと思う」と答えた人の割合が5ポイント減少している。

(数字は%)

影響はあると思う(計) 影響はないと思う(計) 分からない
79.7【78.9】 10.8【15.5】 9.4
大きな影響があると思う
38.7
多少影響があると思う
41.0
余り影響はないと思う
8.8
全く影響はないと思う
2.0
【33.9】 【45.0】 【13.8】 【1.8】 【5.6】
【】内は平成15年度調査

情報機器の普及によって,言葉はどのような影響を受けるか<問18小問>(P.87)
―「漢字が書けなくなる」と考える人が6割弱。過去の調査でも同様の結果 ―

〔全体・過去の調査との比較〕
問18で「影響はあると思う(計)」と回答した人(79.7%)に,情報機器の普及によって,言葉や言葉遣いがどのような影響を受けると思うかを尋ねた(選択肢の中から三つまで選択)。結果は以下のとおり。
「漢字が書けなくなる」(59.7%)を挙げた人が最も多く,「言葉のニュアンスが変わる」(42.2%),「新しい言葉や言葉遣いが増える」(33.3%)が続いている。
過去の調査結果(平成15年度調査)と比べてみると,「言葉の意味やニュアンスが変わる」を選んだ人の割合が8ポイント増加し,「手紙などの伝統的な書き方が失われる」は7ポイント減少している。

  平成20年度調査 平成15年度調査

・ 漢字が書けなくなる

59.7% 60.9%

・ 言葉の意味やニュアンスが変わる

42.2% 34.3%

・ 新しい言葉や言葉遣いが増える

33.3% 32.8%

・ 手紙などの伝統的な書き方が失われる

28.5% 35.6%

・ 省略した表現が増える

26.3% 27.0%

・ ?や!などの記号や絵文字等の使用が増える

16.6% 15.7%

・ 一文の長さが短くなる

13.0% 9.2%

・ 書き言葉と話し言葉の違いがなくなる

12.4% 16.8%

8.カタカナ語の認知・意味の理解・使用

カタカナ語を知っているか。意味が分かるか。使ったことがあるか<問19> (P.89)
―「モチベーション」「モニタリング」などが大きく上昇 ―

〔全体・過去の調査との比較〕
調査の全対象者を,二つのグループに分け,それぞれに(イ)(ロ)の回答票を割り当て,30語ずつ,双方合わせて計60のカタカナ語を挙げて,その認知度,意味の理解度,使用度を尋ねた。
結果は以下のとおり。過去の調査結果(平成14年度調査)と比べると,「モチベーション」「モニタリング」「アイドリングストップ」「インサイダー」などで,大きくポイントが上がっている。

グラフ

グラフ

グラフ

〔尋ねたカタカナ語とその意味〕

( イ )

アイドリングストップ
停車時エンジン停止。駐停車の間,車のエンジンを止めること。
アプリケーション
(1)適用。(2)申込み。(3)コンピューターの応用ソフトウェア。
インキュベーション
起業支援。新規に事業を起こすのを支援すること。
インフォームド・コンセント
納得診療。説明と同意。納得できる医療を患者自身が選択すること。
オンライン
(1)端末機などがネットワークと接続している状態。(2)球技で,球が線上に落ちること。
キャピタルゲイン
資産益。資産の売却や値上がりによる収益。
コーディネート
調整。組織の機能を調整すること。服装の調和を図ること。
コンセプト
基本概念。事業や開発を進める際の,基本となる考え方。
サテライト
衛星。企業や学校などが本拠から離れた所に設置する拠点。
シェア
(1)占有率。商品が市場に占める割合。(2)分かち合い。一つのものを共有すること。
シフト
移行。位置や配置がそれまでと変わること。
スクリーニング
ふるい分け。ふるいに掛けて条件に合うものを選び出すこと。
セーフティネット
安全網。経済危機にあっても,最低限の安全を保障する社会的な制度や対策。
セクター
部門。産業などにおいて,幾つかに部門を分けたときの一つ。
ドキュメント
文書。記録。出来事をそのまま記録すること。
トレンド
傾向。ある方向へ変化していく,全体的な傾向。
バーチャル
仮想。現実そっくりに作られ,あたかも現実の世界であるかのような様子。
ハードウェア
電子機器装置。コンピューターなどの電子機器装置の総称。
バックアップ
(1)支援。他人の行動への支援。(2)控え。事故に備えて控えを作ること。
パブリック
公共。公共の,公衆の,一般の。
ピーク
頂点。ものごとが最も盛んな状態にある点。
フィードバック
還元。作業の行為や結果を還元し,現状の再検討に役立てること。
フルタイム
常時。全時間。所定の時間一杯に勤務すること。常勤。
フロンティア
新分野。豊かな可能性を秘めた,未開拓の分野。
ホワイトカラー
事務系労働者。技術・事務・管理など非現業部門に従事する労働者。
マクロ
(1)巨視的。全体的な見地から物事を見る様子。(2)コンピューターのマクロ機能。
マネージメント・システム
経営管理方式。経営や運営について,組織立って管理する方式。
モチベーション
動機。物事に取り組む意欲を内側から高める働き掛け。
ライフスタイル
生活様式。行動の様式や価値観を含んだ,生活の習慣。
リスク
危険。何かを実行する際に伴う危険や失敗の可能性。

( ロ )

アクセス
(1)接続。情報に接近し利用すること。(2)交通手段。交通や連絡の便。
イニシアチブ
(1)主導。自ら率先して,他を導くこと。(2)発議。率先して提唱する政治の方針。
インサイダー
内部関係者。集団内部の事情に通じている人。
オブザーバー
陪席者。立会人。会議などで議決権はないが,ある目的のために参加を許された人。
ガイドライン
指針。政治や業務などを具体的に運用する際に守られるべき指針や手引。
コーディネーター
調整担当者。専門的分野で組織や仕事の流れなどを調整する人。
コミュニティ
地域社会。共同体。居住地や関心を共にすることで営まれる共同体。
コンテンツ
情報内容。電子媒体を通してやり取りされる情報の内容。
サンプル
見本。標本。試供品。
ジェンダー
社会・文化的な性。社会,文化面から見た男女の性別,性差。
シミュレーション
模擬実験。計算や模擬装置などで,起こり得る状況を様々に想定して行う実験。
スクーリング
登校授業。通信教育課程で,一定期間義務付けられた,登校による授業。
セキュリティー
安全。犯罪などから安全を守ること。
ダンピング
不当廉売。公正な競争を妨げるほど不当に安い価格で販売すること。
トレード・オフ
二律背反の関係。一方を取ると他方を犠牲にせざるを得ないような競合関係。
ニーズ
必要。需要。必要とされるもの。顧客が要求しているもの。
バーチャル・リアリティ
仮想現実。実際に存在しない環境を疑似体験すること。
パートナーシップ
協力関係。共同で何かを行うための,対等な協力関係。
パフォーマンス
(1)性能。人や機械が持つ能力。(2)演奏。上演。人前で何かを表現すること。
バリアフリー
障壁なし。体の不自由な人でも支障なく活動できるような生活環境。
ビジョン
展望。将来望まれるものとして,心に描く展望。
フォローアップ
追跡調査。実施状況などを追跡調査し,必要に応じて手当すること。
プレゼンテーション
発表,提案説明。企画や計画などを分かりやすく発表すること。
ベンチャー
新興企業。大企業が行っていない分野で,新たな事業を起こす中小規模の企業。
マーケティング
市場戦略。販売拡大を目的として,市場に対して戦略的に取り組むこと。
ミスマッチ
不整合。取り合わせや組合せが不適切だったり,不釣合いだったりすること。
モニタリング
監視。継続的に観測して監視すること。
ライブラリー
図書館。図書などの資料を収集し閲覧に供する施設。
リフレッシュ
気分一新。気分を新たに,さわやかにさせること。
ワークショップ
研究集会。専門家の助言を受けながら,参加者が共同で研究や創作を行う場。

9.慣用句の認識と使用

(1)から(5)の内容を表現するとき,どちらの言い方を使うか<問20>(P.103)
― 本来の言い方「采配さいはいを振る」は少数派。他の語でも,若年層では本来と異なる言い方をする人が多い ―

〔全体・過去の調査との比較〕
二つの言い方のどちらを使うか,五つの例を挙げて尋ねた。本来の言い方とされるものに下線を付け,また,グラフ中では グラフ の線で示した。結果は以下のとおり。

(1)「チームや部署に指示を与え,指揮すること」を
  • (a)采配を振る ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28.6%
  • (b)采配を振るう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58.4%
  • (a)と(b)の両方とも使う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.8%
  • (a)と(b)のどちらも使わない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.4%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.8%
(2)「目上の人の気に入られること」を
  • (a)お目にかなう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39.5%
  • (b)お眼鏡にかなう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45.1%
  • (a)と(b)の両方とも使う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.2%
  • (a)と(b)のどちらも使わない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.9%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.4%
(3)「はっきりとしていて疑う余地のない様子」を
  • (a)火を見るより明らかだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71.1%
  • (b)火を見るように明らかだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13.6%
  • (a)と(b)の両方とも使う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.3%
  • (a)と(b)のどちらも使わない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.2%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.7%
(4)「是が非でも。どんなことがあっても」を
  • (a)石にかじり付いてでも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66.5%
  • (b)石にしがみ付いてでも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23.0%
  • (a)と(b)の両方とも使う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5%
  • (a)と(b)のどちらも使わない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.7%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3%
(5)「よく分かるように丁寧に説明すること」を
  • (a)嚙かんで含むように ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39.7%
  • (b)嚙かんで含めるように ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43.6%
  • (a)と(b)の両方とも使う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.9%
  • (a)と(b)のどちらも使わない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.2%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.7%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,以下のとおり。20代以下では,本来の言い方でないものを選んだ人の割合が,他の年代に比べて高い傾向があり,また,「(a)と(b)のどちらも使わない」の割合も高い。特に,16~19歳では,その傾向が強い。

(1)では,どの年代でも,本来の言い方ではない (b)「采配を振るう」を使う方が多い。
本来の言い方とされる(a)「采配を振る」を使うと答えた人は,すべての年代で,約2割から3割台前半にとどまっている。(b)「采配を振るう」を使うと答えた人は,30代から50代で6割台と高い。
「(a)と(b)のどちらも使わない」は年齢が下がるに従って高くなる傾向がある。

グラフ

(2)では,本来の言い方とされる(b)「お眼鏡にかなう」を使うと答えた人が全体では多かったが,16~19歳では,本来の言い方ではない(a)「お目にかなう」を選んだ人が(b)を大きく上回った。また,20代,そして,60歳以上でも(a)が(b)をわずかに上回っている。

グラフ

(3)では,本来の言い方とされる(a)「火を見るより明らかだ」を使う方が多い。
ただし,(a)と本来の言い方ではない(b)「火を見るように明らかだ」の差は,20代以下で狭まり,16~19歳では10ポイント差となっている。
また,「(a)と(b)のどちらも使わない」は,年齢が下がるに従って高くなっており,16~19歳では2割台となっている。

グラフ

(4)では,どの年代でも,本来の言い方とされる(a)「石にかじり付いてでも」を使う方が多い。
ただし,年齢が下がるに従って,(a)の割合が低くなるとともに,本来の意味ではない(b)「石にしがみ付いてでも」の割合が高くなり,その差は16~19歳では3ポイントまで縮まっている。
「(a)と(b)のどちらも使わない」は,年齢が下がるに従って高くなる傾向がある。

グラフ

(5)では,本来の言い方とされる(b)「嚙んで含めるように」を使う方が全体としては多かったが,16~19歳から30代まででは,本来の意味ではない(a)「嚙んで含むように」を使う方が多くなっており,差の小さい40代をはさんで反対の結果となった。 「(a)と(b)のどちらも使わない」は年齢が下がるに従って高くなる傾向があり,20代以下では,本来の言い方である(b)を上回っている。

グラフ

10.言葉の意味

どちらの意味だと思うか<問21>(P.110)
―「時を分かたず」「破天荒」「手をこまねく」「御の字」「敷居が高い」
いずれも本来とは違う意味で使われることが多い ―

五つの言葉を挙げて,どの意味で使っているかを尋ねた。本来の意味とされるものに下線を付け,また,グラフ中では グラフ の線で示した。結果は以下のとおり。
今回尋ねた五つの言葉すべてにおいて,本来の意味ではない方が多く選択されるという結果となった。(1)「手をこまねく」,(2)「時を分かたず」,(3)「破天荒」,(4)「御の字」では,(1)の40代を除くすべての年代を通して,本来とは違う意味だと思うと答えた人の割合が,本来の意味を選んだ人の割合を上回った。中でも,(2)と(3)では,その差が大きい。(5)「敷居が高い」は,年齢の高い層と若年層とで,意味の取り方が逆転する傾向が見られる。

(1)手をこまねく
〔全体〕
本来の意味である(ア)「何もせずに傍観している」と答えた人が約4割,本来の意味ではない(イ)「準備して待ち構える」と答えた人が4割台半ばとなった。

手をこまねく(例文:手をこまねいて待っていた。)
  • (ア) 何もせずに傍観している ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40.1%
  • (イ) 準備して待ち構える ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45.6%
  • (ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.9%
  • (ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.4%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,右のグラフのとおり。40代を除くどの年代でも,本来の意味ではない(イ)「準備して待ち構える」を選んだ人が多い。特に30代以下では,その差が広がり,16~19歳では40ポイントを超える大きな差となっている。

グラフ

(2)時を分かたず
〔全体〕
本来の意味である(イ)「いつも」と答えた人が1割台半ば,本来の意味ではない(ア)「すぐに」と答えた人が6割台半ばとなった。また,「分からない」と答えた人は今回調査した五つの語のうちで最も多く,14.7%であった。

時を分かたず(例文:事件の後には,時を分かたず,厳重な警備が行われた。)
  • (ア)すぐに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66.8%
  • (イ)いつも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.1%
  • (ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.7%
  • (ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.7%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,右のグラフのとおり。どの年代でも,本来の意味ではない(ア)「すぐに」を選んだ人の割合が高く,本来の意味である(イ)「いつも」との間に,大きな差が付いた。

グラフ

(3)破天荒
〔全体〕
本来の意味である(ア)「だれも成し得なかったことをすること」と答えた人は2割に届かず,本来の意味ではない(イ)「豪快で大胆な様子」と答えた人が6割台半ばとなっている。「分からない」と答えた人は1割を超えた。

破天荒(例文:彼の人生は破天荒だった。)
  • (ア)だれも成し得なかったことをすること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16.9%
  • (イ)豪快で大胆な様子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64.2%
  • (ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.4%
  • (ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12.2%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,右のグラフのとおり。本来の意味ではない(イ)「豪快で大胆な様子」と答えた人の割合が,どの年代でも,本来の意味である(ア)「だれも成し得なかったことをすること」より高い。60歳以上では(ア)と答えた人の割合が他の年代より高く,(イ)と答えた人も他の年代に比べ低い。

グラフ

(4)御の字
〔全体〕
本来の意味である(イ)「大いに有り難い」と答えた人が4割弱,本来の意味ではない(ア)「一応,納得できる」と答えた人が5割強となっている。

御の字(例文:70点取れれば御の字だ。)
  • (ア) 一応,納得できる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51.4%
  • (イ) 大いに有り難い ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38.5%
  • (ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5%
  • (ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.1%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.6%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,右のグラフのとおり。本来の意味ではない(ア)「一応,納得できる」と答えた人の割合が,どの年代でも,本来の意味である(イ)「大いに有り難い」よりも高い。(ア)と(イ)の差は,30代と40代では他の年代に比べて小さいが,16~19歳と60歳以上では大きく開いている。

グラフ

(5)敷居が高い
〔全体〕
本来の意味である(ア)「相手に不義理などをしてしまい,行きにくい」と答えた人が4割台前半,本来の意味ではない(イ)「高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい」と答えた人が4割台半ばとなった。また,「(ア)と(イ)の両方」と答えた人の割合は,今回調査した五つの問いの中で最も高く,1割強であった。

敷居が高い(例文:あそこは敷居が高い。)
  • (ア) 相手に不義理などをしてしまい,行きにくい・・・・・・・・・・・・42.1%
  • (イ) 高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい ・ ・・・・・・・・・45.6%
  • (ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.1%
  • (ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
  • 分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9%

〔年齢別〕
年齢別に見ると,左のグラフのとおり。本来の意味ではない(イ)「高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい」を選んだ人の割合は,40代以下で,本来の意味である(ア)「相手に不義理などをしてしまい,行きにくい」よりも高く,特に30代以下では差が大きい。一方,50代と以上では,本来の意味である(ア)を選んでいる人の割合が高く,(イ)との差も大きくなっており,40代を境に対照的な結果となっている。

グラフ

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