日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査

文化庁

Ⅰ.調査の概要

調査目的 国際化の進展等に伴い,我が国に在住する外国人の増加が進む中,地域に在住する外国人の日本語に対する意識等について調査し,今後の日本語教育施策の参考とする。
調査対象 全国12地域の日本語教室に通っている16歳以上の男女(在住外国人)600人
調査時期 平成13年3月2日~3月16日
調査方法 対象者の自記式法(調査対象者が調査票の質問を自分で読み,その回答を自分で記入する方法)
回収結果 有効回収数(率)581人(96.8%)

Ⅱ.調査結果の概要

1.日本語に対する意識

(1)地域や家の中での日本語の使用 ―日本語を使っている人は約8割―

地域や家の中で日本語を使っているかを尋ねたところ,全体(n=581人)では「はい(使っている)」が80.4%(467人)を占めた。また,日本での滞在期間との関連を見ると,滞在年数が長くなるほど「はい」の割合が高くなっており,滞在期間「6か月未満」で約6割で,「5年以上」では9割を超えている。

グラフ―日本語の使用

(2)日本語の使用頻度 ―ほとんど毎日使う人が半数強―

地域や家の中で日本語を使っていると回答した人(467人)に,どのくらい頻繁に日本語を使っているかを尋ねたところ,「ほとんど毎日(職場や家の中で頻繁に)」が半数強(53.1%)を占めた。

グラフ―日本語の使用頻度

日本での滞在期間との関連を見ると,「ほとんど毎日(職場や家の中で頻繁に)」日本語を使っている人の割合は滞在期間「6か月未満」で約4割(40.7%),「2年以上5年未満」の人で半数を超え(53.0%),「5年以上」の滞在者で8割弱(77.9%)を占めた。

(3)日常生活に必要な日本語の習得状況 ―「医者に病状を話す」は〈できる〉人が6割台―

日常生活の中の様々な場面において必要と考えられる日本語がどのくらいできるのか,32項目を挙げて尋ねた(1 簡単にできる,2 難しいができる,3 できない,4 こうした状況の経験がない,から一つを選択)。
全項目を,「簡単にできる」と「難しいができる」を合わせた〈できる〉の合計の割合が高い順に並べ,それらの中から,特に,次頁の「(4)日本語の必要度の高い場面」及び「(5)つらい思いをした場面」と関連性の高い12項目を挙げると,以下のとおり。

グラフ―日常生活に必要な日本語の習得状況

これらの項目の中で,特に〈できる〉の合計の割合が低い五つの項目について,日本語教室での学習期間との関連を見ると,学習期間が2年以上の人では,以下のように,〈できる〉の合計の割合が高くなっている。

  全体 1年未満 2年未満 2年以上
医者に病状を話す 63.7% 56.2% 78.1% 88.8%
役所などの窓口で質問・交渉する 50.6% 43.2% 63.5% 76.3%
学校や役所などからのお知らせを読む 48.9% 43.2% 56.3% 71.3%
履歴書を書く 37.5% 33.5% 45.8% 47.5%
仕事の書類を読む 28.7% 25.4% 36.5% 40%

(4)日常生活における様々な場面における日本語の必要度 ―「あいさつをする」が最多―

日常生活の中の様々な場面において,どのくらい日本語が必要と思っているかを,32項目を挙げて尋ねた。「とても必要」と「必要」を合わせた比率が80%を超えた場面は以下のとおり。

グラフ―日本語の必要度

「とても必要」の上位5場面の中には,「医者に病状を話す」や「漢字で住所を書く」が挙げられている。

  1. あいさつをする  ・・・・・・・・・ 60.4%
  2. 日本人に電話をする ・・・・・・・・・ 50.3%
  3. 場所(道順)を聞く ・・・・・・・・・ 48.4%
  4. 医者に病状を話す  ・・・・・・・・・ 47.3%
  5. 漢字で住所を書く  ・・・・・・・・・ 44.2%

(5)日本語が十分にできなくて,困ったり,嫌な思いをした場面 ―上位は「病院」「近所付き合い」「職場」「役所の窓口」など―

日本語の会話や読み書きが不得意な(あるいはできない)ために,困ったり,嫌な思いをした場面について,10項目を挙げて尋ねた(複数回答可)。選択率の高かった上位6場面は以下のとおり。

グラフ―日本語が十分にできなくて,困ったり,嫌な思いをした場面

2.日本語の能力~聞く,話す,読む,書く力~(本人による評価)

(1)聞く力:日本語の聞き取り能力と学習年数等との関係 ―学習期間2年以上の人の半数近くが「よく分かる」と回答―

・ 相手の話している日本語の内容がどのくらい分かるか尋ねた。
・ 「よく分かる」と回答した人は総数の約2割(21.0%)。
・ 「よく分かる」人の割合は,学習期間に応じて増加している。
1年未満(12.7%)→2年以上(47.5%)

グラフ―日本語の聞き取り

(2)話す力:日本語の会話の能力と学習年数等との関係 ―学習期間2年以上の人の半数近くが「十分に話せる」と回答―

・ 自分が話したいことをどのくらい話せるか尋ねた。
・ 「十分に話せる」と回答した人は総数の2割弱(17.4%)
・ 「十分に話せる」人の割合は,学習期間に応じて増加している。
1年未満(10.0%)→2年以上(45.0%)

グラフ―日本語の会話力

(3)読む力:日本語の文字やローマ字等について ―平仮名が読めるは片仮名よりもやや多く8割強,意外に少ないローマ字―

日本語の文字やローマ字等がどのくらい読めるか尋ねた(複数回答可)。
・ 読める人の割合が多いのは平仮名,片仮名の順で,それぞれ,84.3%,75.2%となっている。また,ローマ字に関しては,5割強で,それほど多くなく,「漢字が少し読める」人の割合と同程度。
・ 「漢字が読めて意味も分かる」人の割合は,学習期間に応じて顕著に増加している。 1年未満(16.5%)→2年以上(32.5%)

  総数 平仮名が読める 片仮名が読める ローマ字が読める 漢字は読めないが意味は分かる 漢字が少し読める 漢字が読める 漢字が読めて意味も分かる 全然読めない 無回答
総数 581 84.3% 75.2% 51.5% 15% 48.5% 12.9% 19.6% 1.9% 1.4%
学習年数                    
1年未満 370 85.4% 74.9% 54.9% 17.6% 47% 11.1% 16.5% 1.9% 0.5%
2年未満 96 88.5% 79.2% 50% 11.5% 47.9% 19.8% 22.9% 2.1%  
2年以上 80 86.3% 85% 43.8% 7.5% 66.3% 15% 32.5%   1.3%

・ 日本語の文字やローマ字を読む力:上位五つの項目は以下のとおり。

グラフ―日本語の文字やローマ字を読む力(複数回答可)

(4)書く力:日本語の文字やローマ字等を書く力について ―平仮名が書けるは片仮名よりもやや多く8割強,意外に少ないローマ字―

・ 日本語の文字やローマ字等がどのくらい書けるか尋ねた(複数回答可)。
・ 書くことができる人の割合が多いのは平仮名,片仮名の順で,それぞれ,84.0%,73.7%となっている。また,ローマ字に関しては,約5割で,それほど多くなく,「漢字が少し書ける」人の割合と同程度。
・ 「漢字が少し書ける」人の割合は,学習期間に応じて顕著に増加している。 1年未満(45.9%)→2年以上(68.8%)

  総数 平仮名が書ける 片仮名が書ける ローマ字が書ける 漢字が少し書ける 漢字は十分に書けないがワープロを使えば書ける 漢字が十分に書ける 全然書けない 無回答
総数 581 84% 73.7% 49.1% 49.4% 9.3% 17.6% 2.9% 1.4%
学習年数                  
1年未満 370 84.6% 74.1% 51.9% 45.9% 7.8% 17.8% 2.4% 0.5%
2年未満 96 89.6% 78.1% 50% 57.3% 11.5% 17.7% 3.1% 1%
2年以上 80 86.3% 78.8% 43.8% 68.8% 11.3% 16.3% 1.3% 1.3%

・ 日本語の文字やローマ字を書く力:上位五つの項目は以下のとおり。

グラフ―日本語の文字やローマ字を書く力(複数回答可)

3.日本語学習と日本語教室

(1)日本語学習に対する意識 ―意識的に学習している人が約9割―

現在日本語を何らかの方法で意識的に学習しているかを尋ねたところ,「している」が約9割(89.7%)を占めた。

(2)希望する日本語能力のレベル ―約半数が「日本人とほぼ同様に会話と読み書きができる」ことを希望―

(1)で「している」と答えた人(全体の89.7%)に,今後どの程度まで日本語ができるようになりたいかを,8項目の選択肢を挙げて尋ねた(回答は一つ)。選択率の高かった上位五つは以下のとおり。

グラフ―希望する日本語のレベル

(3)日本語学習の方法 ―約6割が,市町村の日本語教室―

「している」と答えた人(全体の89.7%)に,どのような方法で学んでいるかを8項目を挙げて尋ねた。選択率の高かった上位五つは以下のとおり。

グラフ

4.日本語教室での成果,教室への要望など

(1)日本語教室での成果  ―「日本語で話せるようになった」「知り合いが増えた」が約6割―

教室に通うようになって良かったことは何かを,13項目の選択肢を挙げて尋ねた(複数回答可:○は五つまで)。選択率の高かった上位五つは以下のとおり。

  1. 日本語で話せるようになった            ・・・・・・・・・ 59.0%
  2. 知り合いが増えた                 ・・・・・・・・・ 55.9%
  3. 地域に住んでいる人と交流する(出会う)機会を得た ・・・・・・・・・ 36.8%
  4. テレビの内容が以前よりも分かるようになった    ・・・・・・・・・ 32.2%
  5. 名前が書けるようになった              ・・・・・・・・・ 31.5%

(2)日本語教室の成果の活用  ―「日本語を話す」「生活・文化の勉強」「友達を増やす」などが多い―

教室に通ってこれからしたいことは何かを,12項目の選択肢を挙げて尋ねた(複数回答可:○は五つまで)。選択率の高かった上位五つは以下のとおり。

  1. 日本語を話す                   ・・・・・・・・・ 71.7%
  2. 生活・文化の勉強                  ・・・・・・・・・ 54.2%
  3. 友達を増やす                   ・・・・・・・・・ 47.7%
  4. みんなと話す(話し相手を見付ける)        ・・・・・・・・・ 43.7%
  5. 自分と違う価値観(異文化)についての理解を深める ・・・・・・・・・ 30.8%

(3)日本語教室への要望  ―「通える時間帯を増やしてほしい」が3割強―

通っている教室に要望することについて,8項目の選択肢を挙げて尋ねた。選択率の高かった上位五つは以下のとおり。

グラフ

5.日本語に対する意識

(1)文化施設・公共施設の利用状況  ―図書館が最多(6割弱)―

地域で生活をしている中で利用したことのある施設について,6項目の選択肢を挙げて尋ねた(複数回答可)。結果は以下のとおり。

グラフ

(2)文化施設・公共施設利用時の使いにくさ  ―施設の使用法に関する翻訳(説明)不備や利用の時間帯など―

施設を利用したことがあるという人(全体の76.1%)に,利用する際に使いにくいと感じたことについて,6項目の選択肢を挙げて尋ねた(複数回答可)。結果は以下のとおり。

  1. 図書館の蔵書の借り方・返し方の説明等について    ・・・・・・・・・ 21.3%
  2. 美術館・博物館の展示物の内容・説明・翻訳等について ・・・・・・・・・ 17.6%
  3. 文化会館の催し物の内容・説明・通訳等について    ・・・・・・・・・ 16.5%
  4. 利用の時間帯について                ・・・・・・・・・ 14.7%
  5. 施設の場所について                 ・・・・・・・・・ 8.4%

(3)文化施設・公共施設を利用しない理由  ―施設の場所を知らない人が5割強,利用時間がない人が約3割―

「利用したことはない」と回答した人(全体の18.6%)に,その理由について尋ねた(複数回答可)。結果は以下のとおり。

  1. 施設の場所を知らない ・・・・・・・・・ 54.6%
  2. 利用する時間がない  ・・・・・・・・・ 31.5%
  3. 近くに施設がない   ・・・・・・・・・ 13.0%

6.日本語に対する意識

(1)困ったときの行政機関(役所等)訪問  ―訪ねたことがある人は2割強―

困ったときに役所を訪問したことがあるかを尋ねたところ,「はい(あります)」が23.9%であった。

(2)地域の行政機関(役所等)への要望  ―「日本語学習のための支援を行ってほしい」が最多―

住んでいる地域の行政機関(役所等)に対する要望について尋ねた。結果は以下のとおり。

グラフ

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