平成17年度 静岡県富士市立元吉原小学校

研究成果の概要

(1)研究主題

著作権教育に関するカリキュラムと授業の開発とその効果

(2)研究のねらい

本校は、情報教育の学校カリキュラムを作成・実施・修正を繰り返し行っている学校であり、情報教育を本格的にスタートさせてから6年目に入る。この情報教育の学校カリキュラムには、著作権や肖像権の概念を教える内容や、情報を扱うときの正しい判断について扱う内容がある。これらはみな、系統性を考え位置づいている。今年度は、社会で話題になっていることを上手に取り入れながら児童の実態や興味関心を引き出す教材を開発し、その効果について検証する。

(3)研究の概要

以上の取り組みを通して、系統的な著作権教育の授業を行い、積み重ねを意識した実践や教材を開発する。

  1. 著作権教育をはじめとする情報モラル教育を学校体制として行う。
  2. 本校の情報教育の観点のひとつである「情報・情報手段、情報社会に関する知識」「情報モラル・責任」の系統性を見直す。
  3. 子供が興味を持つ教材の開発を行う。
  4. 著作権教育に関する保護者への啓発を図る。

(4)研究の成果

  1. 著作権教育をはじめとする情報モラル教育を学校体制として行う。

    著作権教育を3年生から本格的にスタートさせるために、学校カリキュラムに位置づけて実践を行った。学年の積み重ねを意識しながら指導を行うことができた。(別添資料1

  2. 本校の情報教育の観点のひとつである「情報・情報手段、情報社会に関する知識」「情報モラル・責任」の系統性を見直す。

    社会で問題になっていることや子どもの活動をに沿った著作権に関する学習ができるように、どの単元の、どの部分で行うのかという位置づけを見直した。

  3. 子供が興味を持つ教材の開発を行う。

    【おもしろ写真館 肖像権・著作権について考えよう 第4学年】

    <本実践の工夫>

    1. 今まで学んできたことを振り返りながら、著作権や肖像権の概念を知識として考えるために、著作権と肖像権の学習を「おもしろ写真館」という合成写真作りの単元の最後に位置づけた。
    2. 興味関心を持って学習が進むように、担任と有名スターの合成写真を作り、題材にした。
    3. 有名スターになりすますという行為から、いくつかの関係者(有名スター本人・カメラマン・出版社)に迷惑がかかることを考えながら、著作権、肖像権について理解が深まるようにした。
    4. 学習の最後に振り返りクイズを用いて、子供たちの理解度を把握した。

    子どもたちは、著作権と肖像権を知識として得ることができた。次は、この知識を正しい行動として写すことである。そのためには、常時活動や各教科で生かすための場面設定を意図的に設定したり、普段から著作権や肖像権への意識を高めたりする働きがけが必要である。 (別添資料2

    【著作権フリーについて考えよう授業 第5学年】

    <本実施の工夫>

    1. 教師が作成した著作権フリーのサイトを使い、問題提起を行う。
    2. 利用する人や使用しない人の気持ちを付箋紙に書き表しながら、意見交換を行う。
    3. 自分ならどうするのかを考える。
    4. 社会で問題になっている著作権に関する事件について知る。

    著作権フリーのサイトは、いけないとわかっていながら、便利に使おうとする子どもがいる。また、同時に、使ってはいけないわけも知識としてもっていることも授業を通して明らかになった。本授業では、全体で問題を把握、個での追及、グループによるディスカッション、全体での話し合い、個での振り返りというように、学習体系を変化させながら課題を追求した。(別添資料1−写真6〜12別添資料3

  4. 著作権教育に関する保護者への啓発を図る。

    保護者への啓発のために、授業で行った学習や豆知識などを学校便りとして配布した。

<今後の課題>

課題について児童側と教師側に分けて考えてみると、児童側は、著作権に対する意識がかなり高くなったことがわかる。そこで、次は、知識として得たことを行動にうつせるとうにするこどが課題である。また、教員側の課題としては、著作権に関する指導ができるように、正しい著作権に対する理解と指導方法を工夫し、児童にとってわかりやすい授業を展開することが課題として挙げられる。