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講演


 
   
第一部 特別講演
   
   
「携帯向け映像配信ビジネスの現状」
   
   
岸原 孝昌 (モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)常務理事)
   
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    岸原   今回、携帯電話で行われておりますコンテンツビジネスについて網羅的にご紹介させていただきます。 モバイルコンテンツに関して本日のテーマであります映像コンテンツ分野は、まだまだこれからという状態です。ただ、携帯電話のコンテンツ、デジタルのネットワーク配信という点におきましては現在、世界最先端といってもおかしくないのではないかというふうに思っております。そういった中で一次利用コンテンツという形で、携帯電話の中からコンテンツが生み出されるような事例がでてきておりますので、本日はちょっと携帯の映像に関係しないようなところも含めて、携帯のコンテンツについて、お話をさせていただきたいと思います。それと今後、2010年以降、携帯電話の映像コンテンツを配信する環境というのが整ってきます。そういった点についても、ご紹介をさせていただきたいというふうに思っております。
それでは、まず、携帯電話の普及について、実は、この携帯のコンテンツというのはプラットフォームといわれております通信ネットワーク、これは、通信事業者さんが提供しておりますが、これの拡大にあわせてコンテンツが様々増えてきています。つまりプラットフォームに非常に依存したコンテンツとして発展をしてきております。
  岸原氏    
    先ほどご紹介ありました、着メロから着うたということでリッチコンテンツ化しておりますが、これにつきましても詳細な部分、最近の部分でご覧になっていただきますと、大きくはこの3Gと書いてあります、第3世代の携帯電話、現在、みなさんがお持ちの携帯電話はほとんどが第3世代の携帯電話になっております。第1世代がアナログの携帯、第2世代でデジタル、第3世代で通信の速度が速くなったということで、主に第2世代のときは着メロコンテンツといったものが出てきまして、これは先ほどもご紹介がありましたようにMIDIデータ、非常にデータ量の小さなものを配信していくというものでございました。それが3Gになりまして、CDと同じ音源でリッチコンテンツが配信できるという環境が整ってきた。それと、最近ですと、着うたフルということで、1曲まるごと配信するというものが出ておりますが、これはこのグラフでいう定額制の契約率といったものが非常に大きな原因を持っております。業界の中ではこの3Gの普及率と、定額制の契約率といったものがどういう状態にあるかと、それによって配信できるコンテンツというものが決まってくるという状態になっております。
  そういった中で、第2世代の着メロから始まりまして、その後に2.5世代。現在は第3世代、3.5世代というところまできております。次に2010年になりますと、LTEという方式が始まる予定です。こうなりますと、日本の携帯電話、現在2つの方式がありますが、これが、3キャリアさん、すべてLTEで統一されるという予定になっております。MCFの方ではこの携帯電話の上でのビジネスモデルといったものを大きく4つの類型で捉えております。1つは通販が典型的な、物の売買といった形で、パソコンでは一般的でございますが、コマース市場。これが物販、サービス、トランザクションと、大きく3つのカテゴリーで考えております。それと、本日のテーマでありますデジタルコンテンツ。これについてはコンテンツ市場。それと、広告プロモーション。あとは、BtoB的なものになりますが、ソリューション市場。大きく4つで携帯電話のプラットフォーム上のビジネスモデルといったものを考えております。MCFの方ではこのコマースとコンテンツに関しまして、毎年、市場規模調査を行っております。
 この中で非常に大きなポイントとなるのは、真ん中に書いてありますキャリアさんといわれている通信事業者さん。これの役割といったものが、非常に重要なポイントになってきます。コンテンツに関しましては、ほぼ100%近くがデジタルコンテンツの料金の回収代行といったものを、通信料金と一緒に回収しております。最近ですと、物販の回収代行といったものも一部取り扱うようになっておりまして、現在、認証・課金のオープン化といったテーマでモバイルプラットフォーム協議会といったものを、通信事業者さんと、コンテンツプロバイダ、ナショナルクライアントさんと一緒に協議会を運営をしております。
 この中で現在進めておりますのは、この課金回収代行システムについて、現在、公式サイトといわれているものだけに限定されておりますが、一般サイトでもこの課金の回収代行が使えるようにということで、標準ガイドラインの策定といったものを進めております。だいたい、年内には大まかな方向性が出てくるかというふうに思っております。そうしますと、こういった、これまで携帯のコンテンツが大きくなった1つの理由であります、小額課金が簡単にできる。先ほど、着メロの1つの成功要因として著作権機能があったり、料金の回収代行機能があるということでお話がありましたが、これが公式サイト以外の一般サイト、あるいは物販、それと、携帯電話を飛び出して様々なテレビであったり、PCであったりといったことにも広がる可能性といったものが出てきております。そうしますと、料金の回収代行ということで利用者課金のビジネスモデル、こういったものが携帯電話だけでなくて、ほかのビジネスに広がってくる可能性が出てきているという状況でございます。 2008年(1月~12月)のコンテンツとコマースの合計は1兆3,524億ということで、一昨年から1兆円を超えるマーケットになってきているというのが現在の状況でございます。
 こういった中でコンテンツ市場に関しては、iモード等が始まりました1999年の次の年、2000年からちょうど今、10倍ぐらいになっているというのが現在の状況でございます。2000年から2008年まで様々なカテゴリーについて毎年調査を行っておりますが、今年度は新たに実用系と、アバター/アイテム販売といったところを追加をしております。これまで実用系というのは、市場として当初からあったんですが、なかなか調査の方が行き届いておりませんでした。こちらの方は、天気・ニュース、交通情報、生活情報ということで、3つの区分で新たに出してきております。この中でも特に生活情報は、非常にパーソナルなツールであるということで、日々利用するコンテンツ、あとは、自分のプライバシーに関する情報を使ったコンテンツ提供といったものが非常に伸びております。これはいまだに対前年度比、143%という大きな伸びを示しておりまして、それ以外の特徴的なところでいいますと、アバター/アイテムがあります。これはSNSの中でゲームのアイテムであったり、あとは自分の分身という形でアバター、こういったものをネット上で販売するというものでございますが、これも対前年度比262%。2008年、1年でいきますと157億という形で非常に大きくなっているというのが現状でございます。
   
 
岸原孝昌「携帯向け映像配信ビジネスの現状」 │  関本好則「契約面から見たNHKオンデマンドの現状と課題」

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