橿原市昆虫館は、万葉集で有名な大和三山のひとつ香久山の南にある橿原市香久山公園の主要施設のひとつとして建築された。里山の山麓に沿って配置され、外壁は近郊の大型自然石の雑石積みとし、荒くて、深い目地により山肌になじんでいる。
玄関の屋根は扇状の銅版葺きで有り、昆虫のイメージを与えている。展示は新築当初から模様替えされ、より体験型のものとなっている。生きた昆虫を見ることができ、また触れることも出来る。放蝶温室は3次元のガラス温室であり、オオゴマダラをはじめ亜熱帯地方の蝶が飛翔し、蝶のために蜜源であるサンタンカなどの草花がある。この温室は大阪で開催された花博覧会の温室を手がけた株式会社日建設計のチームによる設計である。温湿度の管理、鉄骨を外部に現さない表現などすぐれている。また、多くの子どもたちが楽しんでいる姿に出会うことができる。
受賞歴等/奈良県景観調和デザイン賞・Hiroba作品賞・公共建築百選