2026年5月28日
小さな市の大きなミュージアムの挑戦(後編)
能美ふるさとミュージアム 学芸員 菅原 雄一
■前編はこちら
「能美ふるさとミュージアム」(愛称:のみふる)は石川県能美市にあります。
能美ふるさとミュージアム(通称:のみふる)は令和2年(2020年)10月17日にオープンし、昨年、開館5周年を迎えました。能美市の歴史・自然・民俗を紹介する総合博物館として多くの市民、子どもたちに親しまれています。
「入館へのハードルを下げる」ため、入館は無料としており、観覧料をいただくのは展示室のみとしています。エントランスや学習コーナー、ギャラリー、特別展示室などはすべて無料開放しており、公園を訪れるように気軽に立ち寄れる場所になることを目指しています。
特に、未就学児や若い親世代が来館するきっかけになっているのが、エントランスにある「子どもミュージアム のみっけ」です。市内の自然・古墳・民話をテーマとした遊具を備えた「のみっけ」は、全天候型の無料の遊び場として市内外の若い親子を中心に人気を博しています。こうした「遊び」の要素を入口に配置することで、博物館という場所への心理的な距離を縮め、入館者増や利用者層の拡大を実現しています。
子どもミュージアム のみっけ
のみっけ(民話コーナー)
学びの場である展示室も、教科書的な印象を感じさせないように通史的、網羅的な「常設展示」ではなく、「能き美しき能美の自然」、「能美の誕生」といった能美市の特徴を5つ取り上げ、テーマ別の自由動線としました。興味のおもむくままに、能美市の山・川・海の豊かな自然とそこで育まれた人々の暮らしを体感してほしかったのです。
歴史展示ではイラストやインフォグラフィックを豊富に導入して硬いイメージをほぐすようにもしました。他方で、館に隣接する能美古墳群の展示コーナーでは、古墳の副葬品として良好な状態で出土した古墳時代の甲冑の価値を体感できるよう、シックに抑えた空間の中で4体の甲冑を一堂に展示しており、その迫力が来館者の興味を惹きつけています。こうしたメインの展示品以外は定期的に入れ替えており、何度来ても新しい学びと発見があるよう工夫することで、リピーターの獲得につなげています。
テーマ展示室「能き美しき能美の自然」
テーマ展示室「能美の誕生」
そして、私たちが大切にしているのが、建物ができる前から取り組んできた「みんなでつくる博物館プロジェクト」です。市民と一緒に館の壁面を飾る「九谷焼タイル」を製作したり、自然展示を一緒に作るための自然観察会、昔の道具を用いたお米づくり体験などを開催し、のみふるへの愛着の種まきを進めてきました。この流れはオープン後も「のみふるひなまつり」や「のみふるクリスマス」などの季節行事に引き継がれ、地域に愛されながらともに成長する博物館としての活動を進めています。
のみふるはコロナ禍でのオープンではありましたが、入館者数も徐々に増え、近年は毎年3万人以上の方々にお越し頂いています。今年度は総入館者20万人を目標としており、今後も「ふるさと」能美の魅力を発信し続けるとともに、市民に愛されるミュージアムをめざしていきます。
のみふるひなまつり(貝合わせゲーム)
のみふる古墳まつり
能美ふるさとミュージアム
〒923-1121 石川県能美市寺井町を1-1
https://www.city.nomi.ishikawa.jp/museum/![]()
- 開館時間
- 9時~17時(最終入館時間16時30分)
- 休館日
- 毎週月曜日、第3火曜日(月曜日、第3火曜日が休日の場合翌日休館)、年末年始(12月28日~1月4日)
- 入館料
- 無料
- ※テーマ展示室観覧の際に観覧料をいただきます。
-
- 展示観覧料:
- 大学生以上 一般…300円
- 65歳以上の方、団体(20名以上)…200円
- 高校生以下、障害者手帳をお持ちの方と介助者1名…無料
- アクセス
- ●能美根上駅からのみバスで15分「能美ふるさとミュージアム」下車。
- ●能美根上スマートICから車で20分。
