2026年7月27日
「とりあえず」の古文書紹介
――古文書一年生が取り組んだ一覧表と概要目録――(後編)
京都府立丹後郷土資料館 杉田 真菜
前編に引き続き、京都府立丹後郷土資料館(以下、当館)の取り組みをご紹介します。
■前編はこちら
当館所蔵の古文書一覧表をホームページに公開した後、思った以上に多くの方々から反応をいただきました。これまで関係のあった近畿圏の研究者・博物館関係者に加え、関東圏の研究者など遠方の方にも届いたのです。
研究者からは「待っていました」「このような文書があるのかと、ページをスクロールする度に一人で盛り上がっておりました」などと感想が寄せられ、SNS上でも「なつかしい」「絵葉書が800枚以上もある」といった、丹後地域やそこにある文化財への関心の声をいただきました。
天橋立の「股のぞき」にも、様々な絵葉書がある(上野家資料のうち)
また、文書群の内容について、他の専門分野の方からの情報提供や更なるご教示をいただくことがあります。公開していなければこうした情報を得ることもなかったかと思うと、「とりあえず」であっても一覧表を作って公開してよかったと感じました。
問い合わせの内容にも変化がありました。たとえば北前船関係の資料について、今回の一覧表で「船頭」「廻船」など内容に目が留まりやすい語も併せて付したことで、従来から知られていた大規模な文書群に加え、小規模な資料群への閲覧希望が新たに寄せられるようになりました。
さらに、地域の方からは所蔵資料に関する問い合わせとともに、文書が関係する地域や家の歴史に関して教えていただく機会も増えました。報告書や目録が刊行されたあとに見つかった新たな情報等もお寄せいただき、期せずして、一覧表は単に資料を公開するツールに留まらず、研究者や地域の方々とともに情報を補完・更新されていく、いわば「育ててもらうリスト」となっています。
じっくりと腰を据えた調査研究に取り組み、正確な情報公開や1点ずつの詳細目録の整備を進めると同時に、今知りたい利用者のために、今何が提供できるかについても考えねばと思います。
当館完成予想図(リニューアル工事後)
当館は1970年の開館以来、地域史だけでなく漁業史や機業史、教育史等の比較研究においても全国からの調査を受け入れてきた歴史があり、地域で最も古い博物館として多くの資料をお預かりしてきました。資料から得られる情報を適切に整理し、広く共有していくことは重要な使命です。
現在は、一覧表の更新とともに、膨大な数のために長年にわたって未整理の状態にあった約120箱分の資料について、概要目録の作成を進めています。
岩崎英精旧蔵資料の概要目録(現在作成途中)
近年相次いでいる博物館のリニューアルですが、再開館後には新しい内容の展示やしつらえ、イベント等真新しさを求められます。
双方向型の情報提供というのは地道ながらも、リニューアル後の新しい展示や各種行事へとつながり、ひいては自館ならではの価値や役割の理解につながっていくと考えています。
京都府立丹後郷土資料館
リニューアルに向けた準備のため、令和6年7月22日(月)から令和9年秋(予定)まで臨時休館中。
【リニューアル期間中の住所】
〒626-0044 京都府宮津市字吉原2586-2(京都府宮津総合庁舎内)
【資料館の住所】
〒629-2234 京都府宮津市字国分小字天王山611-1
