問1

A社は,我が国の出版社からの依頼を受けて,海外の著作権者と交渉し,文芸作品等の翻訳出版に関する許諾契約の仲介を実施していますが,このような業務は管理事業に該当し登録の必要がありますか。(媒介又は代理・取次ぎによる管理)


(答)

A社が,自らの意思により著作物等の利用の許諾をする権限を有していなければ,管理事業に該当しません(法第2条第1項第2号,第2項)。つまり,A社が,海外の著作権者の意向なくして我が国出版社に許諾することができない場合,いいかえれば,海外著作権者と我が国出版社との間において利用許諾契約が成立するように努力しているにすぎない,すなわち媒介を行っているにすぎない場合には,管理事業を行っていることにはならず,登録の必要はありません。

これに対して,A社が海外著作権者から委任を受け,代理人あるいは取次ぎ業者として使用料額の決定を含め自らの判断で利用を許諾する権限を行使する業務は,管理事業に該当するので登録をしなければなりません。ちなみに代理と取次ぎとの相異は,前者の場合には契約が委託者(海外著作権者)と利用者(我が国出版社)との間に成立することになる(したがって受託者たる代理人(A社)は利用契約締結に際して委託者本人の名を示すことが必要)のに対し,後者の場合には契約が受託者(A社)と利用者(我が国出版社)との間で直接成立することになる点です。とはいえ,取次ぎの場合でも契約締結に伴う経済的効果は委託者(海外著作権者)に帰属することになるので,実質的には代理と取次ぎとで大きな違いがあるわけではありません。

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