今後、IPTVがどのあいだにどれぐらい伸びるかは分かりません。ただ将来的にはやはりIPTVというのは、僕は伸びていくだろうと思いますし、そこはNHKオンデマンドみたいに動画だけじゃなくて、たとえば任天堂のWiiさんのようなやつも全部つながっていると、今はテレビにいろいろなものがワーっとつながっていますけど、そこはテレビの中に入っていけば、オンラインゲームを含めて全部できるような、そういうテレビだって普及していくかもしれない。そのときに、日本のメーカーが、携帯みたいに日本では圧倒的に強いけど世界では全然売れない、そういうことに日本のテレビはなっていいんだろうかという疑問があります。
そのこと自体は、なんのために僕らはやっているのだろうというと、視聴者のためにやっているということとは別に、やはりみんなが豊かになったりとかって、そういうためにもNHKというのは役割があると思う。それを考えると本当に300円でとか、そういう考え方がいいのかどうかというのは、現場で実は走りながら「俺は自分でやっていることは正しいのかな」という思いを常に抱いていて。そのことはもう1回皆さん、これはそれこそさきほど岡本先生が「国民が決めることだ」とおっしゃっていましたけど、やはりもう一回問い直していかないと。ビジネスとして成り立つということだけでやってていいのかな、IPTVも含めた普及、特に今ですらサムソン対ソニー、松下さんとで、ほぼ引きあうような感じですから、そういうところは頑張っていくようなことにならないと駄目なんじゃないかって。
それは、たとえば東芝さんの問題もありましたけど、東芝さんだってもうかっていたら、私的録音のお金ぐらい払っていると思うのです。苦しいから払わないとかって言い出しているので、もうかってれば払っているのじゃないかって僕なんかは思っていて、だから経済産業省の中ではあんな程度のことで、実演家さん団体と何もけんかすることないじゃないかと、今までずっとみんなでやってきたんじゃないかと。実演家さん、テレビ局、いろいろな人たちがかかわって、メーカーさんが世界に伸びていくことの、俺たちは貢献してきたんじゃないか。そういうつまりもう少し仲良くするような、あるいはウインウインの関係を作るようなことを、もっと考えたらどうですかとか、あっちではいっているのです。
だからそういうことも含めて、契約でどうするかってなかなか難しい問題、アメリカがいいかとか韓国がいいかとかそういうレベルの問題じゃなくて、もっと大きな問題としてNHKはどうすべきかということを、日々悩んでいるのは実状です。実はこれが一番いいたくて今日は出て来たのだと思います。
上原 はい、ありがとうございます。NHKさんがいかにあるべきかという大きなテーマは、日本の映像媒体においての基本構造の問題だと思いますので、なかなかコンテンツ流通という話からそこまで本日議論を展開するのは難しいかなとは思いますが、今のお話の中にいろいろなテーマは含まれていたと思います。
少し関本さんのお話の中で気になりましたのは、IPTVという言葉をお使いになっているのですが、実は世界中でIPTVというのはいろいろな意味で使われております。今関本さんおっしゃっているIPTVというのは、おそらくインターネットとつなぐことによってテレビも見られれば、インターネットを通じてのいわゆるIPマルチテレビもつなげれば、あるいはインターネットの世界の、たとえば対戦型ゲームのようなものにも参加できるというような、マルチな受信インターネット機能を持った受像機であり、インターネット接続機であるというものを、意味しておっしゃっているというふうにわたしとらえたのですが、その理解でよろしいでしょうか。
関本 よろしいです。
上原 実は報告書の中には、各国のIPTVの事情をごく簡単に書いてはございまして、IPTVとして何を認めるのかというのは、非常に大きな問題になっております。日本でもIPマルチの議論がありましたけれど、当然皆さんご存知のように今の日本の普通のIPマルチテレビで、放送を同時再送信いたしますと送信可能化権の処理の問題がでてまいります。そうした部分をどんなふうに考えるのかというと、今度は同時再送信とそれからIPTVの問題というものがでてまいります。 |