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パネルディスカッション


 
   
第二部 パネルディスカッション
   
   
「映像コンテンツ契約の現状と課題」
   
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       そこの問題につきましては、若干報告書の中にはございますのでごらんいただきたいと思いますが、おそらく本日それを取り上げますと、それだけで今日は終わりということになろうかと思いますし、それをやろうと思いますとイギリスの2003年の非常に分厚いコミュニケーションアクトを持ってきて、オフコムの規則を見ないと話ができないところがございますのでそこは一応簡単に、各国でそれぞれ事情がありまして、ECなどでは、かなり思い切ったやり方がされているというところでとどめたいと思います。私個人といたしましては、文化庁さんのシンポジウムとは別に、そうしたシンポジウムをどこかで開ければ、ぜひやりたいものだとうふうに思っているというところで、今日の話しとしてはとどめたいと思っております。
   時間がだいぶ押してまいりましたがもう10~15分ほど、現状の把握というようなお話をしていきたいと思っております。現状把握というところでは、今NHKさんから非常に広いテーマまで含めてお出しいただいたわけですが、先ほど関本さんのご報告にもありましたように、実はトレソーラが世界で最初に実験を始めていたということもございまして、民放のほうでは日本テレビさんが第2日テレというかたちで、事業を進めてこられております。
今日、日本テレビの第2日テレのご担当の方、おいでいただいているようでございますので、もしよろしければ簡単に、全くNHKさんのNHKオンデマンドとは違った形ですでにスタートしている日テレさんの第2日テレの内容と、どうしてそういう方向を志向したかという点について、とりわけコンテンツ流通に絡む部分がございましたら、ご紹介いただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

太田   日本テレビの太田と申します。今お話がありましたように、第2日本テレビという動画サイトを、たぶん日本のテレビ局の中では、1番最初に動画サイトというのをやり始めました。2005年の10月からなので、ちょうど丸4年です。
   実は、お話がありましたように、NHKさんとは全然違うモデルでやっていまして、いわゆる視聴者側というか、利用者側から見ると全部無料で見られます、お金は取りませんといったようなもので、BtoBの広告モデルでやっております。
   ただこれも実は始めた当時は有料でやっていまして、去年モデルを大リニューアルして事業そのものを全く変えてしまいました。なぜ変えたかというと、NHKさんのお話に少しあったのですけど、やはり課金だともとが取れないというか、人が集まらないというか、いわゆる収益性の問題で、事業になりませんというところが1番大きいです。
   理由としてはいくつかあるとは思うのですけど一つには、これだけ動画サイトを見る習慣がついて、僕らがやり始めた頃に比べたら皆さん1度以上は、動画サイトって見たことあると思うのですけれども、そのほとんどはユーチューブさんとかニコニコ動画さんとか、無料サイトで番組がただで見られちゃいますといった中で、僕らがお金をいただいて何をだしていくのかとか、無料で見る以上にお金を取るにたる価値のあるものというのを、なかなか出していけないというのがあります。
   もう1つは、有料でそういった僕らの番組そのものを出していこうと思うと、先ほどからお話がありましたように、権利処理に膨大な手間とコストがかかって、とても1話100円とか300円とかで、ペイができないというような状況にあります。番組そのまま配信というのは、選ばれた番組以外はなかなか難しいかなというところがあります。
   ただ、4年やっていて結構知見もたまっていて、番組そのものを配信するというのは、それはそれでニーズはあるのですが、それだけでなくて、いわゆるユーザー側のニーズとでいうと、オリジナル性の高いというのですか、そこでしか見られないような質の高い動画というのは、結構求められているかなということが、だんだん分かってきました。先ほどモバイルのお話で「魔法のiらんど」だとか、「BeeTV」さんが何十万人という人を集めてやっているというのは、携帯だからお金が取りやすいということだけではなくて、そこにしかないコンテンツがあれだけたくさん、それなりの質を持ってあるということが、すごく大きいかなというふうに思っています。
   僕ら的には、今やっていることというと、もともとネットで配信できるということを、最初から見据えたかたちで権利処理したような、たとえば深夜ドラマのようなもので実験的にやっているのですが、そういうものを配信したりとか、僕らの制作力を生かした質の高いもので、かつオリジナル性が高い、ここに来なければ見られないというようなものを集めて、そこで人を増やしてそれを広告価値に変えていくというような方向で、今は進んでおりますといったところです。

上原   どうもありがとうございました。どうもやはり有料でのインターネットというのは、なかなか難しいというところが、民放もNHKさんも主体はどこであろうと同様の状況で、それがむしろモバイルの中ではどのように展開されるのかが、携帯の中ではどうなるのかというのが、一番注目されているところなのかもしれないという日本の状況かとは思います。
   日本の状況は少しおいておきまして、それでは少しだけ外国へ戻りまして、インターネットで唯一もうけが出ているだろうと思われる韓国でございますが、先ほどの販権のお話がありましたけれど、少し見ていただきたいと思います。先ほどご説明いただきました販権というのは、絵に描いてみると一応こういうかたちではないかと思います。(講演資料参考)
   つまりもともと日本では映画会社さんが、自分のところで配給ルートを持ち、なおかつ自分のところで製作部門を持ち、そして自分のところの資本で作るというのが、伝統的に行われていたスタイルですが、韓国におきましては、製作会社が製作を受け持ち、そしてお金を受け持つのは投資側であって、その主体を担ってきたのが配給会社なり興行会社であったという状況です。今、投資は配給会社なり興行会社が、主幹事社となってもっと広く投資を集めるという状態という理解でよろしゅうございますね。それを、製作会社は映像コンテンツを物(ぶつ)として納品すると同時に、映像コンテンツをさまざまに利用する権利である販権というものを全部クリアした上で投資者に渡し、投資者はそれを持ってビジネスを行うという状況であると。ここでは映像著作物の権利だけでなく、コンテンツに含まれる部品の権利もその利用についてはすべてクリアしてあると。
   ですので、この販権の内容は時代によって、たとえばケーブルに出すしかなかったときにはケーブルだけ。それが、たとえば放送もあるしケーブルもあるしインターネットもあるしというようになると、そこまで全部含まれるようになるというように、変わってきているということですね。
   これが販権ということでございまして、放送でいいますと、放送会社がこの投資者になりまして製作会社が作るということになります。放送の場合には若干違いますのは、追加報酬につきましては放送局から直接払うことが多いということでございますが、追加報酬以外の部分についてのクリアについては製作プロダクション側が一応しておくという実態があるところが、大きくいって日本等と違うというところかと思います。
   韓国においてインターネットが、うまくいっていることについては韓国独自の事情、先ほど少しお話がありましたが、物を欲しがらないという問題であるとか、さらには国自体がインターネットを進めるべく、政策を推し進めてきたところというようなところがあると思うのですが、そうした事情により韓国では逆にDVD市場がつぶれかかる状況に至っているのですが、インターネットが進んでいるというところ、もう少しご説明いただいてよろしいでしょうか。

張   韓国では放送局が子会社を作ってネット配信を始めました。ソウル放送という民放は1999年だから10年前に始めて、2001年に有料化しました。ほかのチャンネルも3つぐらいしかないのですけど、MBC、SBS、KBS全部、今自社の放送コンテンツをネット配信しています。
   先ほども韓国の問題として不法ファイル、映像ファイルの共有が問題になっている。その問題になっているにもかかわらず、収益を出しているってところは、この放送局のネット配信に権利処理が販権によって簡単になっているというのもありますし、値段も非常に安く設定されまして、いろいろな値段を選択できるというものがあるって思います。
   最近、この2~3年は国として著作権侵害を非常に強く取り締まっているので、表にでているファイル共用サイトがほとんど消えている。まだ残っているものは、非常に隠れていて使いづらくなる。一般の視聴者がただでダウンロードするために、不法なサイトにアクセスするのが非常に面倒になったというのが、一つの要因だと思います。
   それに比べて、放送局が提供しているネット配信のコンテンツというものは、そのサイトにいけば誰でも使えると、IDを使ってクレジットカードを登録したり、もしくは携帯で決済することもできます。1話あたり500ウォン、50円ぐらいです。画質が悪いものは50円ぐらいの安い値段で、画質のいいものは1000ウォン、100円ぐらいで提供している。その1個1個の値段だけではなくて、たとえば1カ月フリーパスとかもしくは場合によっては、特別な俳優さんとかドラマ監督さんのパッケージで安い値段で提供するという、いろいろな値段設定によって利用者が増えています。それによって不法共有問題がまだ残っているにもかかわらず、放送局のこのネット配信というのが収益を出しているというのが現状であります。

   

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