武庫川女子大学近代衣生活資料

登録有形民俗文化財

阪神間を収集域とする近代の都市生活者の衣生活資料

武庫川女子大学近代衣生活資料は、兵庫県西宮市にある学校法人武庫川学院が所蔵する、明治から昭和にかけての着物を中心とする衣類とその関係資料の収集です。これらの資料は、平成7年の阪神・淡路大震災で罹災した家々から寄贈された着物を母体とし、武庫川女子大学と大学附属のミュージアム設置準備室がさらなる収集と整理、研究を続けて現在に至るもので、関西地方、特に大阪市と神戸市、両市に挟まれた阪神間を収集域としています。

明治の文明開化から昭和の戦後期までの着物を中心とする資料群

衣生活資料は、着物類、着物に附属する小物類などの関連資料、和裁用の教育資料の3つの資料群から構成されます。着物類は、和装の外衣と内衣を中心に女性、男性、子どもの長着や羽織、襦袢、袴、帯などがあり、製作・使用の時期から明治・大正・昭和戦前期・戦時下・戦後期の衣生活や衣料事情を特徴づける資料群となっています。なかでも、色鮮やかで花柄などの文様に趣向を凝らした女性の礼装や外出着が点数も多く、内容も充実しており、文明開化による動力機械の導入や合成染料の普及などの染織技術の革新、西洋デザインの受容、華やかな着物の量産化と着用者の拡大などを示唆しています。

戦前期までの女子教育の資料など関連資料も充実

関連資料は、衣生活の様態を示す資料として、着物を装着する際に用いた半衿や帯締め、羽織紐などの小物類をはじめ、外出時に用いた袱紗や風呂敷、袋物などの服飾小物、履物、裁縫道具、化粧道具などがあります。教育資料は、女子専門学校や技芸学校で使用されてきた雛型や縫い見本、図案、一般家庭で用いられた型紙などで、戦前期までの女子教育の内容と衣生活の基礎をなす着物の製作方法を示す資料です。

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