「誰でもできる著作権契約マニュアル」 第2章 4. (2)
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(2)契約の内容 |
<1> 利用対象著作物の特定 まずは、どの著作物に関して利用許諾の契約を締結するかをしっかり特定することが重要です。 (ア)文章の場合
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規定例
第○条 甲および乙は、別紙記載の言語の著作物(以下、「本著作物」という。)の利用許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。 |
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規定例
第○条 甲および乙は、作品タイトルを『○○○○』とする言語の著作物(以下、「本著作物」という。))の利用許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。 |
(イ)写真、イラストの場合
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規定例
第○条 甲および乙は、別紙添付の写真の著作物(以下、「本著作物」という。)の利用許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。 |
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規定例
第○条 甲および乙は、作品タイトルを『○○○○』とする写真の著作物(カラー写真1枚。以下、「本著作物」という。)の利用許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。 |
<2> 利用許諾の範囲の特定 著作物を利用できる範囲をしっかり特定する必要があります。利用の了解を求める範囲が曖昧な場合には、その範囲をめぐって紛争に発展することがあります。 |
規定例
(文章やイラストや写真を印刷物およびホームページに掲載することを許諾する場合の一例) 第○条 甲は、乙に対し、本著作物を、下記の態様で利用することを許諾する。 (1)印刷物への複製、頒布における利用 (2)インターネットホームページにおける利用 |
規定例(イラストや写真を映像作品に使用することを許諾する場合の一例)
第○条 甲は、乙に対し、本著作物を、下記の態様で利用することを許諾する。 (1)映像作品における利用 |
<3> 独占的利用許諾契約 その作品を独占的に利用する必要がある場合には、その旨を契約で定めておく必要があります。 |
規定例(第三者に許諾することを禁止する場合の一例)
第○条(独占的利用許諾) 前条の許諾は、独占的なものとし、甲は、乙以外の第三者に対し、(1)印刷物における複製、頒布、(2)インターネットホームページにおける掲載の各形態で本著作物を利用することを許諾してはならない。 |
規定例
(第三者に許諾することを禁止すると共に、著作権者自身の利用も禁止する場合の一例) 第○条(独占的利用許諾) 前条の許諾は、独占的なものとし、甲は、乙以外の第三者に対し、(1)印刷物における複製、頒布、(2)インターネットホームページにおける掲載の各形態で本著作物を利用することを許諾してはならず、また、自ら上記各形態で本著作物を利用してはならない。 |
独占的利用許諾契約についての説明は、第1章1.(2).<1>.(エ)の「独占的に利用したい場合は、その旨規定する必要があります。」を参照してください。 <4> 著作者人格権 作品の利用に関し、著作者人格権の問題が生じる可能性がある場合は、この点を意識した契約書を作成する必要があります。 (ア)同一性保持権 無断で作品の内容や題号を改変すると同一性保持権の侵害になります。さらに、以下のような改変であっても、同一性保持権の問題が生じる可能性があります。 |
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送り仮名の変更、てにをは等の変更、仮名遣いの変更、改行位置の変更等 |
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サイズの変更、色調の変更、縦横比の変更、一部切除等 |
そのため、改変する場合には、あらかじめ著作者の確認を必要とすることを念のために規定したり、一定の場合には著作者の確認なしに改変することを規定することがあります。 (イ)氏名表示権 作品を利用するときには、その著作者名を表示する必要がありますが、あらかじめどのような著作者名を付せばよいかを契約書で定めておくとよいでしょう。著作者名を付さなくてよい場合には、その旨を契約書に明示しておきましょう。 (ウ)公表権 ここで対象としているのは、既に発表された著作物を利用する契約であるため、公表権の問題は通常生じないと考えられます。 |
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<5> 保証条項
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規定例
第○条(保証) 甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。 |
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<6> 著作物の納入方法
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上記の例の他、納入素材の検査に関する条項を設けることもあります。 <7> 対価
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規定例(一括払の一例)
第○条(対価) 乙は、甲に対し、本著作物の利用許諾の対価として、金△万円(消費税込み)を、平成○年○月末日までに支払う。 |
規定例(印税方式の一例)
第○条(対価) 乙は、甲に対し、本著作物の利用許諾の対価として、以下の算式で算定される金額を、平成○年○月末日までに、別途甲が指定する銀行口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は乙の負担とする。 |
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規定例
第○条(対価) 甲乙は、本契約に基づく一切の対価は無償であることを相互に確認する。 |
<8> 契約の有効期間 <2>においては、販売期間、掲載期間という形で、著作物の利用を了解する期間を規定しましたが、契約全体の「有効期間」を規定する形で期間を定めることもあります。 |
規定例
第○条(有効期間) 本契約の有効期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの○年間とする。 |
<9> 契約終了後の在庫等の取扱い 利用許諾期間が終了した時点において利用者が保有する商品等の在庫の取扱いについて契約書に定めることがあります。利用許諾期間の終了後も在庫品の販売を認めるような場合は、このような規定を設ける必要があります。 |
規定例(契約終了後、一定期間の販売を許諾する場合の一例)
第○条(契約終了後の措置) 本契約が終了した場合、乙は、終了後○ヶ月に限り、本件印刷物の本契約終了時における在庫を、第○条の対価を支払うことを条件に引き続き販売することができる。○ヶ月経過後は、その時点における在庫を全て廃棄するものとする。 |
規定例(即時廃棄を義務付ける一例)
第○条(契約終了後の措置) 本契約が終了した場合、乙は、本件印刷物を速やかに全て廃棄するものとする。 |
<10> その他の条項 その他、契約書には、解除に関する条項、秘密保持に関する条項、権利義務の譲渡等禁止条項、契約内容の変更方法に関する条項、協議に関する条項、管轄に関する条項等が置かれる場合があります。これら条項の説明および規定例は、第1章.2.(3)の「その他契約書に盛り込まれることのある事項」以降をご参照ください。 |
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