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DVDセルも、これも以前に比べて一本5000円前後したものが今3000円くらいで、場合によっては新作でも3000円ちょっと切るような洋画のメジャータイトルがありますけれども、これもアメリカと比較すると約1.5倍くらいと。ただし、なぜかレンタルだけは、アメリカよりかちょっと安いといいますか、ほとんど変わらない400円くらいと。
圧倒的に違うのが、テレビマーケットなんですね。ここに何か日本の映像マーケット、有料マーケットとしての構造上の問題があるのかもしれないのですけれども、やはり日本は無料で見られる地上波がもう圧倒的に面白いということがありまして、アメリカの場合、ケーブルが普通に浸透していますから、ケーブルにお金を払うということは、それで有料で映像を見ているということなので、この規模がもう5兆円あるわけですね。これが圧倒的な映像資質としての差になっているということでございます。
日本映画の活性化策というほどのことはないかもしれませんけれども、3つの「イ」でいいますと、インフラ、イノベーション、インベストメントということで、今日のテーマはこの一番最後の投資商品としての映画、流通性がある商品としての映画ということなのでしょうが、やはり僕はそれ以前にマーケット性みたいなことをもう少し認識して変えられることは変えていったほうがよいのではないかと思います。映画日常化計画とわかりやすいようにキャッチフレーズにしてみたのですが、映画が日常化していないのですね。
普通に大学生がデートで行こうと思ったら、2人で3600円かかるわけですね。そこへさらに食事したり何なりすると、1万円近くかかっちゃう。そうすると気軽に週末のデートで映画というわけにはいかないわけです。アメリカですと、2人で行ったって1200円ですから、うちでレンタルDVDを見るか、映画館に行くか、さほどイベント性として変わらないし非常に日常化していると思うのですね。ですから、映画を日常化させるということが、映画業界人として一番急務ではないかなと。
ちょっと写真に出ているチラシはわれわれ洋画の団体、邦画の団体、映画の業界団体で映画館に行こうキャンペーンというのをやっていまして、前回シニアの方々に限って割引をやったのですが、いま若い方、中学生、高校生の方があまり映画館に行ったことがないのですね。これも私がいろいろ聞きましたら、私なんか小学校の頃は先生が引率して映画館に行ったりしたものですが、最近は途中で交通事故あったらいかんというのであまりないそうですけれども、3人高校生が集まると1人1000円でいいですよと、「高校生友情プライス1・2・3」という、こういうキャンペーンを今月、7月1日から始まりまして、1年間やりますので、皆さん映画館の前で高校生が束になってくれば、少しは映画日常化計画実現になるのかなという、こういう動きが1つあります。
もう1つは今、レンタルビデオ店は非常に活性化しているし、若者のツールとしてはいいわけなのですけれども、一方で郊外化、大型化しています。これはもうちょっと身近にならないのかということで、コンビニエンスストアを使ったようなDVDレンタルの実験が、まだ小規模ですけれども、都心で始まったり、これは会員制なのですけれども、DVDレンタルをネットで予約して郵便で返すというようなサービス、これもアメリカから始まったサービスなのですけれども、これも非常に何社さんかで始まって好評だと。そのDVD料は月額1500円から3000円くらい、いろいろなコースがあるのですけれども、加入すると、リストの中から選んでいいんですね。それが郵便で送られてきて、見終わって返せば次が借りられるという、こういう方法で家から出なくても新作DVDを見ることができる。これも非常に映画日常化には、いいのではないかと。
あとはさっきもいわれていますような、いつの間にか、ファイバー大国になってしまった日本なのですが、こういった高速回線を使った映画の配信、これも有線ブロードさんはじめ毎日、新聞を賑わせていますけれども、非常な勢いで普及していますので期待できるのではないか。これがインフラ面での施策として、本当はもっと100 アイデアがあるかもしれませんけれども、それは後ほどのパネルディスカッションに譲るとしまして、1つありますね。
2番目がイノベーションということで、これはよくいわれて一番難しいことなのですが、映画コンテンツ制作をするにも同じメンバーばかり、業界全体、そうですね。制作者の方、宮島さんのほうがお詳しいと思いますけれども、そんな数千人も恐らくこの業界人っていないと思うのですよね。ですから、非常に閉じられた世界だと思いますので、やっぱり若手がなかなか育っていない。今、当社でもいろいろな機会でぴあのフィルムフェスティバルにいろいろ協力させてもらっていますけれども、いくつかしかそういう登竜門がない。
ただ、出てきた方なんかはその後、地上波のトレンディドラマを監督されたり、その後、またメジャーデビューされたりというような道もできつつありますので、そういった制作者の育成に対して、もうちょっと何とかできないのかというのと、一時期アニメがブームになったものですから、どうしてもアニメアニメとなった時期があったと思うのですけれども、やはり韓国の今の勢いを見ますと、当然ナショナリティなんて感動とか、そういうエモーションに関係ないわけなので、自分たちの得意分野、もう日本のドラマでもいいわけなのです。漫画などは『のらくろ』以降、これも80年の歴史がある日本の文化ですよね。こういったものを生かして、もうちょっと映画コンテンツに生かせるようなことというのは活性化ができないだろうかというが、イノベーションとして挙げられるのではないか。
また、商品としての映画というのが、今日の主題と聞いていますけれども、投資環境の整備。この辺りは土井さんが日々いろいろご努力されている部分なので、私はあまり専門家でないのですけれども、今回の調査研究会を通じて自分なりに勉強させてもらったところもありますので、これはやはり制作委員会方式もいいのですけれども、一般の方が、リスク要因みたいなもののディスクロージャーも必要だとは思うのですけれども、普通の商品として映画とか映像エンタテインメントがある状態にすることが大事かなと思っています。
また、こういったことを、「きわもの」の商品ではなくて、リスクの高い商品ではなくて、わかっていただくためには映画のマーケット性、これは博打や趣味のアートの世界じゃないということをわかっていただくような啓蒙活動ですよね。例えば、毎年フランスで、カンヌ映画祭というのは有名でありますけれども、その前にMIPというテレビの流通のマーケットが毎年あるのですが、これは世界中のテレビ制作者が映像を持ってきて、約5日間ですけれども、盛んに各国の人たち同士で売買をするのですね。これは非常に定着したマーケットで、日本のテレビ局から、ディストリビューターからプロダクションからみんな自分たちの作品を世界に売り込む機会があるのですけれども、こういうものの日本版をやってもいいじゃないか。あるいはそういうものをネットでもっと流通させても面白いかもしれませんし、こういった流通商品としての映画を支援するような施策というものを考えていったらどうかなあというのが、私の考えた活性化策でございます。
だいたい以上でございます。ありがとうございます。 |