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外部からの投資が映画界の中で機能的に働くようにということだという理解だと思うんですけれども、最初の1でありました、いわゆる完成リスクの問題に関して、ハリウッドのように完成、いわばボンド制度があって、それの目利きがいて、きちっとデイリー、ウィークリーで会計監査をする方がいてというようなシステムというのは、当然コストがかかるということでは、大きいバジェット、100 億以上のバジェットでしたら、当然そういったことは必要になってくると思うんですけれども、現状の日本の制作の状況をいいますと、われわれプロダクションは自分が制作委員会に参加していようとしていまいと、それは関わりなく、いわゆる制作委員会から制作委託を受ける形の契約をします。
どういう形の契約かというと、プロダクションが完成保証をするという形の契約書なんです。これは最初にいわゆるシナリオがあって、スタッフ、監督をはじめスタッフがあって、キャスティングがあって、スケジュールがあって、予算書があるという状態で契約書を結べれば一番いいんですけれども、なかなかそういう状況にはないのも事実です。いわゆる、そういうパッケージが確定する以前に契約書を結ぶケースもあるんですけれども、予算がはみ出ようとはみ出まいと、それはプロダクションの責任です、スケジュールがどうであろうと関係ありませんよ。とにかく完成させて納品させなさいと、期日までにと。これがわれわれの今、プロダクションでは大変問題を生みやすい契約書の形態にはなっているのは事実です。
逆にいえば、外部の資金を投下する方にとっては、これは都合のいい契約書だと思うんですよね。プロデューサーあるいはもしくはプロダクションが機能している間は、完成責任を負っている。現実論でいいますと、制作に取りかかって、いわゆるクランクインしたらということでいいますと、90%以上が完成させちゃう状況にはいるんで、制作現場のほうからいうと、完成リスクというのは、先ほど言った基本的なパッケージが契約書に盛り込まれた完成保証契約書があるならば、もう完成しちゃうというふうに思ってもらってほとんど間違いないという現状ですね。
1点、その報告書にもありましたけれども、クオリティを保つならば完成保証契約書があってもいいんですけれども、いわゆる成功報酬型の契約がそこにパッケージでなされていないと、利害が一致しない。要するに、いいものを作った時にプロダクション自体にメリットがあるという共犯関係がないと決して、これはソフトですから、いわゆる強いソフトにはならないなというふうに思っています。このことが報告書に書かれていると思いました。
もう1つ、2番の全体にはディスクローズの話だと思うんですけれども、現状の日本マーケットの中ではウィンドウ論という話が先ほど説明があったように、興行をやって、パッケージを売って、放送するというのが基本的にウィンドウですけれども、ほとんどのソフトの価値を決めるのが最初の興行時の売り上げだと思われますよね。これはほかの産業では製品、パッケージもそうですけれども、製品があって卸があって小売店に行って、どれだけの個数がそこに行って、売り上げがどうだったということは確認できるわけですけれども、映画の場合にはいわゆる消費サービスのために、消費しちゃったらばそれでもう確認ができないという特性がある。そのために興行の客観的な確認ができないんですね、興行売り上げの。これは誰も証明できないんですよね、実は。
興行会社が自分の窓口でこう売りましたよと行ってくれるだけなんですよ。これがよくハリウッド並みの大型投資をという議論のところで議論にならないのが、大変不思議なんですよね。
昔、日本には入場税という制度があって、これの是否論はともかくとして、税務署が裏にハンコを押したチケットでやっていたわけですから、仮に、まがりなりにでもとにかく正しい数字が出ていた。だけれども、いま吉村さんのお話にもあったように、業界内で興行がいくらですよというのとどうも違うということは皆知っている。だけども、それがどれくらいの違いだというふうなことはわからない。こんなものは評価システムという最低限のパイが不確かだという話なんですから、駄目だろうなというふうに私は思っちゃうわけですよね。
ちょっと前、経産省の委員会なんかでも案を出して、それは最終的に案としては残ったんですけれども、最低限コンビニのAOSシステムみたいなものを窓口で管理すべきだと。でないと、いわゆるマーケット動向がどうである、この映画はどの劇場でどの時間帯にどういう年齢の人がどれくらい入っていくかみたいなことが、企画開発に欠かざるを得ないものなんですね。特に大型企画だったらそうだと思うんですよね。
そういう情報を共有できることが、いわゆるハリウッド並みの大型作品を日本でもということになるんじゃないかなと、私は思っています。 |