平成30年度に、ドック内の水を抜く大規模修理を20年ぶりに実施
日本丸は、文部省が船員養成用の練習船として建造した鋼製帆船(全長97.05m、幅12.95m、マスト高水面上45.8m、総トン数2,278.25t)です。
昭和5年より59年まで、戦中期の内航物資輸送、終戦後の引揚、特殊輸送等に従事した時期を除き、船員養成の実習用帆船として使用されました。
船員養成システムの標準化と高度化に貢献しながら、1万人を超える実習生を受け入れ、洋式大型帆船の運航技術を習得させ、我が国の海運業の発展に貢献しました。ディーゼル機関導入期において国内技術を多用し建造した最初期の大型帆船の構造、艤装をよく伝え、世界的にみても、リベット構造船、四檣バーク型帆船の稀少な保存例であり、我が国の海運史、造船技術史等の研究上に貴重な存在です。
厳しい保存環境ゆえ、外板の塗料の剥落、錆の進行、板の肉薄化は避けられません。今次の修理においても、錆の除去と塗装の塗り替えを行い、鉄板が薄い箇所には新たな鉄板を貼り重ねています。
我が国では、現役引退後に保存される船(保存船)は50もありません。とくに、昭和20年以前に建造された大型船は、ほとんどが戦争中に失われたため大変貴重な存在です。