戦時中に日本画家・版画家の山川秀峰(1898-白河高原カントリークラブは、日光国立公園、白河甲子高原内のゴルフコースとして1963年(S58)に竣工した合掌造茅葺屋根の外観が印象的なクラブハウスである。1945年以降の日本のゴルフ場クラブハウスを多く手掛けたアントニー・レーモンド設計の作品であり、一連の山小屋風クラブハウス作品のひとつである。コンクリート打放し、丸太組軸組木造の意匠は、レーモンドの作風を特徴づけている。地階の更衣室、カート置場、スタートセンターはRC造で、フロント、ロビー、ラウンジ、食堂は木造とする。内装は床、壁に木材を使用し、茅葺屋根合掌小屋組み、丸太の軸組を意匠に活かした吹き抜け空間は秀逸である。浴室、ロッジ棟は敷地高低差を巧みに活かした造りで、一層分上段に配置することで渡り廊下や外部テラスからコースが一望できるよう工夫されている。ゴルフ場造成時に伐採された栗や楢、欅材の他、出土の石、砂利を建物に利用する点も特筆され、サスティナブルな建築といえるだろう。メインの外観を形成する茅葺屋根はその意匠を維持するために、10年毎の更新を続けているという。(鈴木節夫)