喜多方プラザ文化センターは、会津北部の文化活動の拠点として自治省の田園都市整備構想により1983年に建設された。
敷地は旧日中線の鉄道用地に分断され宅地化が遅れていた地域と、押切川河川合流事業により生まれた廃河川敷地活用のために導入された西部土地区画整理事業地内にある。
公園と連携したパークロードで結ばれた体育館、日本庭園、競技場に加え、蔵移築再生事業により整備された美術館や蔵の里、移築された市指定重要文化財の曲がり家により「複合イベント広場」としての界隈が形成され、多様な催し物に活用可能な施設となっている。
管理運営は、喜多方地方広域市町村圏組合が行い、館内には、せせらぎホールと呼ばれる大ホール(1,176席)小ホール(移動席370席)また、喜多方市街地内の公民館機能(中央公民館)として会議室、研修室等が併設され、お互いが連携して多様な利用形態を可能にしている。
音響効果を十分に考慮した大ホールは、その音響効果の良さから、音楽会を中心に、圏民はもとより、世界第一線の音楽家が訪れ演奏会がたびたび行われてきた。
人口の少ない都市のホールでは、舞台機構操作を専門の業者に委託するケースが多いのに対し、少人数の専門職員が舞台技術ボランティアの育成を積極的に行い、市民参加によるホール運営を全国に先駆けて実施した点は特筆に値する。このような取り組みが評価され、2006年には総務大臣賞を受賞した。
2009年から合併特例債を活用し、4年総額18億円を超える改修が実施された。これは、単なる老朽化した施設設備の改修にとどまらず、喜多方プラザが獲得してきた25年の実績と評価を損なうことなく、運営経過の中で明確化した施設の問題点について、利用者の要望や時代の要求の変化に対応するためであった。
利便性の向上のため第三練習室約80㎡を増設し、太陽光発電設備を新設、音響設備、舞台機構は老朽化した設備の改修と機能性を向上させ、全国に先駆けてホールの客電照明、施設内の照明の多くにLEDを採用、大・小ホール、ホワイエ、ロビー等の大空間の空調設備には豊富な地下水を利用した冷房方式、会議室系には個別対応方式を採用している。
客席椅子の4㎝拡幅更新(1,176を999に減席)、便所の全面改修(洋風化等)、屋外環境のユニバーサルデザイン対応等、施設本体の老朽化した内外装部分についても、歴史を大切にしながら新たな試みを加えつつ、今後の可能性を追求した改修を目指している点も評価できるだろう。(加藤俊哉)