矢祭町山村センターは、矢祭町東舘市街地を抜けた国道118号線沿にあり、1983年(S58)竣工の町営の集会施設である。U研究室＋吉阪隆正の設計である。
コンクリート打ち放しの躯体に、大きく波打った棟の瓦葺き屋根を持つ外観が目を引く集会施設である。まさに「規制にとらわれぬ大胆な造形」を手掛ける吉阪隆正らしさをあらわす作品である。
集会施設は、大集会室、和室研修室、視聴覚室、調理室を持つ施設で、町の生涯学習課がここに事務局を置き管理している。
外観のダイナミックな造形と共に内装も内部通路の壁の色がモスグリーン、視聴覚室の壁色が、薄紫、さらに外部設備パイプスペース壁がライトブルーと随所に「コルビジェカラー」が使われている。建具金物、手摺、さらには室名板にいたるまでディテールにこだわったデザインは、設計者である吉阪らしい特徴といえ、それが読み取れる施設としても貴重な建物といえるだろう。（鈴木節夫）
