やないづ町立斎藤清美術館は、会津坂下町で生まれた日本現代版画家の斎藤清の作品を展示する美術館として会津柳津町に1996年に建築された建物である。敷地は只見川と沼田街道に挟まれた平地で、道の駅と隣接し只見川の堤防近くに建っている。
設計は会津出身で県内に数多くの公共建築、文化施設を手掛けている株式会社清水公夫研究所である。平面は長方形の切妻屋根の玄関やホール、事務室、多目的コーナーがある棟と、同じく長方形で切妻屋根の展示室棟、正方形の宝形屋根のアートテラスの三棟を渡り廊下で繋ぐ形式で構成される。外部仕上げは屋根が鋼板葺で、外壁は上部を薄茶のスクラッチタイルを張り、下部はコンクリートの打ち放しで、切妻部分には木材の板が張られている。展示棟と事務ホール棟の中庭は水を張り、緻密に丁寧にデザインされている。
エントランスを進むと、天井を抑えた部分を通って開放感のあるホールに出る。スロープを上ると多目的コーナーに出る。そこは只見川に面しており大きなガラス張になっている。窓の上部には斎藤清の肉筆絵のコピーが張られており、その絵は窓から見える只見川に架かる真っ赤なアーチ橋とその向こうの福満虚空蔵菩薩円蔵寺の風景を描いたものである。絵を窓から見える風景として、上手く取り入れられている。渡り廊下をわたって展示室に入る。展示室は年4回斎藤清の作品を入れ替えて展示するという。また別棟に廊下を渡っていくとそこはアートテラスなっており、さまざまな企画を通じて地域との関わり合いながら運営されている。アートテラスも、ホール脇の資料コーナーにある巨大お絵描きコーナーも、地域に開放されおり、地域の方々に親しまれながら利用されている。(佐久間保一)