福島県026

ふくしま県民の森フォレストパークあだたら

  • 1998年竣工
  • 設計/アーキテクチャー・ファクトリー(トム・ヘネガン、安藤和浩)
  • 施工/菅野建設工業(株)、佐藤工業(株)、石橋建設工業(株)、白沢建設(株)
  • 構造形式/木造、鉄骨鉄筋コンクリート造 ビジターセンター:RC造一部木造大断面構造 地上1階、地下1階 コテージ:W造 平家
  • 用途/研修施設、宿泊施設
  • 所在地/福島県安達郡大玉村玉井字長久保68

ふくしま県民の森「ふくしま県民の森フォレストパークあだたら」は、安達太良山麓の緑豊かな森林の中に、福島県が「森林(もり)との共生」を基本コンセプトとして整備したオートキャンプ場である。自然や環境の仕組みを理解しながら、自然と共に健康で心豊かな生活を体験できる施設としている。メインの施設であるビジターセンターには、レクチャーホールの他にカフェ、温泉入浴施設を備え、周辺には戸建てのコテージ(木造)、トレーラーハウス、テントサイトなどキャンプ施設を備えている。設計者の選定は、県が指名型プロポーザルにて選定した。1999年度福島県建築文化賞(正賞)を受賞している。
敷地は、安達太良山麓に位置し広大な面積を持つ。外観は、前述した基本コンセプトに従い、自然の起伏を活かして、それぞれの施設が森の中に溶け込むよう配置しているため、自然環境と一体的になって、周囲からは建物の全容を視認することが困難な状況になっている。
内部空間にはふんだんに木質化を採用し、森林(もり)の中にいる雰囲気を演出している。1階ラウンジやカフェの大きな開口部から緑が間近に望められリラックスできる。
建築の一番の見どころは、森林(もり)と一体化した建物の配置と形状である。自然の起伏を最大限に活かし、各施設が配置されている。核となるビジターセンターは階層的には2階建てであり、上階の1階部分に入口を設けて、ラウンジやカフェに進むと法面下に森が続き、眼下に緑が広がる。地階にレクチャーホールを、法面下に温泉入浴施設を配置して、まるで緑の中に埋没しているかのように感じられる。レクチャーホールの前方の開口部は大きく全面開放できるように設え、自然の中で催しを楽しめるよう工夫してある。(新関 永)