史跡旧奥行臼駅逓所の保存修理

史跡旧奥行臼駅逓所の保存修理

史跡
北海道別海町
平成23年9月21日指定

史跡旧奥行臼駅逓所の概要

駅逓所とは、近代の北海道において、交通不便の地に駅舎と人馬等を備えて、物資の逓送や宿泊等に便宜を図るために設置された施設です。明治期以降、北海道では独自の制度として存続し、北海道の開拓と連動して発展を遂げました。

旧奥行臼駅逓所は、1910年(明治43)に現在の別海町奥行に開設されました。廃止される1930年(昭和5)までの間、人馬の継ぎ立てと宿泊、物資の逓送等を行いました。駅逓所廃止後は民間の旅館として使われ、駅逓所時代よりも賑わっていたと伝えられます。2011年(平成23)に史跡に指定されました。

[写真]旧奥行臼駅逓所の外観
[写真]旧奥行臼駅逓所の外観

駅逓所主屋の保存修理工事

史跡指定後、2016年(平成28)から2018年(平成30)にかけて、老朽化していた駅逓所主屋の保存修理工事を行いました。駅逓所時代の1920年(大正9)に建設された「北棟」は「半解体工事」とし、原則として駅逓所時代の姿に復原しました。旅館時代の1941年(昭和16)に建設された「中央棟・南棟」は「全解体工事」とし、旅館時代の建物の姿で現状修理としました。このため、屋根の仕様や壁の色などが、「北棟」と「中央棟・南棟」では異なっています。

[写真]修理工事の様子
[写真]修理工事の様子

駅逓所内部の一般公開

例年5月1日から11月3日まで、駅逓所建物内の一般公開をしています。2部屋を解説展示室とし、展示パネルで旧奥行臼駅逓所の歴史を紹介しています。また、ガイドが常駐しており、来館者の希望に応じて詳しく解説しています。

近隣には、旧国鉄標津線の旧奥行臼駅や、旧別海村営軌道風蓮線奥行臼停留所もあり、時代の異なる3つの交通遺産を一度に見て回ることができます。

[写真]駅逓所内部
[写真]駅逓所内部
文責:別海町郷土資料館 戸田博史
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