三井本館は、東京・日本橋にある歴史的なオフィスビルです。かつての三井財閥を構成する三井銀行・三井物産などの主要各社の本社が集まる、財閥の"顔" として建てられました。大正12年(1923)の関東大震災で、明治期に建てられた旧本館が被害を受けたことで建て替えが決まり 、アメリカの建築事務所が設計を、アメリカの建設会社が施工を担当しました。大正15年(1926)に工事が始まり、昭和4年(1929)に完成しました。外壁には花崗岩が使われ、接道面には堂々としたコリント式の大きな柱が並ぶ、格調高い外観が特徴です。平成10年(1998)には、国の重要文化財に指定されました。
この建物は見た目の美しさだけでなく、当時の最先端技術の塊でもありました。
鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた頑丈な構造に加え、大型機械を使った工事や、防水・防火の新しい工法がいち早く取り入れられました。また、複数の大企業がひとつのビルにまとめて入居するというスタイルも、当時としては画期的なものでした。
現在も現役のオフィスビルとして使われながら、7階には「三井記念美術館」が入り、誰でも歴史ある建物の内部を見学できます。隣に三井タワーが建てられた際も、三井本館の景観を守ることが最優先とされました。古い建物を壊さずに活かしながら街を発展させる、「保存と開発の両立」の手本として、日本橋の風景を今日も支えています。