文化庁主催 第3回コンテンツ流通促進シンポジウム
日本映画界は、ハリウッド映画並みの大作を作れるのか?−外部資金の活用を考える−

2005年7月13日 国立オリンピック記念青少年総合センター(カルチャー棟大ホール)
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特別講演
李 鳳宇 (リ ボンウ)
シネカノン
代表取締役

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このファンドのお金がいま現在、いろいろな形で使われていますが、去年度でいいますと、韓国映画の制作総資金の額というのは3400億ウォンくらい。ですから、日本円でいいますと10分の1ですね。それくらいが制作で使われたお金ではないかといわれています。この中のだいたいファンドで負担される金額というのが、恐らく60%くらいではないか。後の40%くらいが映画会社だといわれているんですね。

特に配給網を持った映画会社、今一番大手はCJという会社ですね。その次にショーボックスという会社が映画のチェーンを維持していますね。ですから、この2大勢力にだんだんなってきたかなと。数年前までだと、シネマサービスという会社があったり、ここに準ずるような会社がいくつかあったんですが、その辺がかなり淘汰されてきまして、今はだいたいこの2社がメジャーではないかといわれてまして、将来的にこの2社、もしくはもう1社加わって3社くらいに韓国の映画会社というのは、特に配給興行力ということを中心に集約されていくのではないかなといわれています。

これは、韓国映画界全体としてはあまり望ましいことではないといわれています。日本の例にあるように、これは興行制作配給というもので独占していくのではないか。ですから韓国映画振興委員会とか、国のほうでは非常に危惧しておりまして、この傾向に何とか歯止めをかけられないかということを、また委員会で検討をしているようです。

このいろいろなファンドがいま存在しまして、去年度の総制作費を言いましたが、このファンドの変遷といいますか。映画の作られ方ですね。少し映像を見ていただきたいんですが、映像を見ていただくとすごくわかりやすいかなと思いまして。

まず当初、このファンドを用いてどんどん作られるようになったのがこの2000年以降です。それ以前は、やはりどういうふうに作られたかといいますと、映画会社がやはり単体として作っていました。その映画会社も零細だったわけですから、ある程度の制作費がかかるものというのは、この場合大企業が映画制作事業団というものを作って参入していたわけです。特に97年から2000年にかけて、この3年間か4年間くらい、韓国映画は大企業、特にサムスンとか現代(ヒョンデ)、あと大宇(デウ)という会社、この3社がほとんど映画事業団というのを作って、自社のパッケージも自社の家電も売るためにソフトを確保していたという時代がございました。

この時代があって、今の映画の基本的な制作システムが整備されたといわれています。それまで非常に零細企業がやっておった、何か中小企業だったわけですが、各社。ですから、非常にシステムが古かったわけです。この大手が入ってくることになって、非常にシステムが整備された。あと、監督のギャランティやキャスト費や、そういうことが非常に透明化されて、非常にリーズナブルになったといわれています。

この3年間くらいはいろいろなことを模索をしたんですが、非常にヒットをする作品はでもなかなかなかったんですね。非常に過渡期といわれていまして、当初、金大中大統領がいろいろな整備をして、いろいろな助成をしましたが、すぐに結果が出なかった。

一番初めに結果が出たのが、サムスン映画事業団というものがずっと投資を続けてきて、もう駄目で解散をすると決まったのですね。解散が決まった時に、一番最後に作ったものがヒットしました。これが『シュリ』だったわけですね。この『シュリ』という映画は、サムスン映画事業団の一番最後の作品とされています。これが爆発的なヒットをするわけです。それまでソウルでの観客動員が100万人を超えると最高のレベルで、全国の興行収入、観客動員数で200万人を超える映画がなかったわけです。この『シュリ』という映画が初めて560万人という記録を打ち立てて、今までの韓国映画をまったく違うステージに持っていったわけですね。

ただ、これはこの『シュリ』という映画の成功と大企業における映画制作というものの終焉と両方意味するわけです。その後に急激にいろいろな形が変わってくるんですが、これはちょっと映像を見ていただきたいんですが、『シュリ』という映画と、その後ちょっとお話しします『JSA』という映画のことをちょっと見ていただきたいと思います。映像、どうぞ。

[ 映像放映 ]
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