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パネルディスカッション


 
   
第二部 パネルディスカッション
   
   
「映像コンテンツ契約の現状と課題」
   
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司会   それでは、お待たせいたしました。ただいまから第二部を開始いたします。「映像コンテンツ契約の現状と課題」というテーマで、パネルディスカッションを行いたいと思っております。
本日は、映像コンテンツの多様な利用を可能とする契約ルールの形成につきまして、海外の状況とも比較しながら、今後どのような方策が考えられるのか。また、ユーザーも含む多くの関係者が納得できるような、映像コンテンツの流通の将来像について、語っていただくということにしております。また、会場にいらっしゃいます方にも、適宜、意見を伺いつつ、進行させていただくといった段取りで進めたいと思います。
 なお、パネルディスカッションの模様は、後日文化庁のホームページで、公表させていただきますので、意見を述べられる方におかれましては、あらかじめ、ご了承ください。それでは、本日のコーディネーターとパネリストの皆さまを、紹介をさせていただきます。それぞれの方のプロフィールにつきましては、お配りしております、チラシをご覧ください。

   
         
     皆さまから向かいまして左手ですけれども、国士舘大学大学院客員教授の上原伸一様でございます。上原様は、長らく、放送局の著作権の部門で活躍され、また、日本民間放送連盟の著作権専門部会法制部会主査もご歴任されて、放送関係の内外の契約システムの状況について、大変造詣の深い方と承知しております。このようなことから、本日は、コーディネーターをお願いしております。
 続きまして、パネリストの方をご紹介いたします。俳優であり、日本芸能実演家団体協議会の専務理事の大林丈史様でございます。先ほどご登壇いただきました、NHK放送局の特別主幹の関本好則様でございます。それから、東京都市大学専任講師の張睿暎(チャン・イエヨン)
  上原氏    
    様でございます。弁護士の升本喜郎様でございます。それから、本日は、海外実態調査の事務局を務めていただきました、著作権情報センター附属研究    
    の財田(たからだ)研究員にもご登壇いただいておりますので、適宜、ご説明をお願いするということにしております。
それでは、これから先の進行は、コーディネーターの上原様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

上原   どうも、ただいまご紹介にあずかりました上原でございます。それでは、これから、第二部パネルディスカッションということで、よろしくお願いいたします。
 第一部におきましては、かなりみっちりしたスケジュールでありましたので、どのような講演が展開されるかと思っておりましたが、地理学入門から始まりまして、時事放談が入りまして、その後は、著作権の権利処理のみならず、メディア論と、多岐にわたるご発表がいろいろとあったかと思いますが、このパネル討論では、基本的に、この映像コンテンツに関する報告書、最初に岡本教授が、この表の読み方とそれに基づく、結果分析をされましたが、そこの部分に戻りまして、この報告書をベースにいろいろな議論ができればと思っております。
まさにコンテンツ流通、とりわけ、映像コンテンツ流通促進ということが、ここ数年間、叫ばれておりまして、とりわけ、昨年ぐらいからは、それがさらにヒートアップしている状況かと思います。その中で、2006年度から、文化庁さんから、「映像コンテンツ流通というものが、日本ではうまくいってないけども、海外でうまくいっている、あるいは、海外でうまくいっているのになぜ日本でうまくいってないのだ、というような声が、起き上がってきている中で、実際に海外はどのようになっているのかということを、法律制度だけではなくて、現実のビジネスの現場の中で、どのようなシステムで権利処理が流れているのか。その契約システムはどうなっているのか。」という調査を委託されたわけでございます。
 最終的に、3年間かけまして、韓国、アメリカ、イギリス、フランス、4カ国の調査を行いまして、その結果をまとめて、この報告書にしているわけでございますので、詳しくはこの報告書を見ていただければ結構かと思いますが、これだけ分厚いものを、今日渡されて全部読むというわけにもいかないと思いますし、一応、この報告書におきましては、2007年度に行いました、韓国とアメリカの調査については、今年度の本年3月末時点のフォローも、最後のところに若干付け加えているところでございますので、そうした各国の状況というものを、皆さんにご報告し、そして、第一部でありました、岸原さんや、あるいは関本さんからのご報告にあった、日本の現在の状況と見比べつつ、果たして、日本が今どのような状況にあるのかということや、あるいは、今後、どのようなことが考えられるのか。あるいはどこかお手本になるようなところがあるのか、というようなことについて、討論をしていきたいというふうに考えております。
 実際には、そうは言いましても、90分ほどの短い時間でございますので、そんなに大層な展開ができるということではないと思っておりますので、活発な情報交換と意見交換ができればというふうに考えております。そうした活発な意見や情報の交換が、今後の議論のきっかけになればというふうに思っております。そのためには、パネリストの皆さんのご協力を、ぜひ、お願いすると共に、本日は、今日おいでいただいている参加者の皆さんのご協力もいただき、フロアからも大いに、さまざまな情報、ご意見等をいただいて、全体として、活発な、意見交換の場になればというふうに考えておりますので、パネリストの皆さんはじめ、フロアの皆さんにも、これからは、よろしくご協力をいただいて、進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、パネルディスカッションを、始めるに当たりましては、今回の海外実態調査で行いました、4カ国の簡単なご報告から開始させていただきたいと思います。韓国につきましては、パネリストの張さんから、そしてアメリカにつきましては、同じくパネリストの升本さんから、後ほどプレゼンテーションをいただくことになっておりますが、イギリスとフランスにつきましては、今回、調査に同行いただき、この報告書の執筆にも、一緒に参加していただきました、著作権情報センター附属研究所の財田研究員から、報告をしていただきたいと思います。それでは、財田さん、まず、イギリスとフランスについて、ご報告、よろしくお願いいたします。

財田   著作権研究所の財田と申します。よろしくお願いいたします。早速ですが、まず、フランス、続けてイギリスの調査結果をご報告させていただきたいと思います。
 まず、フランス法の特徴ですが、フランス著作権法は、日本の著作権法のように、細かく支分権を立てておらず、「著作者に属する利用権は、上演・演奏権及び複製権を包含する」として、利用権としては、上演・演奏権と複製権しか定めていません。しかし、この上演・演奏は、日本著作権法の上演、演奏よりも広く、「いずれかの方法によって、著作物を公衆に伝達すること」と定義されており、展示や上映、テレビ放送等も含む、広い概念となっています。フランス法では、「テレビ放送」には、ラジオ放送、インターネットを通じての送信も含まれます。ただし、実務上は、例えば地上波放送の許諾と、インターネット送信の許諾は別に取り扱われています。
 次に、映像関係の著作物に関しては、「映画の著作物その他の音を伴う、又は伴わない映像の動く連続からなる著作物」が、「視聴覚著作物」と定められており、劇場用映画、放送番組、ビデオシネマはすべて、視聴覚著作物です。日本著作権法29条2項の、「専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物」といった、放送番組についての特別の定めはありません。
 この視聴覚著作物は、最終版が、監督または共同著作者と、製作者との合意によって確定されたときに、完成されたものとみなされます。最終版の改変には、これらの者の同意が必要とされています。加えて、フィルムで製作した映画を、テレビ放送用にビデオにコピーする場合のように、他目的で他媒体へ転写する場合、監督との事前の協議が必要となっており、著作者人格権を有する者に、強い権利が与えられています。
続きまして、視聴覚著作物の著作者ですが、画面上に表示されている、監督を含む、,らΔ亮圓挙げられています。視聴覚著作物の著作者の権利に ついては、視聴覚著作物の製作契約によって、視聴覚著作物の排他的利用権、すなわち、著作権が製作者へ推定譲渡されます。ただし、この契約は、書面で確認され、また、利用方法ごとに、著作者に報酬を支払わなければならないとされています。さらに、未知の利用方法で利用する権利の譲渡条項は明示規定とし、かつ、利益配分の定めが必要となっています。そのため、インターネット使用が一般的でなかった時代に、インターネット上の利用も含めた権利譲渡を受けることは、現実にはほぼ不可能だったといえます。なお、楽曲の著作者の権利については、譲渡推定が働かないことになっていますが、日本のJASRACと同様に、SACEMと呼ばれる集中管理団体による集中管理が進んでおり、実務上はスムーズな処理が行われています。

   

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