タイトル画像

講演


 
   
第一部 特別講演
   
   
「携帯向け映像配信ビジネスの現状」
   
   
岸原 孝昌 (モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)常務理事)
   
<<前のページ  |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  次のページ>>
   
   
   

 それ以外の特徴的なコンテンツについて若干、見ていきますと、音楽系のコンテンツ。実はモバイルコンテンツの中では、分野としては一番大きなところになってきます。先ほど、着メロ、1,000億マーケットにいったということでお話がありました。その後第3世代のネットワークが普及してきたということで、着メロから着うたへといった流れが出てきております。現在この中で、着メロ、着うた、着うたフル、それと、リングバックトーン、これが合計しまして1,773億円ということになっております。最近、伸びているところですと、着うたフルと、あとは電話をかけたときに相手が出るまでの間に音楽鳴らすリングバックトーンといわれています。実は韓国などですと、こちらの方の市場の方が大きくなっておりますが、日本でも遅ればせながら、こちらの方の市場が今、立ち上がってきているという状態でございます。
 それと、携帯のコンテンツの中では、コミュニケーションといった機能が非常に大きなポイントを示してきますが、今日、いらっしゃる方はあまりご覧になったことはないかと思うんですけど、最近の若い子たちは普通のテキスト、それから、絵文字といったものがすでにもうこういった形の動く絵を使ったメール、デコメールと一般的にいわれている市場でございますが、こういったものを日々送るというのが1つの大きなコンテンツ利用になっております。携帯電話のコンテンツは、成功要因としていくつかあるかと思うのですが、1つはこういったコミュニケーションに起因するコンテンツといったものが、成功するための1つのキーファクターになっております。これ、パソコンの中ではHTMLメールという形であまり普及はしなかったのですが、携帯電話の中ですと、非常に自分の感情を表現するといった点で、市場として大きくなっているというのが現状でございます。ほかのコンテンツ、先ほど紹介しました、着メロもそうですが、実は携帯電話のプラットフォームで配信するから、1,000億のマーケットになっている。実は、そこから出てしまいますと、ほとんど誰も価値を認めてくれないというコンテンツが、携帯電話の中ですと新たな価値を生んでくると、非常に特異なマーケットになっているのではないかなというふうに思います。
それと、最近非常に伸びてきているところとしましては電子書籍。大きくはコミックマーケットが非常に大きく伸びとしては示しているのですが、これまで、リアルな書店では顕在化できなかったマーケット、特に若い女性向けのコミックといったものが配信を中心に今、伸びてきているという状況です。すでに400億近くなってきておりますので、当初牽引してきたそういったコミックから、今、様々なコンテンツ、分野としては非常に多くありますので、こういった点に今、広がりつつあるという状況です。
 流通のところに関しては、これはリアルな部分と同じで、電子書籍の中にも取り次ぎといったものの仕組みができてきております。こちらの方はモバイルブック・ジェイ・ピーさんの方の図をちょっと示させていただいておりますが、配信するコンテンツプロバイダといったものの数が非常に多くなっております。ここと出版社をつなぐ取次ぎ機能として成立をしております。これは後ほど、契約の集中処理といったところでもお話をさせていただきますが、多数のプレイヤーが出てきたときに1対1の契約、あとはコンテンツの流通といったことになりますと、非常に手間がかかってくる。とこを集中処理することによって、多数のコンテンツを効率よく、簡便な手続きで届けることが可能になってきます。そういった点で、取次ぎといったものもデジタルの中で成立をしてきているという状況でございます。
 ここからは、携帯の中の動画の配信のビジネスモデルといったものについて、若干ご説明をさせいていただきたいと思います。動画の配信のモデルとしましては、先ほどいいましたように、携帯電話というのはまだネットワークの速度が遅かったりということで、後発でございますが、PCを含めた形で配信といったものが大きくなっております。ただし、携帯電話は、先ほどの課金システムと、著作権機能があるといったこともありまして、この有料の配信モデルと、利用者から課金をするというビジネスモデルを成立させる上では、携帯への展開といったものが必須になってきております。そういった点で、パソコンで始まりましたニコニコ動画であったり、こういったサービスも有料化をされています。それと、最近ですとBeeTVさんは、携帯電話向けに一次コンテンツを、製作しまして配信をしております。現在、2009年8月時点で、もうすでに70万人という方が加入されているようでございますが、こういった携帯向けの有料モデルといったものが非常に増えてきております。それと、携帯の無料モデルもありますが、QTVさんは、無料サイトで集客したものをアニメーション等の有料配信のサービスにつなげていくということで、最終なビジネスモデルとしては、利用者課金といったことにつなげていくといったものが携帯のコンテンツの特徴というふうになっております。
 動画配信の行われているプレイヤーの分布ということでございますが、キャリアさんを中心に行われているもの、あとはコンテンツプロバイダ、それと、放送局さん、大きく動画に関しては3種類のプレイヤーが今、携帯で配信をしているという状況というふうに思っています。
この中で今、特徴的なところですと、BeeTVさん、こちらの方はエイベックスさんとドコモさんが出資して作られたエイベックス通信放送株式会社さんが現在配信を行っております。現在、20番組以上、200タイトルを配信するということで、ドラマから音楽、お笑い、アニメなどテレビで配信されているのと同じような形で、30秒から10分程度です。こちらの方は「10Miモーション」といわれているドコモさんのフォーマットを使って配信をされておりますので、だいたい、最長でも10分程度といったものが1つの番組の単位になっているようでございます。
 こちらの方のプラットフォームでございますが、1つは、この一次コンテンツを製作していくといったことが主眼におかれておりまして、ここで新たな原版、放送原版を作りまます。当然、一次利用としては携帯電話の中で配信をしていくことで会員数を増やしていくというのが1つのビジネスモデルになっております。それと、この原版権を持つことによって様々なDVDであったり、あとはインターネット配信、あとは、テレビゲームであったりといったマルチユースつなげていくというのが、プラットフォームの方向性として示されているようでございます。
 実際にこちらの方の配信モデルにつきましては、様々な、これまで収益分配モデルというものがありましたが、今回、たぶん新しい配信モデルになると思いますが、携帯の配信の印税といったものを実績に応じて分配をしていく。まずは、通信事業者さんの手数料を引いた部分に関して、ダウンロード数、利用の数に応じて視聴の占有率といったものをかけまして、1番組あたりの分配の金額というものを確定します。その上で、番組に関係するキーキャスト、キーのスタッフさんの分配率というものに応じて、それぞれ分配をしていくということです。実際に先ほどの携帯の配信以外のマルチユースを行った場合も、これと同じような計算式で分配をしていくということが、当初、携帯から一次コンテンツを作る段階ですべての契約、あとはこういった印税の契約を行うというのが1つの大きな特徴のようでございます。
 これは先ほどの携帯から進んだところでございますが、レンタルのDVDということで、これは11月6日ですので、来週になりますが、これまでに100万人以上が視聴したといわれている3作品を中心に、まずはレンタル先行で行ってくるということのようでございます。DVDですので、まずはセルということが考えられますが、1つは携帯電話のユーザーとの相性、月々300円ぐらいを払っていくといったものと、実はレンタルモデルというのは非常に近いモデルになります。携帯電話の動画配信の中でも、1つはこのレンタルで利用するのと同じような形で、例えば、アニメーションなんかも300円ぐらいで数日視聴ができる。これはビデオ屋さんに行って、動画のDVDを借りてくるのと同じような形になっております。非常にユーザーさんにとしては受け入れやすいといったものがあるようでございます。一部、こういった携帯で作ったものをDVDセルで販売をするというモデルもありますが、そういったものよりはレンタルとの相性と、そういった展開といったものが、非常にニーズがあるということのようでございます。
 それと、ほかのキャリアさんの方になりますが、ソフトバンクさん、こちらは最近ですとお笑いバトルということで、この中で実際のお笑いの投票ができて、オリジナルのコンテンツを作っていくといったものも発表されておりますが、ネットワークの状態からということもありまして、1分30秒程度の非常に短いコンテンツとになっております。

   
         
岸原孝昌「携帯向け映像配信ビジネスの現状」 │  関本好則「契約面から見たNHKオンデマンドの現状と課題」

<<前のページ  |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  次のページ>>