高崎市庁舎(シティホール)は、延床面積44,774㎡、高さ102.5mの鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、地下2階・地上21階建ての建築で、地下駐車場は391台が駐車でき、隣接棟に併設するシティギャラリーの地下駐車場と合わせ583台の収容を可能としている。設計は久米設計、施工は竹中 戸田 井上JV建設共同事業体が担当し、着工は1994(平成6)年12月、竣工は1998(平成10)年3月である。2000(平成12)年には日本建設業連合会による第41回BCS賞を受賞している。群馬県内で初の高さ100m超の建物であり、翌1999(平成11)年に竣工した群馬県庁(高さ153.8m)に次ぐ2番目の高層建物(2025年時)である。
南北に長い楕円形の形状は、群馬県の強い空っ風を意識したもので、建物からビル風が発生するのを最小限に抑えるために、風洞実験に基づく形状設計により風に逆らわない構造とした結果である。テレビの電波障害についても考慮されており、建物を電波の方向とほぼ平行にすることによって障害の範囲を小さくしている。外壁の楕円平面図の4ヵ所には魚のエラを模した外気取り入れ用のスリットが設置され、建物内に蓄積された熱を夜間のうちに除去する換気システム(ナイトパージ)と新鮮空気の取り入れ口を兼ね、外観上の特徴ともなっている。
地球環境への配慮もみられる。たとえば、屋根に降った雨水を集め、中水道として低層階のトイレで洗浄水に利用したり、冷暖房の熱源に地下水を利用した地域冷暖房システムを採用するなどの工夫がその例である。
建物の中心部分は、21階建ての行政棟(40,337㎡)で、その低層部には屋根の大部分をトップライトとした3階迄の吹抜をもつ生活サービス部門が配されている。その脇には5階建ての議場棟(4,396㎡)がある。高層棟の最上階21階には展望ロビーとレストランが設けられ、白衣観音や上毛三山が全て見渡せる。この建物には「スーパーストラクチャー」と称される構造形式が採用されている。一般的な構造体は柱に支えられる梁は各階毎に配置するが、本建物では4階、12階、20階には、スーパー梁またはメガトラスと称すSRCトラス梁が配され、両側には大断面柱が用いられている。風洞実験に基づく形状設計やスーパーストラクチャーは、建設当時の技術の発展を例示〈技術性〉している。これにより大きな室内空間の確保が可能となり、市民利用の多い窓口業務を一か所に集中させることができ、市民情報センターは3階迄の吹抜空間に配置することが可能となった。正面玄関や市民ロビー、最上階ロビー、議場ロビーなどには高崎をイメージしたものから前衛的な作品まで国内外を代表する世界的な作家による美術作品が展示され、継続して市民に親しまれ利用されている。(赤石 純)