沖縄県030

佐喜眞美術館

  • 1994年竣工
  • 設計/建築研究室 DAP(真喜志好一)
  • 施工/大晋建設株式会社
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 平屋建 コンクリート
  • 用途/文化施設
  • 所在地/沖縄県宜野湾市上原

■概要
普天間飛行場として接収された先祖伝来の土地を相続した佐喜眞道夫氏が、丸木夫妻から「沖縄戦の図」の里帰りを託されたことを機に、その土地に美術館を建設することを決意し、日本政府、米国に対して難航した交渉の末に諦めずに返還を勝ち取り、結果として基地のフェンスを動かしたことに繋がったメモリアルな場所に建つ。佐喜眞氏自ら平和思想家でもある真喜志好一(建築研究室DAP)に設計を依頼した。竣工は1994年。大晋建設株式会社が施工した。

■建物の特徴
- 構造と形式:壁式鉄筋コンクリート造平家建てで、楕円形の広場を中心とした空間構成を持つ。
- 平面計画や意匠:美術館は佐喜真家の亀甲墓を包み込むように配置され、楕円の広場は列柱とピロティで囲まれている。ガラス張りのロビーと一体化したこの空間は、沖縄の民家の軒下のような半屋外空間を形成している。ロビーからは普天間飛行場のフェンスが見え、「もの想う場」として土地の記憶を感じさせる意匠である。展示室の軸線と屋上階段の軸線は、沖縄戦における組織的戦闘が終結した慰霊の日(6月23日)の落日の方位に合わせて計画されている。3つの展示室で構成されており、一番大きな展示室には「沖縄戦の図」が展示されている。
- 改変歴:竣工時はコンクリート打ち放しであった外壁は、後に塗装されている。

■評価
〈作家性〉〈地域性〉 本建物は、真喜志好一の思想が集約された作品である。彼は沖縄の文化を「珊瑚に支えられた文化」と捉え、外来文化を受容し変容させてきたと論じた。本建物は、この地域に根差した平和的環境建築思想を体現している。普天間飛行場に隣接するという特異な立地で、騒音や危険と向き合いながら、設計者と施主の平和への強い意志を形にした。先祖崇拝の象徴である築270年の亀甲墓を包み込むように配置され、外部展望階段と展示室の軸線は沖縄戦の終結を示す「慰霊の日」の落日に合わせて計画されている。これは、地域の歴史や文化、そして記憶を継承し、平和を祈るという強いメッセージを、建築という形で誇示し続ける意欲的な試みである。

■現状
修学旅行をはじめ、多くの人々が平和学習の場として使用している。