







太陽光、風力発電と異なり出力の安定している再生可能エネルギーとして期待される地熱発電設備として、阿蘇くじゅう国立公園近傍に建設された。
地熱発電は、各方面で実用化に向けた研究開発が行われ、1966年に最初の本格的地熱発電所である岩手県八幡平市の松川発電所が、翌年には大分県九重町の大岳発電所が運転を開始した。2024年4月現在での国内の地熱発電所設備容量は約51万kWとなっている。(発電端出力1,000kW以上の発電所に限る。)
八丁原地熱発電の沿革としては、1949(昭和24)年:大分県下の地熱地帯の地質等の調査に着手。その後1963(昭和38)年:九重町八丁原地区の地質等の調査を開始。1977(昭和52)年6月:1号機の営業運転を開始した。九州においては大岳発電所についで2番目、全国では5番目に完成している。
なお、1990年6月には2号機を完成し、合わせて発電出力11万kWを誇る日本最大の地熱発電所である。
八丁原地熱発電所は、活火山である九重連山に近い標高1,100メートルの高原に位置し、九重連山の地熱地帯の熱によって加熱された高温の蒸気を利用して発電を行う。発電所は無人で運転されており、必要に応じて対応する随時監視を行っている。発電所には展示館が併設されており、見学が可能である。
地熱発電は地下から取り出した高温・高圧の蒸気と熱水を分離させ、分離した蒸気だけを使って発電する「シングルフラッシュ方式」が一般的であるが、八丁原発電所では分離した熱水から更に蒸気を取り出して発電する「ダブルフラッシュ方式」を世界で初めて採用している。
2024年4月現在、深さ760mから3,000mの井戸が 24本あり(うち生産井は13本)、そこから合計で1時間あたり約660トンの蒸気を得ている。発電に利用された後の熱水は11本の還元井で地下に戻される。
敷地全体は、約2km×1.5kmに及ぶ広さであり、主蒸気輸送管延長は1号機が1,050m、2号機が2,945mの規模である。
八丁原地熱発電所は建設経緯に示したように地熱発電所としての歴史も古く、最大発電出力を有する特徴を有している。また、地熱発電は一般的に施設概要で示したように「シングルフラッシュ方式」が用いられているが、八丁原発電所では分離した熱水から更に蒸気を取り出して発電する「ダブルフラッシュ方式」を世界で初めて採用していることも大きな特徴である。
また、地熱使用の設備は純粋な蒸気使用の発電よりも経年劣化が厳しく、設備の更新が必須であることも特徴である。これらの特徴については併設の展示館において、一般の方にも分かり易く紹介されている。
本発電所は歴史的な設備であると共に、地熱発電方式としても世界初の方式を採用した点、また、日本最大の地熱発電出力の設備として評価できる。(山極時生)
1) 九電みらいエナジーホームページ、https://www.q-mirai.co.jp/
2) 九州電力株式会社ホームページ、http://www.kyuden.co.jp/
3) 日本地熱学会ホームページ、http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/
4) 資源エネルギー庁ホームページ、http://www.enecho.meti.go.jp/
5) 財団法人エネルギー総合工学研究所ホームページ、http://www.iae.or.jp/index.html
6) 日本地熱協会ホームページ、chinetsukyokai.com