電力
変電所
S007

熊本変電所

  • Kumamoto Substation
  • 所在地/熊本県菊池郡大津町古城376-1
  • 構造形式/絶縁階級500L、回線数4/変圧器:防音建屋方式、ガス絶縁開閉装置(GIS)直結、送油自冷、容量・バンク数:1000MVA×1バンク/ガス絶縁開閉装置(GIS):全GIS方式、定格電圧550kV、主母線定格電流8000A/(220kV変電所から500kV変電所への昇圧工事)
  • 事業者/九州電力株式会社
  • 着工/竣工年月/1983.6/1985.5
  • 設計者/九州電力株式会社
  • 施工者/500kV機器製造会社:株式会社 日立製作所
  • 所有者/九州電力送配電(2020年4月に九州電力から分社化)
  • 受賞/文化財/ -

建設経緯

九州電力送配電では、電力需要の増加や電源開発に対して、1985(昭和60)年に220kV南九州幹線・新熊本幹線を500kVに昇圧すると共に、同時期に新設した新熊本変電所(500/220kV、100万kVA×1バンク)に連係し、安定運用を図った。

当時の最新の変電所においては信頼性、安全性、保守の省力化などの面からSF6ガスを絶縁媒体としてガス絶縁開閉装置(GIS)の採用が多くなり、既設500kV変電所においても同様の理由からGISが適用されるに至っていた。

九州電力の66kV、220kV級の変電所では信頼度および保守の省力化をより向上させた「全GIS方式(主母線を含めた全ての開閉機器を接地タンク内に収納)」が以前から採用され、従来の開閉装置に比べ有利であることが実証されていた。このため新設する新熊本変電所の開閉装置には、信頼度、保守の省力化はもとより耐塩、耐震設計の合理化及び機器据え付けスペースの縮小化を考慮して、主母線までガス絶縁化した九州電力初の「500kV全GIS方式」を採用することとなった。

施設概要

500kV変電所の母線方式については、九州電力の既設変電所の場合、信頼性向上と機器据付面積の縮小化のため、「2重母線1-1/2断路器方式(1回線あたり3台使用)」が採用されてきたが、今回は次の理由により「2重母線1母線連絡方式(母線連絡用遮断器使用)」を採用することになった。(1) 全GIS方式の採用により、各機器の信頼性向上および据え付け面積の大幅縮小が可能になった。(2) 他回線への事故波及を最小化できる等の効果があった。

主母線配置については耐震性、美観、事故時対応などの観点から「地上水平配置方式」「回線交互引出し方式」とし、絶縁設計及びGISのコスト低減のため、主母線亘長を可能な限り短縮している。この構造は「二平面直線配置」として紹介されている。また、変圧器についても据え付けスペースの縮小化及び耐塩・耐震面からGIS直結方式としている。

従来の500kV気中絶縁変電所では、各機器及び機器間の絶縁設計上(必要絶縁離隔距離・耐塩の沿面漏洩距離)10mに及ぶ離隔距離や各機器の絶縁長(磁器碍管長など)が必要であり、しかもその数は1回線で約20本相当となる。送電線を4回線引出する変電所ではこの4倍の本数になる。しかしながら、今回の全GIS適用変電所の場合には送電線への引込口の4回線分12本のみとなり、気中母線を支える高層の架構類も不要となっている。

低い下層に配置した主母線6本の上層に直行して各回線を配置し、高さ10m以上の構造物は引出部のブッシングのみとなった。

戦後土木施設としての特徴・評価

熊本変電所は、九州電力の500kV系統の中央に位置し、信頼度、保守の省力化はもとより耐塩、耐震設計の合理化、スペースの縮小化を考慮した九州電力で初の全GIS変電所である。2022年6月に東側の日向幹線が運開するまでは南北を結ぶ唯一の幹線を37年間運転してきている。また、2016年の熊本地震(震度7)など地震の多い地域であり、着工前までの30年間の地震調査に基づき耐震性の向上に向けた低層の機器構成を早期に採用した変電所として評価できる。(山極時生)

-参考文献-

1) 塩田博他:九州電力株式会社新熊本変電所550kVガス絶縁開閉装置、日立評論、Vol.67、No.7、1985

2) 電磁界情報センター:電気の流れ(変電所)、https://www.jeic-emf.jp/public/web_mag/explanation/1001.html

3) 九州電力送配電株式会社:50万ボルト日向幹線の運用を開始しました、2022年6月9日プレスリリース、https://www.kyuden.co.jp/td/press/2022/220609.html