食文化あふれる国・日本

食文化の研究及び
継承・振興活動事例

ユネスコ食文化創造都市
山形県鶴岡市の取り組み

山形県鶴岡市

山形県鶴岡市は気高い山々から広大な庄内平野、日本海へと至る変化に富んだ地形の中で、山海の幸に恵まれた豊かな食文化を有しています。1400年以上にわたり信仰を集める山岳修験の聖地「出羽三山」は自然とその山の恵みを「生きるための精進料理」として今に伝え、家庭でも祭りと精神性を分かち合う「行事食・伝統食」が数多く継承されています。また、農家の人々が数百年にわたり「種」を守り継いできた「在来作物」は60種類以上が確認され、生きた文化財として継承されています。このような歴史と食文化の背景から、鶴岡市は2014年12月に「ユネスコ食文化創造都市」として、日本唯一の認定を受けています。

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福井県小浜市による食のまちづくり条例制定と
御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館の運営

福井県小浜市

かつての小浜は、朝廷に若狭の海の幸や塩を献上する御食国であり、京の都に魚介類を運ぶ鯖街道の出発点でもありました。この食に関わる歴史や文化を活かし、小浜市では2002年4月に全国にさきがけて「食のまちづくり条例」を施行。翌年には「御食国若狭おばま食文化館」を開館し、食の歴史紹介のみならず、食育を教育プログラムとして実践しています。また、食に関わる人々を調査して「食の達人・食の語り部」の認定を行い、食育・食文化発信の担い手とするとともに、全国的に珍しい食の加工技術「へしこ・なれずしの製作技法」を市指定の無形文化財にするなど、食文化を基軸としたまちづくりを推進しています。

食のまちづくり条例制定 >

御食国若狭おばま食文化館 >

「おいしい信州ふーど」や「信州伝統野菜認定制度」等
長野県による食文化の取り組み

長野県

長野県では、信州の豊かな風土に育まれた農畜水産物、主原料が信州産の加工食品、信州の暮らしに根差した郷土食などを「おいしい信州ふーど」として、その価値を広く発信しています。その中でもこだわりの食材をブランド化し、「信州伝統野菜認定制度」による地域に伝わる野菜や、「県選択無形民俗文化財」に指定された郷土料理・食文化(そば、おやき、御幣餅、王滝村の万年鮨、早蕎麦など)を「ヘリテイジ」として位置付けています。「信州伝統野菜認定制度」は2006年に創設された制度で、一定の基準を満たしたものを「信州の伝統野菜」として選定し、さらに伝承地で継続的に栽培されている伝統野菜及び一定の基準を満たした生産者グループに対し、「伝承地栽培認定」を行い、保存と継承に取り組んでいます。

おいしい信州ふーど >

信州の伝統野菜 >

日本料理大全シリーズの発行や
日本料理アカデミー検定の実施等で日本食文化の発展へ

特定非営利活動法人日本料理アカデミー

日本料理アカデミーは、日本料理の発展を図り、日本の食文化について理解促進とその魅力向上に寄与することを目的として、2004年に設立されました。手法だけでなく、なぜこの味が生まれるのか、どうしてこの調理法になるのかなど、日本料理の真髄を伝える「日本料理大全」シリーズの発行や、日本料理の技法を知識と技術の両面から評価し、合格者を「日本料理の技法」取得者として認定する「日本料理アカデミー検定」の実施など、日本料理の発展を推進しています。また、日本の食文化を次代に繋ぐべく地域に密着した食育活動のほか、世界の料理人との交流、若い日本料理人を対象にした研鑽事業も実施しています。

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食文化研究の推進と食文化による地域創生、
国際交流の発展等を目指した活動

和食文化学会

和食文化学会は、和食や食文化に関連する諸学問を体系化した「和食文化学」を確立し、それを通じて現代社会の抱える食をめぐるさまざまな課題の解決に向けた道筋を示すことを目的とする学術団体です。2018年2月の設立以来、大学・研究機関に所属する専門家だけでなく、食の生産・加工・流通・消費・廃棄等に携わるあらゆる「食の当事者」との協働によって、既存の学問領域の枠を超え、グローバルな視野からの食文化の継承と発展を目指しています。これらの課題解決に向け、研究大会の開催、国際連携や国際交流事業の取り組み、全国の食文化に関わる各組織との連携による企画調整、学会誌「和食文化研究」の発行等を実施しています。

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京都をつなぐ無形文化遺産
大切にしたい心、受け継ぎたい知恵と味

京都府京都市

京都市では、受け継がれてきた無形文化遺産の価値を再発見・再認識するため、「京都をつなぐ無形文化遺産」制度を創設。2013年には第1号として、食に対する価値観が大きく変容しているなか、食生活の原点である家庭での食事や学校給食などでの取組を更に広げ、京都の長い歴史の中で育まれた食文化を未来につなげていくため、「京の食文化」が選定されました。食材を無駄なく大切に使う心「もったいない」、季節感といった食への姿勢、一汁三菜、ダシの旨みが、特徴になっています。また、2017年にはお茶とともに味わい、季節を感じ、コミュニケーションを楽しむ、京都で生まれ育まれた菓子の文化を未来につなげていくため、「京の菓子文化」も選定されています。

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食を大切にする文化を創る
〜学ぶ・耕す・創る・つながる~霧島で霧島の食育を

NPO法人霧島食育研究会

霧島食育研究会では、「鹿児島・霧島で食を大切にする文化を創る」ことを目的とし、大自然の中での食農体験や郷土食の伝承、食育セミナーや講演などの活動をしています。さらに、それらの活動のノウハウやレシピ等をテキスト化し、広く内外に継承・広報するとともに、地元の食と農の技術、そしてそれに関わる人の想い等を記録しています。主催事業は2020年末時点で1000回以上で、特に「かごしま郷土料理マイスター講座」を月2回、「霧島たべもの伝承塾」を月1回開催し、累計500回以上。また、その成果として地元新聞への掲載やテレビ出演も定期的に行い県内への啓蒙を行っています。2020年12月には、「はじめての郷土料理 鹿児島の心を伝えるレシピ集」を出版しました。

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日本各地をフィールドに
食文化プログラムを地域の料理人や生産者と共創

GEN(Genuine Education Network)(食文化創造教育実行委員会 事務局)

GEN(Genuine Education Network)は、2014年から食文化の研究者やジャーナリスト、そして2019年からは特に世界のトップクラスの料理人に向けた日本の食文化を包括的に学べる滞在型のフィールドスタディを提供しています。持続可能な日本食文化の伝統的知識を理解し、世界のSDGsやこれからの環境問題にも貢献する食のあり方を世界と日本の地域をつないで一緒に考えるきっかけを創出し、世界30カ国以上から参加する国際的な日本食文化のスタディプログラムを展開しています。また、ヨーロッパで本物の日本の食文化を広めるために、現地小学校での和食講座、みそやしょうゆなど日本食材の生産者のための教育機会も提供しています。

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新しい学問分野「日本酒学」の確立に向けた
世界初の取り組みが始動!

新潟大学日本酒学センター

日本酒に係る文化的・科学的な幅広い分野を網羅する新たな学問分野「日本酒学(Sakeology)」について、国際的な拠点の形成とその発展の寄与を目的として、新潟県、新潟県酒造組合、新潟大学の3者で連携協定を締結しました。そして、新潟大学に日本酒学センターが設立され、2020年には全学の組織に昇格しました。本センターには、全学部から約50名の教員が参画し、さらに新潟県と県酒造組合からも関係者が集い、日本酒に係る「教育、研究、情報発信、国際交流」に関する事業を展開。「新潟発!知のツーリズム『日本酒学』文化体験プログラム」も実施しています。

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