日本料理にとって、器は衣裳であるともいわれています。漆器や陶器、磁器など、それぞれ類を見ないほど種類が多く、日本らしさを感じさせる四季折々の自然や花鳥風月などが美しく表現されています。
また、生け花や掛け軸などで室内を装飾したり、季節の花などで料理を飾り付けしたり、相手をもてなすために整えるしつらえも、日本の食文化ならではの慣習です。このもてなしの精神は茶事の基本であり、懐石料理はその影響を大きく受けています。
料理を引き立てる器やしつらえへのこだわりは、日本人の美意識ともてなしの心から生み出されているのです。