現在は、橋を架けるときは、高力ボルトや溶接で接合を行うことが一般的ですが、美濃橋のような古い橋は、リベットで部材を接合しています。今回、リベットで接合された部材を解体し、新しい部材に取り替える箇所に対し、再びリベットで接合を行いました。今後も建設当時の工法と技術を継承し、守っていきたいと考えています。
美濃橋の主ケーブルは、建設当時のものがそのまま使われており、100 年以上経過した吊橋のケーブルとしては、国内だけでなく世界的にも珍しく、非常に貴重なものです。当初は取替えや全面的補強が必要であろうと思われたものの、調査の結果、比較的状態は良好で、著しく劣化したことが判明した右岸アンカレイジ付近のみ部分的に補強する工事を行いました。
工事では、ケーブルの劣化した部分の張力を新たに設置するロッドに分担させることで、既存のケーブルには手を加えず、補強を行っています。
破損した部材を取り外し、古い塗装を除去する中、普段見られない様々な痕跡が確認できました。鋼材の製造元や品質を示すロールマークの他、仮組した部材を現場で正しい位置に取り付けるために記されたケガキの記号(合票)、現在は無くなってしまった建設当時の横構部材の痕跡などが確認されました。
これらの痕跡は、橋の歴史を伝える貴重な遺産として、きちんと調査、記録するとともに、今回の工事において積極的に公開活用を図る方針です。