群馬県019

望郷の湯

  • 1994年竣工
  • 設計/協同組合群馬県建築設計センター
  • 施工/建築:山内工業㈱
  • 構造形式/木造、鉄筋コンクリート造  地上1階 地下1階 桟瓦葺
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/群馬県沼田市白沢町平出

望郷の湯は「道の駅白沢」内に併設された日帰り温泉施設である。沼田市街から北へ、日光方面へ続く日本ロマンチック街道(国道120号線)を少し入った、世界でも最大級の規模とされる「片品川の河岸段丘」の自然が造り出した絶景を臨める場所に造られた。設計は県内設計事務所の協同組合群馬県建築設計センター、施工は地元の山内工業が請け負った。道の駅には温泉施設の他に、河岸段丘と赤城山を臨める展望台、地元新鮮野菜の農産物直売所、ソフトクリーム売店、木製遊具のある公園どの施設がある。
望郷の湯は、「自然・人と人・自分とのふれあい」をテーマにつくられた。設計者は「各素材そのままの風合いに包み込まれる心地よい空間は、私達が本来もっている感性に呼応し、またこの建物を介してつくる側とつかう側との”心のふれあい”も生まれることを期待する。」としている。
望郷の湯は現在7棟の構造、形状の異なる建物を繋いで構成されている。南の片品川に面しては、近隣のゴルフ場から湧き出た「アルカリ性単純泉」の天然温泉を引き込んだ弓形の男女の大浴場棟があり、その北に大小の正方形の建物が3棟並ぶ。この建物廻りには池を配置し、浮き殿のような和風らしさを演出している。真ん中の小さな正方形はふれあい室棟、東は玄関・売店棟、西は休息用の広間、個室3室のある棟、それぞれを渡り廊下で繋ぐ。壁は木造や鉄筋コンクリート造、屋根は木造小屋組みにトップライトの有る瓦葺きの平屋建てである。竣工後「道の駅白沢」の機能充実として、玄関棟の東に鉄筋コンクリート造2階建ての事務室と階段室棟、鉄筋コンクリートの壁に木造小屋組みの客室・厨房棟、柱梁に鉄骨を使い曲面屋根のレストラン棟と計3棟を増築した。
内部は、玄関・お土産売店は壁がコンクリート打放し仕上げ、天井は細い木材を方形に組んだ小屋組が美しい。西隣のふれあい室は木造に壁は軸組み電動マサージ機が置かれ、建物外部に池が配され、大浴場からの湯上りスペースとなっている。その西隣は竣工時は厨房とサービスホールがあり食堂として機能していたが、レストラン棟の増築 により今は貸個室と大広間のみが使われている。大浴場は全体平面が弓型で、壁は鉄筋コンクリート造、屋根は大浴場の上に脱衣室の屋根を乗せ、越屋根のように見せている。外部には男女共に、河岸段丘と赤城山・赤城高原のパノラマが見渡せる大きな露天風呂が設置されたいる。
この施設は当初のテーマの「自然・ 人と人・自分とのふれあい」を表現するため、設計・施工を地元の企業、県内産を含む複数の材料で造られた構造、各棟ごとに異なる形の建物を繋ぎ一つの温泉施設としていることが特徴あり、その意図は地元をはじめ県内の多くの利用者の「ふれあい」として今日まで続いている。毎日開館を待つ利用者を多数見ることが出来るこ地域ならではの施設となっている。(貝磯博子)