群馬県022

群馬県立自然史博物館・かぶら文化ホール(付帯ホール)

  • 1996年竣工
  • 設計/内井昭蔵建築設計事務所
  • 施工/佐田建設株式会社・株式会社研屋・株式会社湯川工務店共同企業体(博物館・エントランスホール) 株式会社熊谷組・タルヤ建設株式会社・佐藤産業株式会社共同企業体(付帯ホール・エントランスホール)
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、鉄骨造 地上3階、地下1階 銅板葺、鉄板覆い、 陸屋根:アスファルト防水 鉄板覆い部は修理(カバー工法)によるもの
  • 用途/文化施設
  • 所在地/群馬県富岡市上黒岩

群馬県立自然史博物館は、自然の生い立ちや生命の進化及び群馬県の多様で豊かな自然環境への理解を深め、自然に親しみ学習する施設として1996(平成8)年に富岡市北部の丘の上にあるもみじ平総合公園内に建設された。敷地面積18,120.80㎡建築面積9,163.35㎡延べ床面積12,122.38㎡、地上2階一部3階地下1階建て、構造は鉄筋コンクリート造で一部鉄筋コンクリート及び鉄骨造となっている。その付帯施設として、自然史博物館の教育普及活動を実施するとともに、富岡甘楽における多彩な文化活動を実施する付帯ホール(かぶら文化ホール)が同年建設された。富岡甘楽地域の人々に古来から親しまれている「鏑川」の悠久の流れが、この地域の文化・文明を育んできたことから「かぶら」を冠し、かぶら文化ホールと付けられた。
設計は内井昭蔵が行い、施工は第1工区(博物館・エントランスホール)を佐田・研屋・湯川共同企業体が、第2工区(付帯ホール・エントランスホール)を熊谷・タルヤ・佐藤共同企業体が行った。博物館は、展示、教育普及、調査研究・保管、管理、その他の5部門で構成され、付帯ホールは、舞台、管理、その他の3部門で構成される。また、エントランスホールやミュージアムショップ等は共通部門としている。博物館の常設展示室・企画展示室・中庭、付帯ホールのホワイエ・客席は円形空間としており、直線と曲線を織り交ぜた配置としている。中庭を囲む円形回廊は、博物館と付帯ホールという別々の空間を繋ぐ大きな役割をはたしている。これは内井の作品である世田谷美術館や一宮市博物館にも見られるように、回廊をものとものを繋ぐ重要な要素としてとらえており、「回廊の意味はばらばらの要素をつなぐという水平線強調の機能があります。」(1988(昭和63)年内井昭蔵講演会「建築と装飾」より抜粋)という内井の特徴を表している。
博物館の主目的のひとつである恐竜の骨格標本の展示を可能とするため、大きなものを展示できるよう常設展示室は天井が大変高い大空間となっている。その大空間を支える梁は、骨格標本を意識した恐竜の背骨の様な構造となっており、現場打ちでのプレストレストレストコンクリートを使っている。内部においても一階、二階のそれぞれに幾つもの円(回廊)が施されており、ここでも各展示スペースを繋ぐ役割をはたしている。 かぶら文化ホールのホワイエはそれほど広くはないが、上部の天窓からの自然光をうまく取り入れ壁面の曲線の美しさを際立たせているとともに、エントランスとホールを結ぶ空間として、回廊と同様に重要な役割をはたしている。ホールは1,100席(1階780席、2階320席)あり、舞台はプロセニアムステージで間口18m、高さ9m、奥行13mあり、オーケストラピットが設置され約80人編成の演奏が可能となっている。群馬交響楽団の演奏会や有名歌手のコンサートもよく行われており、音響に定評のあるホールとして知られている。
群馬県立自然史博物館・かぶら文化ホールともに富岡甘楽地域のみならず、県内外からの来場者・利用者も多く、課外授業での博物館来場や毎年行われる成人式でのホール利用など長きにわたり、地域の特徴的な建物として親しまれ継続的に利用されている。(齊藤朋行)