群馬県028

太田市立休泊小学校 (耐震改修および大規模改造)

  • 1999年竣工
  • 設計/建築:日本建築都市診断協会(SCOA)田中雅美、岩本弘光、白江龍三、宮崎均 構造:ACT構造設計社 設備:明野設備研究所
  • 施工/石橋建設工業
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、地上3階
  • 用途/学校建築
  • 所在地/群馬県太田市龍舞町

太田市立休泊小学校は、1974(昭和49)3月に建設された校舎(以下、旧校舎とする)をもとに、幾度かの増改築が加えられた建築である。敷地面積19,844.00㎡、建築面積1,016.82㎡、延床面積2,306.47㎡、地上3階、塔屋1階の鉄筋コンクリート造で、太田市東部、東武小泉線竜舞駅に近くの国道122号沿いに位置する。校舎は大きく南校舎(延床面積4625㎡)と北校舎(延床面積2220㎡)に分けられ、2階通路でつながれる。南校舎は旧校舎を中心としたブロックで、東側校舎(2002(平成14)年3月竣工)と西側校舎(2013(平成25)年3月竣工)が増築されている。
旧校舎は、1997(平成9)年に実施された耐震診断の結果、長辺方向が脆弱(1階・2階のIs値が0.7未満)であると診断された。また、周辺の住宅地開発に伴う児童数の増加がみられ、耐震改修を機に従来の学校機能に加えて、1階職員室の増床、特別活動教室の新設などが太田市教育委員会から求められており、耐震改修および大規模改修が計画され、1999(平成11)年3月に工事が完了した(Is値が0.83に改善)。設計は、日本建築都市診断協会(SCOA)、田中雅美・岩本弘光・白江龍三・宮崎均で、施工は石橋建設工業である。
改修前の旧校舎は、文部省制定のRC標準設計を参考にした昭和40年代に全国一律に建築された典型的なタイプで、南面した鉄筋コンクリート造3階建ての外観であった。平面構成は、1階南側に校長室・職員室、階段室・便所をはさんで保健室、理科室を配し、2階および3階では階段室・便所をはさんで西側に2つの普通教室、東側に4つの普通教室を配し、3層とも北側に片廊下を配していた。2階西側2教室のバルコニーは校長室・職員室の上階のため3mと広く、東側4教室のバルコニーは2m、3階西側2教室および東側4教室のバルコニーは1mであった。改修後は、アタッチドフレーム工法によるフレームを活かし、1、2階は鉄筋コンクリートの列柱が強調され、3階は1、2階の柱位置にH形鋼柱(日除けルーバー用)設けることで、列柱が強調された3層一体的なファサードを形成している。このファサードは、東西に増築した校舎の外観に合わせたフレームデザイン(「新耐震基準」以降の設計でフレームは不要)となり、南校舎の統一デザインとなった。また、階段室・便所を撤去し新たに設置した鉄骨造のらせん階段は、円柱形に改修され塔屋と呼応した3層のフレームと一体デザインとするなど、意匠上もすぐれたデザインとなっている<意匠性>。
本改修計画では、工法の選択についても注目できる。当初、補強工法として「ブレース増設工法」が推奨されていたが、ブレース増設工法では窓面に巨大なブレースを設ける必要があり、教室内の児童や職員の視覚、行動の心理的負担といった学習環境の悪化が懸念されるとともに、廊下北側の柱の脆弱性、震災時の避難路となる廊下の床落ちの懸念から、アタッチドフレーム工法を採用している。このように、本改修工事では、一般化していた工法の弱点を補うために新工法を採用し、さらには新工法の特徴を意匠に転換するなど、さまざまな新しい試みを確認することができる<革新性>。(南雲啓二)