沖縄県006

復元・イエスキリスト教会/シオン幼稚園

  • 1962年竣工
  • 設計/仲座久雄建築設計事務所
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリートブロック造 地上2階 RC造スラブ
  • 用途/宗教建築/学校建築
  • 所在地/沖縄県宜野湾市喜友名

■概要
宜野湾市の中腹を占める普天間基地に隣接する外人住宅地(戦後、米軍関係者向けに建設されたコンクリート造の住宅群)の一角に位置する。竣工は1962年。設計は、規格住宅や花ブロックの考案により沖縄の戦後建築を牽引した建築家、仲座久雄が手掛けた。建設の背景には、アメリカ統治下の沖縄において、米軍属の信者へのサーヴィスに加え、幼稚園経営やボーイスカウト活動を通じて地域住民との交流を図り、布教拠点とする目的があった。敷地の中庭には、宜野湾市の有形民俗文化財に指定されている喜友名の石獅子群とともに邪悪なものから村を守るとされるウフブタ(大型のサンゴ礁岩)が取り込まれている。

■建物の特徴
鉄筋コンクリート造で、当初は平屋建てであったが、1981年に幼稚園の法人化に伴い、一部2階建てに増築されている。L字型平面の内部には、教会の講堂と幼稚園の保育室が配されている。緩やかな勾配を持つ切妻屋根と、その頂部にそびえる花ブロックを用いた十字架が目を引く。エントランス周りや開口部にも花ブロックが配されている。講堂は屋根形状を反映した勾配天井で、かつてはハイサイドライトから自然光が取り入れられていた。丸柱や窓枠のテラゾー、什器類に建築当初のディテールが残されている。

■評価
当建物は、沖縄の戦後建築史において最も重要な建築家の一人である仲座久雄による、現存する数少ない作品である。仲座は米国での学修経験を背景に、沖縄の気候風土に即した建築の普及に尽力した。当建物の切妻屋根と花ブロックを融合させた造形は、米国的モダニズムの影響を受けつつも、地域の素材と技術を昇華させた独自の意匠的到達点を示す。十字架の花ブロックは他に見られない独特の意匠を持ち、貴重である。
外人住宅地という立地と、米軍属と地域住民への布教と交流を通じた社会貢献を企図した建設の背景に、アメリカ統治下における建築の在り方が象徴されている。英語表記の設計図面や工事写真が現存しており、戦後沖縄の建築生産体制を検証する上で資料的価値が高い。

■現状
現在、教会が休会中で幼稚園も閉園が決定しているが、解体は計画されていない。維持管理状態は良好で、卒園生らの憩いの場となっているが、今後の用途は未定である。1990年の防音工事の際に当初の勾配天井やハイサイドライト内側が覆われてしまったが、復元は可能と思われる。