概要
沖縄中南部の西海岸を縦貫する国道58号線(旧・軍道1号線)沿い、牧港交差点に立地するドライブイン形式のファストフードレストランである。1963年の日本第1号店である屋宜原店の成功を受け、より大規模かつシンボリックな第2号店として1969年8月25日に開業した。施主は米国人創業者アダムス、バーンズと平良幸雄らの合資会社である。設計は、新垣秀雄(新垣建築設計事務所)が手がけた。新垣は、米軍兵舎建設の現場を経験し、設計者ヨルン・シャーベックの下でプラザハウスの設計に関わるなど研鑽を積んだ後に独立してA&W1号店である屋宜原店も設計している。
建物の特徴
鉄筋コンクリート(RC)造の平屋建てである。約100台分の駐車場を備え、建築本体は敷地後方にセットバックして配置されている。駐車場にはインターホンが設置され、車内で注文と食事が完結するカーホップ・システムを採用している。そのため、駐車場が外部の客席として機能し、中央のキッチンから全景を把握できる配置となっている。意匠は、アメリカの自動車文化を反映した「グーギー建築」を踏襲し、オレンジ色を基調とした色彩、巨大なネオンサイン、ガラス張りのファサードを持つ。台風常襲地帯という気候的要請から堅牢なRC造の陸屋根としつつも、屋根端部をシャープに仕上げることで軽快さを演出している。さらに、アマハジ(沖縄の伝統的な民家にある、母屋の南面や東面に突き出した深い庇とその下の空間のこと)の概念を取り入れ、深く張り出した軒下に半屋外のテラス席を設け、芝生や噴水のある庭を併設している。
評価
〈時代性〉 アメリカ占領下の沖縄において、自動車を中心とする新しい生活様式を体現した建築である。軍事的な目的で整備された軍道1号線(現・国道58号線)沿いに建てられたことからもその位置付けががわかる。カリフォルニア発祥の未来派的な商業建築様式である「グーギー建築」とドライブイン形式を導入し、当時の県民にとって特権的であった「アメリカ的近代」への憧憬を象徴する空間として機能した。戦後沖縄の歴史とロードサイド景観の変容を記録する貴重な建築的モニュメントである。
〈地域性〉 カリフォルニアの軽快な意匠を、台風常襲地帯である沖縄の気候に合わせて堅牢な鉄筋コンクリート造へと見事に翻訳している。また、沖縄の苛烈な日差しを和らげるため、伝統的なアマハジの空間概念を応用した深い軒や半屋外のテラス、微気候を形成する芝生や水場を設けた。こうした多様な活動を許容する空間的器は、当初の排他的な消費空間から、多世代の県民が日常的に集う広場へと変容する基盤となり、外部文化の土着化という沖縄特有の地域性を色濃く示している。
現状
アーティストのPV撮影の舞台となったことで知名度が上がり、県外からの若年層の来客が増加している。現在も幅広い年齢層の県民に日常的に利用されており、今後も存続していくものと考えられる。