■概要
沖縄県平和祈念堂は、沖縄戦最後の激戦地である摩文仁につくられた平和祈念公園内の見晴らしの良い小高い丘に建つ。南部へ撤退した日本軍は摩文仁で壊滅し、逃げ場を失った住民も戦闘に巻き込まれたり集団自決を余儀なくされたりした。こうしたことから、周辺には数多くの慰霊の塔・碑が建立されたが、そのなかでも平和祈念堂は、軍人・民間人・外国人を含む全戦没者を対象とした包括的な慰霊施設であるとともに、平和への願いを象徴する建築物として際立った存在である。全国の有志からの熱意と支援を受けて1978年に建てられた。平和に関する行事や活動の拠点となっており、全国各地からの修学旅行生に対する平和学習にも活用されている。祈念堂に隣接して平和の鐘や瞑想の森が設置されている。一帯は沖縄戦跡国定公園に指定されている。
■特徴
1978年に完成した祈念堂は、高さ約45メートルの塔をもつ堂宇と長い前室で構成された白亜のモニュメントである。堂宇は七つの海と七つの大陸を象徴した正七面体の角錐型ドーム構造で、緩やかなカーブを描く七本の梁は中央部で反り上がり正七面体の塔を構成する。その美しい造形は手のひらを合わせた型を表現したといわれる。沖縄出身の著名な芸術家である山田真山画伯が制作した高さ12m、幅8mの平和祈念像を塔の直下に安置するように設計された。地下には各国から集められた霊石が展示されている。エントランスから堂宇までの約30mの長さの前室は、受付や絵画の展示スペースとなっている。
■評価
世界平和への願いを象徴し、国や宗教や民族を超えた意匠として、幾何学的だが優美な曲線で構成された美しい建造物である。平和の礎や平和祈念資料館、国立沖縄戦没者墓苑などの施設がひろびろと配置された平和祈念公園のなかでも、ひときわ存在感を放っている。全国各地の修学旅行生や観光客、慰霊団が祈念堂を訪れ、平和について考える場所となっており、慰霊と平和祈念の行事が毎年実施されている。
■現状
毎年、全国各地から修学旅行で多くの生徒が平和学習で訪れたり、12月31日の大晦日には火と鐘の祭りで恒久平和を希い平和の鐘を打ち鳴らしたり、平和の祈りを発信するためのレクイエムコンサートが行われたりし、平和を願ったり過去の対戦で亡くなられた多くの方々へ追悼の意えを捧げる等平和に関する行事を行っている。