■概要
当建物は、泊埠頭の港口に位置する那覇市営の集合住宅である。埋め立て地に建ち、敷地の一方は海に面し、二方を水路が囲む。当建物の前身となる1956年竣工の若狭市営住宅は、沖縄県初の公営アパートで、防風・防火に優れた鉄筋コンクリート造の団地として知られていた。1979年に末吉栄三の設計により建替えられたのが当建物である。2021~2022年度に個別棟の大規模な耐震改修工事が施された。
■建物の概要
住戸棟は鉄骨鉄筋コンクリート造の10階建てで、6棟の3ブロックで構成されている。コの字型にコミュニティ広場を取り囲む建物配置となっており、3階レベルをボックス型の空中廊下で接続する構成となっている。低層階はセットバックした断面となっており、1階は保育園や公民館、貸し店舗が点在するピロティを有するコミュニティエリアとなっている。特にピロティは南国沖縄の強い日差しの下でも多彩なイベント活動が行えるゆとりのある空間として計画されている。1,2号棟は4階以上の偶数階を片廊下型、その他の階を階段室型の変則構成となっている。3~6号棟は階段室型であり、低層階にはテラス入りの住戸も配されており、一貫して通風や採光を重視した2面開放の南東型住戸としての特徴を備えている。
■評価
緑豊かな中央広場と、赤い列柱に支えられたボックス型の空中廊下がユニークな団地の景観を創出している。空中廊下、階段状のテラス、中庭の円形ベンチや下階の半屋外空間などにより、多中心的で有機的なつながりを持つ空間を創出した。オープンスクール型などの有機的な学校建築を多く手掛けた末吉栄三による沖縄の地域特性に配慮した集合住宅として、優れた意匠と機能性をもつ建物である。
■現状
海に面した立地という厳しい環境にあり、空中回廊や円柱にはコンクリート剥落が生じているため、2024年度以降順次修繕工事が施されている。住民の日常的な集まりや屋上菜園の利用など、住民同士の交流が活発である。