沖縄県018

那覇ふ頭船客待合所

  • 1980年竣工
  • 設計/株式会社元律設計事務所(大城元徳)
  • 施工/・建築工事:合資会社 伊是名組  ・鉄骨工事:仲本工業 合資会社  ・電気設備工事:沖電水 株式会社  ・機械設備工事:桐和空調設備 株式会社
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 地上3階(PH1階) 鉄筋コンクリートスラブ
  • 用途/交通・港湾施設
  • 所在地/沖縄県那覇市通堂町

■概要
那覇ふ頭船客待合所は、那覇市国場川河口北岸部の那覇港湾施設那覇埠頭に位置する。当初は建物全体が船客待合所として使用されていたが、現在、1階は鹿児島方面のフェリー・レストラン船・遊覧船等の船客待合所として、2・3階は那覇港の港湾管理者である那覇港管理組合の事務所になっている。敷地及び周辺は15世紀に尚巴志が三山を統一し、日本・中国・東南アジア諸国との交易の拠点として発展した場所である。1973年に那覇埠頭旅客施設として元律設計事務所によって設計され、伊是名組・仲本工業他によって施工、1975年に竣工している。2016年から2017年に耐震改修工事が実施され現在の状況に至っている。建設時の施主は那覇市港湾部。

■建物の特徴
当建物は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨鉄筋コンクリート造の3階建て(PH2階)で、建築面積2,742㎡、延べ床面積4,796㎡である。1階にフェリー、遊覧船などの受付、待合スペースが配置され、2階岸壁側に2層吹き抜けの待合送迎ホールが配置され、道路側に事務室などが配置されている。3階道路側に事務室空間が配置されている。建物道路側中央部に中央階段が配置され、建物の左右に避難階段が配置されている。
2階岸壁側には待合ホールに隣接する形でテラスが配置されている。道路側は中央階段を挟んで施設のエントランスになっているが、入口玄関前はワッフルスラブにより大きくせり出した3階部が軒となったピロティ―空間となっている。建物両端外部にはかつて円筒状の階段室(避難階段)が配置されていたが、耐震改修工事ご鉄骨製の外階段に変更されている。建物本体の両端部には玄関ホールが配置され、3層吹抜け空間に階段が配置され、2階に接続されている。そしてこの吹き抜け空間の3層レベルに、建物3階の内部廊下と外部の避難階段を連結するチューブ状の廊下が設置されている。

■評価
建設時期が1970年代初頭であり、当時のメタボリズムの考え方にもとづいた建築で多く用いられたスーパーストラクチャーを採用した造形・意匠が以下のようにみられる。
①道路側の中央階段のコア塔を中心とした左右対称の形状
②鉄骨鉄筋コンクリートとワッフルスラブを用いたダイナミックな道路側エントランスのピロティ―空間
③10m以上のスパンで2層吹き抜けのガラス張りの壁面が90m続く2階岸壁側の送迎デッキ
当時の沖縄では新しかった建設技術の導入による、意欲的な構造的挑戦と意匠の融合が実現されている。また丸窓や円筒状の換気口、階段吹き向け空間に配置されているチューブ形状の廊下など、随所に船舶の意匠が用いられ、この施設の機能が表現されている。沖縄に現存するメタボリズムの影響を受けた貴重な建築として位置づけられる。

■現状
2016年~2017年の耐震改修工事により、屋上にあった艦橋(管制塔)ようなの形状をしたペントハウスと建物両側にあった円筒状の階段棟が撤去されている。また2階の待合ホールも現在は那覇港管理組合の事務所として使用されている。計画通知の図面では別途工事として、道路側にオーバーブリッジ(歩道橋)が計画されているが、実際に建設されたかどうか過去の写真では確認できない。建物本体は当時の形状をそのまま残して、利用されている。また耐震改修工事の際に外壁は補修、再塗装されている。