■概要
那覇市小禄南公民館は、那覇市小禄地区の南に位置し、敷地周辺は高密な低層住宅密集地である。南下がりの丘陵地に建ち、敷地の高低差を活かした設計で、地下1階部分に駐車場、1階に公民館、2階に図書館を配置している。敷地面積5,712㎡、延床面積2,392㎡で、1982年3月に完成した。那覇市が実施した競技設計で、東浜義明、伊盛勝、平安基努の若手建築家3人組の設計集団であるGUROUP24の案が採用され、実施設計は設計同人GAN+ GUROUP24で行われた。
■建物の特徴
中庭を母屋と納屋、畜舎などで囲む沖縄の伝統家屋の空間構成を引用し、ガジュマルの木が中央に植えられた広場を中心とする配置とすることで人の集まる施設としての求心的構成となっている。建物はコの字型に広場を取り囲み、南側が開かれている。1階の建物と広場の間には階段状の構造物を配し、階段状の形態は1階の軒、2階の屋根まで連続している。階段状部分の上面は緑化されている。広場から見ると緑化された階段状の形態に囲まれており、構造物の裏側の雨端(あまはじ)状の空間をはさんで1階の諸室が配置されている。西側の公民館と図書館をつなぐ階段横には三角形の断面を印象づける吹き抜けが取られ、1階から2階まで連続する窓によって中庭から光を取り入れている。
■評価
地形を利用し、広場と階段状の植栽が連続した印象を与える形態を実現している。建物と広場の間の庇の下に通路、アルコーブなどがゆったりと配置され、雨端(あまはじ)的な空間として外部との緩衝領域的な役割を果たしている。階段状植栽の間を上がる外部階段や内外の緩衝領域を結ぶ開放的な廊下、吹き抜けに沿った階段により回遊性のある豊かな空間を巡ることができる。階段状の屋上緑化はコンクリートの硬い印象を和らげるとともに、日射熱対策の効果もあると考えられる。
伝統的な家屋の空間構成を独創的な形で公共施設に取り入れた例であり、広場と建築の一体的な形状、建築と外部の間を光と風が通り抜ける空間を有しており、意匠性に優れた建築として評価される。
■現状
建設当初から那覇市が管理を行っている。2024年に外壁の劣化補修を終え、概ね建設当初の姿そのままに維持されている。内部空間も当時のままである。屋外広場は、市民の憩いの場とし活用されている。現在、2階上部の植栽は撤去されているが、1階部分の屋上緑化は維持されている。