■概要
学校法人沖縄キリスト教学院が1957年に首里で設立された沖縄キリスト教短期大学を、「沖縄を国際的平和の島に、そしてキリストにあって平和をつくりだす人材の育成」という建学の精神を建築として具現化するため、沖縄本島中南部の西原町に新校舎を建設した。大規模な造成工事を行わず、小高い丘陵地に立地する。設計は真喜志好一+新キャンパス設計室、施工は大城組・大晋建設共同企業体。1989年7月竣工。
■建物の特徴
鉄筋コンクリート造地下1階地上5階建てで、広場を中心とした円環状の校舎配置を持つのが特徴である。外部空間は広場を中心に1階バルコニー、2階3階回廊など開放性の高い屋外、半屋外空間が一体となった多層空間になっており、学内での移動に積極的にこの外部空間を活かした計画である。中心の広場の正面にはチャペルと図書室を配置し、その周囲を回廊でつなぎ北側に特殊教室群、南に普通教室群が配置されている。教室群をボリューム・形状を変えて並べ積み重ねることで、造成前の丘の記憶と集落を重ね合わせたようなスカイラインを形成している。首里教会の六角塔を継承したデザインも取り入れられている。
■評価
当建物は、沖縄を代表する建築家である真喜志好一の代表作である。真喜志の建築思想は、沖縄の気候風土や文化を深く理解し、それを建築空間として表現することに特徴がある。この建物は、沖縄の村落や城(グスク)に見られる伝統的な空間構造である円環状の配置を取り入れ、人と自然、人と人との共生をテーマを建築的に具現化しており、建築家の思想が色濃く反映されている。特に、広場や回廊、半屋外空間を一体化させ、沖縄の風水思想にも通じる構成は、その作家性を示す上で重要な事例である。また、当建物は、これまでの県内の建築学会作品賞受賞作2件のうちの1件である(他の1件は象設計集団名護市庁舎)。県内建築家による建築学会賞作品賞受賞であり、沖縄建築界への大きな功績であった。
■現状
2004年に沖縄キリスト教学院大学が同校舎内に開学し、現在も大学・短期大学の校舎として活用されている。長期的保全を目的とした改修工事が段階的に進められているが、建築当初の設計は継承されている。3階半屋外回廊のグリット開口部にサッシが嵌められている。