地方都市の近郊住宅地に建つ、各60㎡、12戸からなる低層集合住宅。設計は松永安光（1941-）。採光と通風を考慮した南向き2階建ての住棟が3列平行に配置され、各棟を斜めに貫くように、2階住戸へのアプローチのためのブリッジが南北に走る。ブリッジの東側には、3列2層のフラット住戸、西側には2列3戸のメゾネット住戸が配されている。各住戸には専用の坪庭があり、敷地内の路地脇には井水を利用したせせらぎや竹の植栽が路地を演出している。設計者は、入居者自身の手による緑豊かな環境の形成や、板塀とせせらぎのある路地の景観が住民に安らぎを与えることを期待して「路地型集合住宅」と名づけている。
2階フラット住戸の一部が片持ちで張り出し、1層部分の外壁が黒色、2層部分が明るいグレーであるため、3つの箱が宙に浮いたような外観であり、アルミルーバーによる水平ラインを強調したデザインも外観の大きな特徴となっている。張り出しの下部には全戸分の駐車場が並ぶ。
低層でありながら、郊外型の平均的な団地とほぼ等しい密度を確保し、低層高密度という小規模集合住宅のプロトタイプを提案している。
