近代の文化財には、建設当時の機能を維持したまま、今も使われ続ける施設が数多く存在します。その中には、産業や日々の暮らしに直接かかわる生産施設、商業施設、公共施設も含まれ、建造物としては、百貨店、オフィス、温泉、庁舎、学校、駅舎、工場、橋、ダムなど様々なタイプを確認することができます。
これらは文化財であるとはいえ、施設本来の目的を達成するために、機能性や安全性を確保し続ける必要があります。そのためには、部位の劣化を早期に発見して健全な状態に回復すると同時に、近年頻発化・激甚化する自然災害への対応として耐震性等の向上を図ることが求められます。また、特に商業・業務施設については、めまぐるしく移り変わる時代の要請にも対応しなければなりません。
これらの施設を文化財として円滑に保護していくためには、個々の施設の特性を見極めた上で、保存すべき価値の所在や保存・活用の考え方及び手法を明らかにした保存活用計画を作成しておくことが大切です。文化庁では、保存活用計画の策定や、文化財の耐震診断・耐震補強に対して支援を行っています。また平成30年の文化財保護法の改正によって、国の認定を受けた保存活用計画については、事務手続きの弾力化が可能となりました。参考資料は以下の通りです。