






我が国の電力供給を支えてきた火力発電は、石炭、石油の時代を経て天然ガスへの転換がはかられるようになった。これには電力需要の伸びと、地球環境問題が大きな要因となった。
天然ガスによる発電では、ガスの燃焼により蒸気を発生し蒸気タービンを回す従来型の方式に比べ、ガスタービンを併用するコンバインドサイクルにすることで高効率を得られることがわかっていた。従来の発電機の最高効率約40%に対してコンバインドサイクルでは、より高い効率が得られることがわかっている。
しかし、1980年代、我が国ではこうした技術が実用化されていなかった。東北電力の当時社長の若林彊氏が、新しいものに挑戦することを決意し、わが国独自の技術を用い、わが国初の、最大規模の天然ガスを用いたコンバインドサイクルの火力発電所が建設された。
東北電力としては発電所の少なかった日本海側の海岸線に、天然ガスを用いるコンバインドサイクルの火力発電所を建設することになった。液化天然ガス(LNG)を海外から直接運べ、貯蔵できる場所として、この地が選ばれた。その理由の一つに沖合に佐渡島があり、積雪量や波浪が比較的少ないことが挙げられる。
コンバインドサイクル発電設備としては、東新潟火力発電所が調査対象である。貯蔵タンクからのガス配管、圧縮機とガスタービン発電機、利用したガスを燃焼させて蒸気を発生する装置、その蒸気で発電する蒸気タービン発電設備、排気ガス用の煙突である。発電された電力は、275kV 送電線で変電所に送られる。4–1号系列のコンバインドサイクル設備は、当時世界最高クラスのガスタービンである入り口温度1450℃、全体の熱効率55%以上を実現している(3号系列は1100℃、熱効率48%である)。
発電所関連設備として、日本海LNGのガス貯蔵設備などが置かれている。海岸の一部を埋め立て、液化天然ガスの陸揚げのための接岸設備(バース)、アンローディングアームを使った陸揚げ設備、貯蔵タンク設備(10万klが4基、8万klが4基)、液化天然ガスから天然ガスへの変換設備(海水をかけて気体化する)を置いている。これらの設備は日本海LNGが所有運営している。ここで製造された天然ガスはパイプラインを使って他の天然ガス発電所にも送られている。バースでは大型液化天然ガスのLNG船が接岸でき、陸揚げが可能である。
東新潟火力発電所では従来のボイラー・蒸気タービンの発電設備である1、2号機に加え、コンバインドサイクルの3、4号系列が作られた。
例えば、本発電所の3号系列では、ガスタービン6台と蒸気タービン2台が組み合わされる多軸型のコンバインドサイクルとなっている。そのため、必要な発電量に応じてガスタービン発電機の運転台数を調整できる。この機能のおかげで、種々の電力の市場(卸電力市場、容量市場)に対応できる柔軟性を有している。ガスタービンの運転・停止回数は年々増えてきている。
東日本大震災で太平洋側の多くの発電設備が被害を被った時には、日本海側にある東新潟火力発電所から電力を供給し、東北地方のエネルギー供給が行われ復旧に貢献した。
このコンバインドサイクル発電の経験は、環境問題解決の方策として、他の電力会社へも展開され、幅広く活用されている。(鈴木浩)
1) 東北電力株式会社:「東新潟火力発電所」パンフレット
2) 三菱重工:ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント(GTCC)、https://power.mhi.com/jp/products/gtcc、2024年12月30日閲覧