電力
発電所
P005

小千谷発電所・小千谷第二発電所

  • Ojiya Power Station/Ojiya No. 2 Power Station
  • 所在地/新潟県小千谷市
  • 構造形式/水路式発電 小千谷発電所 最大出力12.3万kW、使用水量300m3/s、落差約48m、小千谷第二発電所 最大出力20.6万kW、使用水量220m3/s、落差約108m /3期真人沢水路橋:鉄筋コンクリートアーチ橋、橋長90.5m(4連)/4期真人沢水路橋:鉄筋コンクリートアーチ橋、橋長163.1m(3連)/5期源藤山沢水路橋:鉄筋コンクリート逆ランガー橋、橋長101.1m(2連)/5期真人沢水路橋:鋼4径間連続橋(鋼水路桁+RC橋脚)、橋長222.3m(4連)
  • 事業者/日本国有鉄道、東日本旅客鉄道株式会社
  • 着工/竣工年月/1944.8/1954.11(3期)、1957.6/1969.12(4期)、1985.7/1990.6(5期)
  • 設計者/日本国有鉄道(3期)、日本交通技術(4期)、鹿島建設・地崎工業・東鉄工業共同企業体(5期)
  • 施工者/前田建設工業(3期)、飛島建設(4期)、鹿島建設・地崎工業・東鉄工業共同企業体(5期)
  • 所有者/東日本旅客鉄道
  • 受賞/文化財/ -

建設経緯

1919(大正8)年、国有鉄道の電化が閣議決定され、国による信濃川の水力開発が進められた。鉄道省は1期工事として宮中取水ダムを建設し、1939(昭和14)年に千手発電所(1~3号機)を完成させた。1940(昭和15)年には2期工事に着手し、水路を増設し、浅河原調整池を完成させて、1945(昭和20)年に4号機、1954(昭和29)年に5号機が発電を開始し、最大出力は12.0万kWとなった。

国鉄は、戦後の輸送量増大や電化の進展に伴い、3期工事として小千谷発電所を建設した。千手発電所の放水を再利用し、山本調整池(1951年11月、有効貯水量103.2万m3)を経由して発電するもので、1951(昭和26)年8月に1・2号機が、1952(昭和27)年11月に3号機が発電を開始した。小千谷発電所を増強するため、4期工事として水路を増設し、1969(昭和44)年に合計5基による発電を開始した。最大出力は12.3万kW。

電車の長編成化、冷暖房の強化等の電力需要に対応するため、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は、5期工事として宮中第二取水口を設けて、水路、山本第二調整池(有効貯水量320.0万m3)を新設し、1990(平成2)年に小千谷第二発電所を完成させる。最大出力は20.6万kW。なお、3発電所を総称して信濃川発電所という。

施設概要

小千谷発電所の建設にあたっては、千手発電所から山本調整池まで約16kmの水路トンネルが建設された。途中の真人沢川を横断するために、RCアーチ橋の3期真人沢水路橋が建設された(1951年5月竣工)。当初は、8連のRC単純桁(開渠)、RC連続ラーメン(開渠)、8連のRCアーチ(トンネル)、逆サイフォン、鉄管路(連続ラーメン)、鉄管路(土盛り)が検討されたが、基礎地盤に対する安全性を考慮し、井筒基礎とした4連のRCアーチ橋(開渠に変更)が採用された。

水路を増設した4期の真人沢水路橋では、PC、鋼、RCの3案の中で開渠かトンネル、連数、桁形式が検討され、新しさに欠けるものの、安全性の高さ、工費、施工の難易度、流水・保守上の優位さから3期と同じRCアーチが採用された(1969年11月竣工)。

小千谷第二発電所建設の5期では宮中第二取水口から山本第二調整池までの約27kmの水路に源藤山沢、真人沢の水路橋が建設された。源藤山沢では、RCアーチ2連、RCアーチ3連、PC連続桁2連、土盛りが検討されたが、豪雪地帯であるため工期に影響が少なく、最も経済的で、維持管理に問題がない2連のRCアーチ(逆ランガー)が採用された。真人沢では、PC連続桁(4連、3連)、RCアーチ3連、鋼4径間連続橋、鋼逆サイフォンの5案を検討した結果、最も経済的で工期の短い鋼4径間連続橋が採用された。

戦後土木施設としての特徴・評価

電気事業者ではなく、鉄道会社が所有する水力発電所で、JR東日本が使用する電力の約1/5を賄っている。JR東日本は他に川崎火力発電所も所有している。

3期、4期の真人沢水路橋は、戦後ではめずらしくRCアーチが水路橋に採用されている。かつ時代が20年近く違うにもかかわらず同じ形式であることも興味深い。高速道路などの大規模橋梁に採用される逆ランガー橋が水路橋に採用されている5期の源藤山沢水路橋も希少な例である。同じく5期の真人沢水路橋は、通水時に55mの高さの橋脚に42.82t/mの荷重がかかる日本でも前例のない大規模な水路橋である。(樋口輝久)

-参考文献-

1) 日本国有鉄道信濃川工事々務所:信濃川水力発電工事誌,1952.

2) 信濃川工事局:信濃川水力発電第四期工事特集号,1971.

3) 東日本旅客鉄道株式会社信濃川工事事務所:信濃川水力発電再開発工事誌,1991.